SDGs取り組みの具体的な流れ

ここからは、SDGsへの取り組みを実施する際の具体的な流れを見ていこう。

1.SDGs推進チームの構成

SDGsへの取り組みは、片手間でできることではない。専任で取り組みを推進するためのチーム編成をする必要がある。実働可能なメンバーを選出し、担当者一人に押し付けることがないようにしなければならない。そのためにも経営陣・管理側からもチームに参画するのが望ましい。

2.SDGsへの理解促進

メンバーが勉強不足というのでは、推進チームの意味をもたない。実施に向けて実用的な知識の学習に励み、チーム内での情報共有と認識のすり合わせを行う。同時に社内向けセミナーや啓蒙活動を実施して取り組みへの協力体制の下地を構築することが大切だ。

3.自社の事業とSDGsの接点を探す

SDGsへの取り組みは、自社事業とかけ離れたところでは長続きしない。「自社事業で行える」「オフィス内で日常的にできる」など必要項目を丹念に洗い出し、具体的な取り組み内容を探していく。その際に取り組みに対する課題をあげることで着手後の行動が定まりやすい。取り組み内容のSDGsの目標や指標との関係性を明確にし「現実性がある」「実現可能」といった点に留意しながら具体的な落とし込みをする。

4.目標を設定する

取り組みについては、施策ごとに数値目標を設定し効果を可視化できるようにしておきたい。数値化が難しい場合には、例えば関係者へのアンケート実施など評価方法を工夫しながら必ず行動と対になる目標を設定する。

5.実施と報告・評価

定期的に測定や評価を行い社内外に報告・発表を行う。社内からの意見を収集しながら取り組み施策の改善を重ねる。

SDGs取り組みに向けた注意点

SDGsに取り組もうとする際は、以下のような点について注意が必要だ。

社内での理解・対話がカギ

「社内での理解が得られていない」「共有意識が高められていない」といったことは、SDGs取り組みの挫折につながるかもしれない。また活動自体がマイナス要因となりかねない。社内での理解を得るために、勉強会・セミナーの開催、社員に向けた啓もう活動を通じ、自社の事業とSDGsの関係性を具体的に説いていくことが求められる。社内全体が「自分事」としてとらえられるベースづくりが欠かせない。

実際に動いて見なければ分からない点も多々ある。計画で予想していなかった障害が発生する可能性は高い。実施にあたっては、現場の声を適宜吸い上げて課題を抽出し、改善策を練りながら取り組みを進めていく必要がある。

取り組み前の入念な調査が必要

想定以上の障害発生を事前に回避するためには、可能な限りの入念な調査が必須だ。自社の事業運営の現状把握を客観的に行い「計画している施策がSDGsの目標や指標とマッチングしているのか」「自社の能力に見合うものなのか」を判断する。メイン事業に支障がなく無理なく推進できることはもちろん、人員やコスト・作業時間の捻出など現場負担を十分に推算し、取り組みの設計・計画策定を実施していく。

持続可能な取り組みにする

SDGsをトレンドワードのように受け止めてしまうと長続きしない取り組みとなりかねない。始めるからには、自社の将来を見越した活動とすることが必要だ。また単に続けるのではなく将来的な発展性も考慮できるのが理想的な取り組みといえるだろう。自社事業にからめた独自性のある取り組みから将来的なベネフィットが生まれることを意識したい。

持続性・発展性を守るためにも実施中には事業に影響が出ておらず、無理なく推進していることを常に確認する姿勢が大切だ。

ルール違反・法令違反・逸脱行為の防止

SDGsで問題視されているのが、実体のない取り組みやSDGsと謳いながら逆に社会にとって損害を与える活動となる「SDGsウォッシュ」だ。SDGsウォッシュと見なされてしまうと企業イメージが大きく損なわれる恐れもある。表面的ではなく実のある活動とすることは当然だが、加えて関連する事業者に至るまでのマネジメント強化を行うことが必要だ。

不正行為や社会にとって不利益となる行動がないかを監視することも、SDGs参画企業としての責任である。