血圧が高いとどのような症状が見られる?改善方法も解説
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高血圧は良くないとなんとなく理解しているものの、血圧が高いとどうなるか理解していない人は多いでしょう。この記事では、血圧が高いことがなぜよくないのか、その理由について解説します。また、高血圧に伴い発生する症状や改善策などについても取り上げているため、血圧が気になる方はぜひ参考にしてみてください。

目次

  1. 血圧が高いことがよくない理由
  2. 血圧が高いときに見られる症状
    1. 高血圧性脳症
    2. 高血圧症
  3. 高血圧になりやすい人
  4. 血圧が高い状態を改善するには
    1. 塩分を控える
    2. カリウムを摂取する
    3. 適度に運動し体重を維持する
    4. お酒を飲み過ぎない
    5. タバコを吸い過ぎない
  5. まとめ

血圧が高いことがよくない理由

血圧が高いことがよくない理由は、命に関わるような重大な病気の原因となる動脈硬化を引き起こす可能性があるためです。 高血圧の状態が続くと血管には常に圧力がかかり、負荷がかかることで徐々に血管が厚くて硬い状態になります。これが動脈硬化です。動脈硬化は合併症として、心筋梗塞や脳卒中などを引き起こす可能性があります。また、腎臓病などさまざまな臓器に対する合併症を引き起こすケースもあるため注意しなければなりません。

血圧が高いときに見られる症状

一般的に血圧が高くなると、動悸や息切れ、肩こり、めまいなどが起きやすくなります。ただし、これらの症状は血圧が高くなくても起こり、高血圧が原因となっているかどうか判断しにくいものです。実際に自覚症状を感じることなく高血圧の状態が続き合併症のリスクが高まっているケースも少なくありません。そのほかにも、血圧が高いことによって見られる症状があります。ここでは、具体的な症状をいくつか紹介します。

高血圧性脳症

高血圧性脳症は、急激に高血圧になることによって引き起こされる頭痛です。ただの高血圧であれば、頭痛や吐き気を伴うことはありません。しかし、高血圧が急激に悪化すると脳に負担がかかり頭痛や吐き気、さらには意識障害や痙攣などが発生します。

高血圧症

高血圧症は、慢性的に高血圧の状態が続くことです。高血圧症は収縮期血圧が140mmHg以上、もしくは拡張期血圧が90mmHg以上である場合のことをいい、どちらか片方だけでもこの値を超えていると、高血圧症と診断されます。
高血圧症は、遺伝的な理由によって発生するもの、腎臓疾患やホルモン異常といった病気が原因であるものもありますが、塩分の過剰摂取や肥満、運動不足など生活習慣の乱れから発生しているものも少なくありません。塩辛いものを好み、お酒をよく飲み、タバコを吸い、ストレスを抱えているといった人は高血圧症になるリスクが高いといえます。一方で、バランスのいい食事を取り、適度に運動をするなど生活習慣を見直すだけでもかなり状況が改善されます。

高血圧症から合併症が起こることもある

高血圧症は、合併症を引き起こす可能性もあるため注意が必要です。高血圧の状態が続くと動脈硬化になりやすく、動脈硬化になると血管の内径が狭くなってしまいます。そうなると血管が閉塞しやすくなり、脳梗塞や心筋梗塞の危険が高まります。
高血圧症は、生活習慣の乱れによって引き起こされるケースが少なくなく、誰でも合併症を引き起こすリスクがあるため、日常生活の中でこまめに血圧測定を行うなどしましょう。

高血圧になりやすい人

一般的に高血圧になりやすいタイプは、「本態性高血圧」である人です。これは、遺伝的な要因に生活習慣の乱れが加わって引き起こされるものです。具体的な要因が特定されるわけではなく、複数の要因が重なることで引き起こされています。

また、数は多くないものの、明確な原因があって高血圧になる「二次性高血圧」の人もいます。これは、腎臓や副腎疾患が原因となって高血圧になっている人のことで、多くの場合は病気の治療を行うことで血圧は下がります。

血圧が高い状態を改善するには

ここでは、血圧が高い状態を改善するためのポイントについて解説します。ちょっとした取り組みで状態は改善されるため、ぜひ試して見てください。

塩分を控える

塩分の取りすぎは血圧の上昇につながるため、塩分摂取を控えましょう。令和元年の「国民健康・栄養調査」によると、日本の食塩摂取量の平均値は 10.1gで、性別で見ると男性は10.9g、女性は9.3gとなっています。一方で、「高血圧治療ガイドライン2019」では、高血圧を改善するためには、6g/日未満の摂取が推奨されています。もう少し味を濃くしたい、と調味料を加えるだけで塩分摂取量はかなり高まってしまうため、薄味を意識するなど、塩分の過剰摂取に注意してください。

カリウムを摂取する

高血圧対策には、カリウムの摂取もおすすめです。これは、カリウムに塩分の取りすぎによる血圧の上昇を防ぐ働きがあるためです。カリウムはバナナや芋類、かぼちゃ、ニラ、白菜、キャベツ、肉類などに多く含まれているため、毎日の食事に少しずつ取り入れてみてください。ただし、糖尿病や腎臓疾患などの病気が原因でカリウムの摂取量を制限されている人は、主治医と相談しながら摂取量を調整する必要があります。

適度に運動し体重を維持する

肥満は高血圧につながるものであるため、日頃から定期的に運動に取り組み、肥満にならないようにすることが大切です。適正な体重の目安を知りたい場合はBMI値を把握しましょう。BMIは、以下の計算式で算出可能です。

  • BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)

BMIは25を1つの目安として、これを越えることがないように運動に取り組むことで、高血圧の予防や改善にもつながります。 いきなり激しい運動をすると怪我をする恐れもあるため、運動習慣のない人は、ウォーキングやゆっくりとしたペースのジョギングなどから始めてみてください。

お酒を飲み過ぎない

お酒の飲み過ぎも血圧上昇につながるため注意が必要です。理想はお酒を飲まないことですが、ゼロにするのは難しいといった場合は、1週間に数日は休肝日を設け、1回の飲酒も適正量で楽しむようにしましょう。

タバコを吸い過ぎない

タバコは、交感神経を活発にする働きがあり、それによって血管の収縮が起こります。慢性的に吸い続けると動脈硬化の促進につながり、結果的に高血圧になってしまいます。そのため、禁煙に取り組む、タバコの本数を徐々に減らしていくなどしましょう。

まとめ

今回は、血圧が高いとどのような症状が見られるのか解説しました。高血圧は、命を脅かすような重大な病気にもつながりかねません。生活習慣の乱れによるケースが少なくないため、今回の内容を参考に、生活習慣の改善に取り組み血圧を下げていきましょう。

中島由美
中島 ゆみ(なかじま・ゆみ)
所属:クリスタル医科歯科クリニック 診療科目:内科・美容皮膚科・アレルギー科など
・ニューヨーク州バッファロー市生まれ
・金沢医科大学 医学部 卒
・金沢医科大学病院にて小児科・内科研修
・大阪・神戸・東京・福岡の病院で内科と皮膚科を担当
・2018年8月クリスタル医科歯科クリニック内に内科、美容皮膚科、アレルギー科を開設