いくら飲んでも喉が渇くのはなぜ?病気のサイン?対処法も解説!
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いくら飲んでも喉が渇くことで、悩んでいませんか?喉が渇き過ぎる原因には、日常で飲んでいるドリンクや人間の生理作用が影響します。さらに、病気のサインの場合も。この記事では、病気の早期発見のためには見逃せない喉の渇きを解説します。喉が渇きを潤すための対処法もお伝えするので、喉の渇きで悩んでいる人は、ぜひ参考にしてください。

目次

  1. 風邪との関係は!?のどが渇く理由
    1. 喉が渇くのは血液中の水分が減少したから
    2. 2%の水分減で喉が渇く
    3. 風邪をひくと喉が渇く理由
  2. いくら飲んでも喉が渇く原因
    1. ストレスによる自律神経の乱れ
    2. 生理中や更年期のときの女性ホルモンの影響
    3. 塩分の摂り過ぎ
    4. 利尿作用がある飲料の飲みすぎ
    5. 熱中症による発熱の影響
  3. 夏でも冬でものどが渇く!?季節との関係性
    1. 冬の喉の渇き
    2. 夏の喉の渇き
  4. 病気が疑われる場合の喉の渇き
    1. 糖尿病
    2. 自己免疫疾患(シェーングレン症候群)
    3. 腎臓病
    4. 喉の渇きで病院に行く場合の目安
  5. 喉が渇くときの対処法
    1. 適度に糖分を摂る
    2. できる限り温かいものを飲む
    3. 室内の湿度を上げる
  6. 喉の渇き過ぎやその他の症状がある場合は病院に相談しよう

風邪との関係は!?のどが渇く理由

喉が渇くのは脳の指令により、人間の中に「喉が渇いた」という欲求が起こるからです。2%ほど体内の水分が奪われると、人間は喉の渇きを感じると言われていて、放っておくと生命の危機に晒されます。風邪による発熱も、喉の渇きを引き起こす要因です。

ここでは、喉が渇く理由を詳しく解説しますので参考にしてください。

喉が渇くのは血液中の水分が減少したから

脳が血液中の水分が減少したことを察知すると、細胞中の水分を血液に送るように働きかけます。そうすると、細胞中の水分が減少して補う必要が出てくるため、脳は「喉が渇いた」という欲求を人間に起こさせ、水分を摂取させます。最終的に人間が水分を摂取して喉の渇きを満たし、体内の水分が一定に保たれているのです。

2%の水分減で喉が渇く

通常の人体中に水分が占める割合は60~70%です。そして人間が喉の渇きを感じるのは、通常の状態から2%の水分が奪われたとき。

さらに5%が失われると熱中症になり、20%が奪われると死に至るケースもあると言います。つまり、喉が渇いて水分を欲するという生理現象は、人間が生きる上で必要なことなのです。

風邪をひくと喉が渇く理由

風邪で発熱をすると脱水を起こしやすくなるため、喉が渇きます。脱水とは体内の水分が失われた状態で、脱力やだるさ、たちくらみ、口の乾燥などの症状も伴います。

風邪の発熱によって脱水状態にある体の水分を補うためにも、常温の水分を少しずつ摂取するのがおすすめです。経口補水液やスポーツドリンクでミネラルを補うのもよいでしょう。

いくら飲んでも喉が渇く原因

いくら飲んでも喉が渇く原因は、次の通りです。

  • ストレスによる自律神経の乱れ
  • 生理中や更年期のときの女性ホルモンの影響
  • 塩分の摂り過ぎ
  • 利尿作用がある飲料の飲みすぎ
  • 熱中症や発熱の影響

生活習慣から生理現象までいろいろなことが原因となり、喉が渇きます。それぞれ分かりやすくお伝えします。

ストレスによる自律神経の乱れ

ストレスがかかると自律神経のうちの交感神経が優位になり、喉が渇きやすくなります。
自律神経は交感神経と副交感神経からなり、両者のどちらが優位になるかによって体の唾液の分泌量が変化します。

交感神経が優位で精神的に緊張した状態になると、ネバネバした少量の唾液が分泌されるように。他方、副交感神経が優位でリラックスした状態だと、サラサラした唾液が分泌され、口内の唾液の量も多くなります。

つまり自律神経が乱れて、交感神経が優位な状態が続くことで、喉が渇きやすくなるのです。

生理中や更年期のときの女性ホルモンの影響

生理中や更年期における喉の渇きは、女性ホルモンが関係しています。女性ホルモンは皮膚や粘膜の潤い、自律神経のバランスをコントロールしているからです。

たとえば女性ホルモンの1つであるエストロゲンが減少すると、粘膜が乾燥しやすくなります。さらに、前項で説明した自律神経の乱れが生じることもあります。

生理や更年期は女性ホルモンの状態が変化することで訪れる生理現象。そのため、女性ホルモンの影響で喉の渇きも感じるようになるのです。

塩分の摂り過ぎ

塩分の摂り過ぎによる喉の渇きは、血液や細胞中の水分量の減少が関係しています。塩分を摂取すると、浸透圧の関係から血液や細胞中の水分が外側へ持っていかれます。

たとえば、青菜に塩を振った時をイメージしてみてください。青菜に塩を振ると、青菜の外側の塩分濃度が高くなるので、浸透圧の差によって青菜内部の水分が外部に持っていかれてシワシワになります。

人間も同じように塩分を摂り過ぎると、血管や細胞の外側に水分を持っていかれるため、脱水状態となり喉の渇きを感じるようになるのです。

利尿作用がある飲料の飲みすぎ

利尿作用がある飲料を飲み過ぎると、体内の水分が尿となって排出されるため、喉の渇きを感じやすくなります。利尿作用のある飲料には次のようなものがあります。

  • エナジードリンク
  • アルコール飲料
  • コーヒー
  • 紅茶
  • 緑茶

多尿で喉が渇きやすい場合は、日常的に飲んでいるドリンクをチェックしてみてください。

熱中症による発熱の影響

熱中症になると脱水状態となり、喉が渇きやすくなります。熱中症では死亡例も報告されているので、疑われる場合はすぐに病院を受診した方がよいでしょう。

熱中症は喉の渇き以外にも、筋肉のけいれんや頭痛、めまい、脱力感、顔面蒼白といった症状が見られます。重症化すると体温が40度を超えたり、意識障害が出たりするので注意が必要です。

高温や多湿、無風、直射日光といった環境下で発症しやすいのも熱中症の特徴。脱水状態になりやすい環境でもあるため、熱中症にならないためには、頻繁に水分補給をして喉の渇きを潤すのも重要です。

とはいえ熱中症だと、喉が渇いても自力では水分を補給できないこともあるため、人の助けを借りる必要もあるでしょう。

夏でも冬でものどが渇く!?季節との関係性

喉の渇きは夏でも冬でも起こりえますが、季節に応じて喉の渇き方や原因が異なります。ここでは、冬場と夏場の喉の渇き方について解説します。

冬の喉の渇き

冬場に喉が渇く理由は、空気の乾燥の影響を受けるからです。空気が乾燥すると、皮膚や粘膜、呼気から水分が奪われ、喉が渇きやすくなります。

とはいえ冬場の喉の渇きは感じにくのが特徴。気づかないうちに脱水状態になることもあるので注意が必要です。

夏の喉の渇き

夏に喉が渇くのは、気温が高いために汗をかいたり、水分が体内から蒸発したりするからです。夏場は強い喉の渇きを感じるため、水分を摂り過ぎる可能性があります。

また体を冷やすために、冷たい水分を摂ってしまい、胃腸を冷やしてしまうことも。胃腸が冷えると、水分を吸収できずに全身に水分が行き渡りづらくなります。

結果的に、いくら飲んでも喉が渇くといった悪循環に陥る可能性があるのです。夏場は冷たい水分の摂り過ぎに注意しましょう。

病気が疑われる場合の喉の渇き

喉が渇く病気には、糖尿病や自己免疫疾患、腎臓病があります。病気が疑われるときは、病院を受診するようにしましょう。喉の渇き安くなる病気や病院を受診すべき喉の渇き方を解説するので、参考にしてください。

糖尿病

糖尿病とはインスリンがしっかりと働かないために、血液中の糖が増える病気です。糖尿病の場合、ドロドロの血液を薄めるために喉の渇きを感じます。

血液がドロドロだと、血管がつまって脳梗塞や心筋梗塞になる可能性があるのです。そのため、糖尿病による喉の渇きは、身体の病気を予防するための防衛機能だとも言えます。

糖尿病で喉の渇きを感じる場合は、症状が進行している状態なので、早めに病院を受診するべきでしょう。

自己免疫疾患(シェーングレン症候群)

シェーングレン症候群は外分泌腺に炎症が起こる自己免疫疾患です。つまり、外分泌腺の1つである唾液腺が炎症を起こし、唾液が出なくなることで口が乾燥して喉が渇きやすくなります。

シェーングレン症候群は自己免疫疾患に分類され、身体の防衛機能である自己免疫が外分泌腺を攻撃して炎症が慢性化します。唾液腺以外の外分泌腺である涙腺の機能も削がれるので、目が渇きやすくなるのも特徴です。

唾液が出ないことで口内の歯周病が広がったり、目が渇くことで目が傷ついたりするので、乾燥に対処するための治療を病院で受けるようにしましょう。

腎臓病

腎臓病は、尿の排出量を調節する腎臓の機能が損なわれる病気です。そのため腎臓病になると、尿量が増えて体内の水分が減少しやすくなり、喉が渇きやすくなります。

腎臓病は自覚症状を感じにくい病気と言われているため、病院で定期検診を受けて早期に腎臓の不調を発見することが大切です。

喉の渇きで病院に行く場合の目安

喉の渇きやその他の症状で病院を受診すべき目安は、次の通りです。

  • 大量に水分を摂っても喉が渇く
  • 高熱だったり尿がでなかったりする
  • 喉の炎症で水分を摂れない
  • 以前よりもジュースの摂取量が増えた
  • 水分や氷を常に摂りたくなる

とくに、上から3番目の項目までは重篤な病気を発症しているケースがあるため、早めに病院を受診しましょう。

喉が渇くときの対処法

ここでは喉が渇くときに、自宅でもできる対処法をご紹介します。簡単な方法をピックアップしましたので、参考にしてください。

適度に糖分を摂る

適度に糖分を摂ると、腸における水分の吸収を促せる可能性があります。たとえば、スポーツ飲料には適度に糖分が含まれているので、喉が渇きやすい発熱時や運動後に摂取するようにしましょう。

できる限り温かいものを飲む

温かいものを飲むと、腸の水分を吸収する働きを促進できる可能性があります。あまり熱過ぎる飲み物は、逆に喉が渇きやすくなるので、常温に近いぬるま湯くらいのドリンクを飲むとよいでしょう。

室内の湿度を上げる

乾燥すると喉の粘膜や呼気から水分が奪われやすくなります。そのため、乾燥しやすい冬場は特に、加湿器を使って室内の湿度を上げるようにしてください。

デュフューザーと言われるアロマの芳香を拡散させる器械を、加湿器として利用するのもおすすめです。最近では比較的に安価で小型の商品も多く、扱いやすいので、手軽に使える加湿器が欲しい人は利用してみるとよいでしょう。

喉の渇き過ぎやその他の症状がある場合は病院に相談しよう

喉の渇き過ぎの原因には、日常的に飲んでいるドリンクや人間の生理作用が関係しています。いくら飲んでも喉が渇き過ぎて困っている場合は、まずは塩分を摂り過ぎていないか?利尿作用のあるドリンクばかりを飲んでいないか?といったことをチェックしてみるのもおすすめです。

そしてなかなか喉の渇きが解決しない場合は、病気の可能性もあるので、病院を受診して検査を受けることをおすすめします。喉の渇きは病気のサインである場合もあるので、医師に喉の渇きについて伝えるようにしましょう。

水野泰孝
水野 泰孝(みずの・やすたか)
日本小児科学会認定小児科専門医 /アレルギー専門医 /感染症専門医
国際協力機構(JICA)顧問医として7年間勤務。大学病院やナショナルセンターを基盤に小児科および感染症内科、特に熱帯感染症の臨床と研究、海外渡航者の健康管理などに長年携わる。 2020年6月にプライマリケアを行う診療所「グローバルヘルスケアクリニック」を開設。感染症に関するTV・ラジオ出演は2020-2021年だけで1000件近い。
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