経営戦略と経営計画の違い

経営戦略と同じような用語に、経営計画や経営戦術がある。この3つは、同じ意味に捉えがちだが実際には明確な違いがある。ここでは、それぞれの違いについて見ていこう。経営戦略とは、上述したとおり、企業が経営の目標や目的を達成するために設定する大局的な計画や指針のことだ。一方、経営計画とは、経営における具体的な計画である。

大局的な計画である経営戦略を受けて、目標を達成するために具体的にどのような行動を行えばよいのかを策定するのが、経営計画となる。また経営戦術は、比較的短い期間における成果実現のための施策のことだ。経営戦略が長期間にわたる計画や指針であるのに対して、経営戦術は経営戦略を実行するために行う短期間の施策となる。

経営戦略策定の基本的な流れ

経営戦略は、その企業によって異なるため、策定の手順や方法についても企業によって異なることがある。ただし基本的な策定手順は、ある程度決まっている。経営戦略を策定するための一般的・基本的な流れは、次のとおりだ。

1.経営理念・ビジョンの明確化

経営戦略を策定するにあたり、まずは経営理念・ビジョンを明確にする必要がある。経営理念とは、企業が何を大切にし、何を目指しているのかを明文化したものだ。いわば企業の価値観といえるものである。経営理念・ビジョンを明確にすることで、経営戦略を策定する際の判断基準を作ることができる。

2.外部分析

経営理念・ビジョンを明確化したあとは、外部分析を行う。外部分析とは、自社でコントロールできない外部の環境について分析することである。例えばファイブフォース分析などいくつかのフレームワークを使って分析するのが一般的だ。外部分析をすることで市場のニーズや機会だけでなく、脅威なども発見できる。

実際、2023年の「中小企業白書」でも経営戦略を策定した際にターゲットとする市場の分析をしている企業が多い。

3.内部分析

外部分析と同時に行うのが、内部分析である。内部分析とは、自社の保有資源である人や資産、お金などの内部環境を分析することだ。内部分析をすることで資源を有効に活用することができる。

4.戦略オプションの立案

外部分析と内部分析が終わったあとは、それを基に戦略オプションの立案を行う。戦略オプションとは、戦略のパターンのことだ。目的に応じた戦略パターンを複数用意することで、例えば外部環境の急激な変化などが起こった場合に状況に応じた戦略の選択・実行が可能になる。

5.経営戦略の選択

戦略オプションを立案したあとは、どの経営戦略を実行するのかを選択する。内部環境や外部環境に応じて最も適切な経営戦略を選択していく。

6.経営戦略の実行

経営戦略の選択後は、いよいよ実行のフェーズに移る。ただし経営戦略は、ただ実行すれば良いわけではない。経営戦略を実行している間は、正しく経営戦略が実行できているのか測定し軌道修正や見直しをする必要がある。

7.戦略の振り返り

設定していた期間が経過し、経営戦略が終了したら戦略の振り返りを行う。達成できたことや失敗したことを振り返り、それを基に新たな経営戦略を策定する。