景気リスク1位の座を退いた「コロナ感染」
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景気リスク1位の座を退いた「コロナ感染」

(日本経済研究センター「ESPフォーキャスト調査」)

三井住友DSアセットマネジメント 理事・チーフエコノミスト / 宅森 昭吉
週刊金融財政事情 2021年12月7日号

 ESPフォーキャスト調査は、日本の民間エコノミストによるコンセンサス調査である。2020年度は36人がフォーキャスターとして参加し、コンセンサス予測(総平均)の的中率は予測者全体の4位に当たる好成績になった。04年度から20年度まですべてでコンセンサス予測はベストテン入りし、平均順位は5位である。コンセンサス予測は、かなり優れた結果を残しているといえる。

 最新の11月調査での実質GDP予測を見ると、マイナス成長だった7~9月期の後の10~12月期についてはコンセンサス予測が4.93%となり、2四半期ぶりのプラス成長に転じる見通しだ。また、7~9月期にそろって前期比マイナスになった「個人消費」「設備投資」「輸出」は、10~12月期にすべてプラスに転じるとみる。

 ほかの指標の10~12月期コンセンサス予測では、消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)の前年同期比が原油高の影響などで0.45%上昇とプラスに転じ、鉱工業生産指数の前期比は1.88%と2四半期ぶりの上昇、完全失業率は2.82%と前期比ほぼ横ばいになる見込みである。

 同調査では随時、特別調査が実施される。20年9月からは奇数月に、「景気のリスク」を各フォーキャスターが三つまで挙げ、その結果を集計している。前回の21年9月調査まで、景気のリスクの1位はずっと「新型コロナウイルス感染状況」だった。ところが、新型コロナの新規感染者が急減した状況を反映して、21年11月調査では「中国景気の悪化」が景気のリスク1位に浮上し、新型コロナ感染状況は2位に退いた(図表)。なお、3位は「原油価格上昇」で、こちらも前回3位だった「米国景気の悪化」を逆転した。

 今回、景気リスク1位に躍り出た中国の景気に関する特別調査も、15年秋から3カ月に1度行われている。具体的には、国家統計局の中国製造業PMIに関して、景気判断の分岐点である50.0程度なら「保ち合い」、それを上回れば「上昇」、下回れば「下降」とする3択での調査である。21年11月調査の結果を見ると、21年10~12月期では上昇を選択したフォーキャスターが3(名)、保ち合い11、下降21と、下降が上昇を上回り、コンセンサスとしては、年内のPMIは依然50割れの可能性が高いという見立てである。

 しかし、22年に入ると様相が変わる。1~3月期は、上昇が9、保ち合い19、下降が7と、上昇が下降をやや上回る。そして4~6月期に上昇が24、保ち合い10、下降が1となり、以降は23年1~3月期まで上昇が20以上と景気回復を予想する回答が優勢になっている。

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(提供:きんざいOnlineより)