次代を担う成長企業の経営者は、ピンチとチャンスが混在する大変化時代のどこにビジネスチャンスを見出し、どのように立ち向かってきたのか。本特集ではZUU online総編集長・冨田和成が、成長企業経営者と対談を行い、同じ経営者としての視点から企業の経営スタンス、魅力や成長要因に迫る特別対談をお届けする。

今回のゲストは、株式会社And Doホールディングス代表取締役社長CEO安藤正弘氏。日本では珍しかった不動産フランチャイズをいち早く展開し、一気に全国規模へ成長させた同社。膨大な不動産データや全国ネットワークなどの強みや、それらを基盤とした今後の展開について伺った。

(取材・執筆・構成=丸山夏名美)

株式会社And Doホールディングス
(画像=株式会社And Doホールディングス)
安藤 正弘(あんどう・まさひろ)
株式会社And Doホールディングス(旧:株式会社ハウスドゥ)代表取締役社長CEO
京都府出身。不動産会社へ就職するも1年でバブル崩壊により会社が倒産し、再就職もことごとく失敗。26歳で奮起し、たった3坪の事務所で不動産仲介会社を設立。リフォーム事業、買取事業へ参入し、「買取→リフォーム→仲介」の三位一体のビジネスモデルを構築。直営店で培ったノウハウをもとに、2006年から不動産売買仲介専門のFCチェーン「ハウスドゥ」をスタート。「業界を変える!お客様のための業界へ」を使命に、時代に即したサービスを提供する「不動産サービスメーカー」としてお客様から必要とされ続ける企業を目指す
冨田 和成(とみた・かずまさ)
株式会社ZUU代表取締役
神奈川県出身。一橋大学経済学部卒業。大学在学中にIT分野で起業。2006年 野村證券株式会社に入社。国内外の上場企業オーナーや上場予備軍から中小企業オーナーとともに、上場後のエクイティストーリー戦略から上場準備・事業承継案件を多数手掛ける。2013年4月 株式会社ZUUを設立、代表取締役に就任。複数のテクノロジー企業アワードにおいて上位入賞を果たし、会社設立から5年後の2018年6月に東京証券取引所マザーズへ上場。現在は、プレファイナンスの相談や、上場経営者のエクイティストーリーの構築、個人・法人のファイナンス戦略の助言も多数行う。

国内で珍しかった不動産売買仲介事業のフランチャイズ形式をいち早く確立し、一気に全国規模に成長

株式会社ハウスドゥ

冨田:創業されてから今現在の総合的な不動産サービス事業を広げられるまでの変遷をお聞かせください。

安藤:創業したのは約30年程前になりますが、京都の向日市という場所で不動産売買仲介事業からスタートしました。今では事業の幅を広げ、マンション・戸建て・土地と様々な不動産の売買仲介を行うだけでなく、リフォーム、買収にも参入しており、さらにこれらを基盤に、ハウス・リースバック、リバースモーゲージ保証事業、不動産担保ローンなどの金融事業などあらゆる住まいに付随するサービスを展開しています。

不動産業界はまだまだ遅れている業界で、初めて社会人として不動産業に入った当時は、同業者さんのほとんどが、自分たちが儲かる物件ばかりを紹介していました。私はそれに疑問を抱き、お客さまが納得するものを提供したいと、可能な限り物件情報を提示し、そこから選んでいただくようにしていました。それがお客さまにご評価いただいていましたし、その精神が今でも私たちのビジネスの根源となっています。

創業してから5年程たった時に、進んでいる米国の不動産業界を視察に行く機会がありました。アメリカでは不動産業のフランチャイズが当然のように広まっていましたが、日本には不動産売買仲介フランチャイズはほとんどなく、「業界を変える」という志を持って2006年にフランチャイズ化をスタートしました。

一気に全国1,000店舗ぐらいに広めたいと思っていましたが、不動産業者さんからは、なかなか認めてもらえませんでした。一方で、リフォームや建築など不動産の周辺業者さんが不動産業に参入したかったとどんどん参加してくださり、フランチャイズを広めることができ、成長エンジンとなりました。

それからフランチャイズ事業を伸ばして上場する予定でしたが、そのタイミングでリーマンショックが起こり、実際はそこから5年後ぐらいの上場となりました。

株式会社 ハウスドゥ

冨田:業界では驚くほどのスピードで成長できたのは、国内になかったフランチャイズ形式を持ち込んだこと、そして不動産業だけでなく周辺の事業者さんの参加があってだったのですね。先進的にそのような取り組みをされてきた御社の強みはどこにあるのでしょうか。

安藤:1つはハウス・リースバック(自宅を売却し、売却後も利用できるサービス)のサービスを展開し確立していることです。当時おそらく日本になかったサービスでしたが、やってみたところ非常にご好評いただき、弊社が成長する1つの要因となりました。

これが成功できた理由の一つとして、当社の宣伝力にあります。当社は、フランチャイズ加盟店様から広告分担金をいただいています。広告料をみんなで協力して負担することで、1店舗当たりの負荷が非常に少なくても、イメージキャラクターとして古田敦也さんを採用したり、大きいCMを打つことができます。

この仕組みがあって、今の認知度と信用力をつけていることも、私たちの強みの1つとして挙げられます。

株式会社 ハウスドゥ

リアルタイムかつ詳細な不動産データと全国ネットワークが、圧倒的な強みに

冨田社長

冨田:全国に広がった加盟店さんのネットワークが大きな強みにつながっているんですね。このネットワークや膨大な不動産データを基盤に展開されているサービスについて、もう少し詳しくお聞かせください。

安藤:我々の強みは、加盟店様が入力するデータベースです。例えばアメリカでは、不動産の情報すべてを公開しなくてはなりません。政府もお客さまも含め誰もが価格、周辺情報などを把握できる環境なのです。一方、日本では情報が非常にクローズドです。アメリカでは適正な評価額がリアルタイムに分かるのに、日本では2年後に路線価がようやく分かるなど、不便が多いです。

弊社には加盟店さんが入力する膨大な不動産データが蓄積されています。大手のポータルサイトもあると思われるかもしれませんが、不動産会社が広告として掲載しているものだけしかありません。私たちは地域の情報のすべてをリアルタイムで入力してもらっているので、情報の深さとスピードが違います。

それを生かして、3年前からリバースモーゲージ保証事業(自宅などを担保に、そこに住み続けながら金融機関から融資を受けられるシニア世代向けの金融制度の金融機関への担保評価及び債務保証事業)を展開しています。金融機関は不動産のプロではないので、不動産の評価が難しい。そこに弊社が入ることで迅速かつ的確な評価が可能となります。

リバースモーゲージは、利用期間が長いことが多く、元金の返済に不動産の売却が伴う仕組みであるため、売却できないときのリスクが高く、他社の保証会社はあまりやりたかがらない事業です。また、不動産業が専門ではない保証会社の場合、不動産の処分の際に不動産価格の2割程度の諸経費が掛かります。 弊社であれば、不動産の販売を事業としており、物件が古ければリフォームをして付加価値をつけたり、建替えて販売することもできます。他社ではただのコストとなる2割分が弊社では不要なので、その分保証額を高く設定することができます。

株式会社 ハウスドゥ

膨大な不動産データを基盤に事業融資補償の事業を確立し、アジアに広める

冨田:競合他社が安易に手をつけられない領域であり、もし参入しても大きなリスクがともなう。圧倒的に強いポジションを固めていらっしゃいますね。今後はどのような事業展開や未来構想をお持ちでしょうか。

安藤:金融事業に参入して分かったことは、銀行は不動産融資自体にも手をつけたがらないということです。そこで将来的には私たちが事業融資保証の分野を手がけていきたいと考えています。事業者は枠内であれば、いつでも資金の出し入れができるよう保証する。ここは確実に大きなマーケットがあるはずです。

私たちは不動産に関して圧倒的なデータを持っているので、どこよりも効率的に不動産の評価やリスクの査定ができます。金融機能を私たちが代替するサービスは、金融機関にも、エンドユーザーにも求められる、まさに三方よしの事業です。

さらに日本でこのモデルを確立すれば、アジア各国に移植することも可能です。中長期的には、アジアで多くの方や金融機関から求められる総合的な不動産サービスメーカーとしての地位を築きたいです。

冨田:非常に大きな構想にわくわくさせられますね。日本を代表する不動産メーカーとして今後の展開も期待しています。

プロフィール

氏名
安藤 正弘
会社名
株式会社And Doホールディングス(旧:株式会社ハウスドゥ)
役職
代表取締役社長CEO
ブランド名
ハウスドゥ