2017年に第1号案件がスタートして以来、徐々に市場が拡大している株式投資型クラウドファンディング(ECF)。「第1回 テンバガーも狙える? ダイヤモンドの原石を探せ! 株式投資型クラウドファンディングの可能性」では、日本や海外のECF市場の現状やECFのメリットなどについて、ECF事業を手掛けるユニコーンの安田次郎CEO(最高経営責任者)に話を聞いた。ここでは、ECFのリスクや銘柄の選び方、投資の方法などについて、引き続き安田CEOに聞いていく。果たして、ECFを活用した上手な投資方法とは。
国際証券(現三菱UFJモルガンスタンレー証券)にて、本邦企業の資本政策・資金調達やIR戦略の立案、執行に従事。その後、クレディ・スイス証券、リーマン・ブラザーズ証券の株式資本市場部に籍を置き、国内外における株式及び株式関連の資金調達(IPO含む)において数多くの主幹事案件を担当した。野村證券移籍後は、第三者割当型の資金調達や、事業会社が保有する株式の売却や自社株買いなどの案件について、デリバティブ(金融派生商品)を活用したソリューション提供業務を手掛けた。2019年2月より現職。
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―― 第1回では、株式投資型クラウドファンディング(ECF)がIPO(株式の新規公開)以前の未上場株への投資ができ、大きなリターンを得る可能性があることをうかがいました。一方で、投資期間中の株価がわかりづらいとのことですが、その他にどんなリスクがありますか?
安田CEO(以下同じ) 上場している株式への投資でも、株価の値下がりや投資した会社が破綻するといったさまざまなリスクがありますが、未上場株への投資はさらにリスクが高い商品に分類されるでしょう。上場株への投資に比べて大きなリターンが期待できる分、リスク度も高くなります。先ほど(※第1回参照)もお話したように、途中売却がしづらいのも難点です。
また、私たちECFの事業会社では、企業に四半期ごとの業績開示を義務付けるといった情報開示を徹底しています。しかし、証券会社のレポートなどはありませんし、上場株と比べると情報開示の点で劣っている部分があるのは否めません。
ただ、上場会社の「中期経営計画」も予想数字通りにいくかというと、そうではありませんよね。上ぶれしたり、あるいは下ぶれしたりすることの方が多いかもしれません。ましてやスタートアップ企業となれば、事業計画通りに進むのはさらに難しいでしょう。細かい数字よりも、ターゲットとする市場の規模や行っている事業の内容、ライバル企業との差別化戦略などをより重視すべきです。
―― 保有期間中の株価が見えないというのは、やはり投資家にとって怖さがありますね。
そもそもECFへの投資は、「リスクを取って大きなリターンを求めていく」姿勢が必要です。といっても、ハイリスク・ハイリターンを追い求めるだけではなく、その企業を応援したい、成長を一緒に見守りたいという気持ちが大切になってきます。
その会社と株主との距離感が上場企業に比べて近いのもECFの魅力の1つ。たとえば、株主がトヨタの豊田社長やソフトバンクの孫会長と直接やり取りができる場面はそうそうありませんが、ECFでは、ECF事業会社やその会社のホームページなどを通じてやり取りできますし、経営者や会社をより身近に感じることができます。その企業が成長することで「自分が応援したんだ」という満足感を得られるのも、ECFの特徴と言えるでしょう。
―― 企業の成長や大きな株価の値上がりが期待できる銘柄は、どうやって探せばいいのでしょうか。