雇用保険の加入手続きの流れ
雇用保険の加入にあたっては、雇用保険と労災保険の2つを包括した「労働保険」に関連した手続きも必要になる。以下では、雇用保険に加入するまでの流れと、各手続きのポイントをまとめた。
手順1.届出を提出する
まずは、保険関係が成立した日の翌日から10日以内に、労働保険の保険関係成立届を以下の機関に提出する。
一元適用事業:労働基準監督署
二元適用事業:所轄のハローワーク
一元適用事業とは、二元適用事業以外のすべての事業のことであり、該当する企業は雇用保険と労災保険の手続きをまとめて行う。二元適用事業は以下のいずれかに該当する事業であり、雇用保険と労災保険の手続きを別々に行う必要がある。
・都道府県および市町村、並びにこれらに準ずる者が行う事業
・農林水産事業
・建設事業
・港湾労働法が適用される港湾で、港湾運送の行為を行う事業
二元適用事業に該当する場合は、書類の提出先が雇用保険と労災保険で異なるため注意しておきたい。なお、書類提出時に発行される「労働保険番号」は以降の手続きで必要となるため、最初に届出を提出しなければならない。
手順2.概算保険料の算出
次は賃金支払見込額をもとに、保険関係が成立した日から保険年度の末日(3月31日)までの分を計算する。提出書類や期限はないが、以降の手続きが間に合うように進める必要があるため、できるだけ早めに取り組んでおきたい。
手順3.申告書・納付書の提出
概算保険料を算出したら、保険関係が成立した日の翌日から50日以内に申告書・納付書を提出する。提出先については、以下の通りである。
一元適用事業:労働局、労働基準監督署または金融機関
二元適用事業:労働局または金融機関
このプロセスでは、口座振替や電子納付、銀行の窓口などで概算保険料も納付する必要がある。
手順4.設置届と資格取得届の提出
次に、適用事業を開始した日の翌日から10日以内に、雇用保険適用事業所設置届と雇用保険被保険者資格取得届を所轄のハローワークに提出する。
このプロセスでは、「労働保険保険関係成立届」の事業主控や、「登記事項証明書」などの事業所についての確認書類の提示が求められる。また、新しく雇用保険の適用対象となる従業員を雇用する場合は、該当の従業員の「雇用保険被保険者資格取得届」の提出が必要だ。
なお、「労働保険保険関係成立届」をはじめとした雇用保険加入時に必要な申請や、毎年の保険料の納付に際した「年度更新申告」の手続きなどは、電子申請でも可能である。ただし、電子申請では「認証局」から電子証明書を取得する必要があるため、早めの準備が必要となる。
例外:従業員が離職した際の手続き
従業員が離職した場合は、被保険者でなくなった日の翌日から10日以内に、「雇用保険被保険者資格喪失届」と「雇用保険被保険者離職証明書」を所轄のハローワークに提出しなければならない。なお、離職理由によって失業手当等の給付額が異なるため、提出の際は離職理由が確認できる書類の提示が求められる。