2022年1月6日、自動車部品大手のデンソー <6902> の株価が一時1万0,185円まで買われ、上場来の高値を更新した。2021年1月15日の安値5,700円から1年足らずで78.7%の上昇である。

デンソーが人気化している背景には世界的な自動車株の上昇がある。デンソーの筆頭株主で主要取引先でもあるトヨタ自動車 <7203> が上場来高値を更新したほか、日産自動車 <7201> やマツダ <7261> 、米自動車大手のGM(ゼネラル・モーターズ)、フォード・モーターなど主要な自動車株が年初から揃って上昇している。さらにトヨタ自動車が「バッテリーEV戦略」を打ち出したことも相まって、自動車部品需要が拡大するとの期待が高まっているようだ。

今回はデンソーの話題をお届けしよう。

デンソー、2022年3月期は4期ぶりの過去最高益へ

デンソー,株価
(画像=Oskanov / pixta, ZUU online)

デンソーの前身はトヨタ自動車(以下、トヨタ)の開発部門であった。1949年に日本電装として分離独立、トヨタを中心に自動車用電装部品の販売を拡大した。現在では36カ国に拠点を置き、世界の主要な自動車メーカーに幅広い製品を供給している。自動車部品業界では、日本国内で第1位、世界ではドイツのボッシュに次いで第2位のメガサプライヤーだ。

デンソーの2022年3月期第2四半期累計(2021年4〜9月)決算は、売上高が前年同期比24.5%増の2兆5,829億円、本業の利益を示す営業利益は1,593億円の黒字(前年同期は696億円の赤字)に転換する好決算だった。同期は半導体不足などによる車両減産が見られたものの、新型コロナ危機からの回復傾向と、固定費低減・合理化努力などにより、前年比で増収・増益となった。

ちなみに、同期の売上構成比(得意先別)を見ると全体の51.3%をトヨタグループが占めている。トヨタグループ以外では日産自動車やマツダ、スズキ <7269> 、SUBARU <7270> 、ホンダ <7267> 、GM、フォード・モーターなど大手自動車メーカーが名を連ねている。デンソーはトヨタグループを中心とした自動車メーカー各社の業績や株価の影響を受けやすいのが特徴だ。

デンソーは2022年3月期(通期)の見通しについて、売上高で前期比12.2%増の5兆5,400億円、営業利益を同183.7%増の4,400億円に据え置いた。実現すれば売上高は2019年3月期以来3期ぶり、営業利益は2018年3月期以来4期ぶりにそれぞれ過去最高を更新する見通しである。

トヨタの「バッテリーEV戦略」で脚光を浴びる?

ところで、株式市場でデンソーが注目されるようになったのは、トヨタの「バッテリーEV戦略」がきっかけとされている。

2021年12月14日、トヨタは東京・お台場のメガウェブのトヨタシティショウケースにて「バッテリーEV戦略に関する説明会」を開催した。説明会では市販化前提のコンセプトカーとして、15車種の新型EVを公開するとともに、4年後には7車種のEVモデルを市販化、さらに9年後には30車種まで拡大することを明言した。同時にトヨタは2030年にEVの世界販売台数を350万台とする計画も発表した。FCV(燃料電池車)と合わせて200万台としていた従来計画から、EVのみで150万台引き上げるものである。

翌12月15日の株式市場ではトヨタが前日比で一時4.3%高の2,132円に上昇、デンソーも一時4.9%高の9,073円まで買われている。12月14日のトヨタの「バッテリーEV戦略」発表から、年明け1月7日(終値)までの上昇率はトヨタが12.8%(12月14日2,045円→1月7日2,307.5円)、デンソーは16.3%(12月14日8,650円→1月7日1万0,060円)でほぼ連動するような動きである。

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