日足の画像
(sh240 / PIXTA(ピクスタ))

ネット掲示板やSNSなどを情報ソースに短期売買を繰り返す「イナゴトレーダー」。一見すると、中長期投資とはまったく交わらないように思えるが、実は彼らの行動にも中長期投資のヒントが眠っている。本コラムでは、2021年の株式相場を短期投資家寄りの視点で振り返りつつ、2022年のトレンドを探ってみたい。

税金対策売りは底値拾いのチャンスか

2021年は2月と9月、2度にわたり日経平均株価が3万円の大台に乗せるメモリアルイヤーとなった。日経平均が3万円を記録したのは1990年のバブル崩壊以降、初めてのことだ。日経平均の高値の話になると、「日経225銘柄はバブル時と様変わりしており、当時といまの価格を比べるのは無意味」との論調をよく見かける。至極当然なのだが、2021年はTOPIX(東証株価指数)もやはりバブル後の最高値を更新しているから、2021年は2020年からの日本株の底上げが続いた年と言っていいだろう。

もっとも、2021年大発会の日経平均の始値は2万7,575円で、このコラムを書いている20日の終値が2万7,937円だから、ほぼ“行って来い”の状態である。しかも、11月25日のオミクロンショック以降は下げ基調となっているため、投資家は2021年の株式相場に対してあまりいい印象を持てないかもしれない。

オミクロンショック以前は平均株価が年始より上の水準で推移していたため「今年はあまり税金対策売りを心配する必要はなさそう」との見方が色濃かった。しかし、11月下旬以降の下落によって、税金対策売りを考えている投資家が増えているはずだ。一応、説明をしておくと、株は損益通算ができる金融商品なので、株価が買い値より下落している銘柄を一度売却し、損失を確定させることで、2021年に発生した株式投資による利益の額を減らせるので、節税になる。これが税金対策売りだ。

10月から11月にかけて株価が急上昇していた銘柄、とりわけ東証マザーズを中心とした新興銘柄のうち、12月に入って株価が暴落する銘柄が目立つ。これは単なる憶測だが、株価の急上昇中に売りそびれた投資家が、最近のマザーズ市場の軟調さを目にして、一斉に節税のための処分売りに出ているのではないだろうか。Zホールディングス(旧ヤフー)やGMOグループの出世株であるGMOペイメントゲートウェイなど、東証1部銘柄の一部にもそうした売りが波及している可能性がある。

ちなみに、12月29日以降の取引は受け渡しが年明け1月4日以降の扱いになるので、税金対策売りは12月28日が最終期限となる。12月半ば以降、不自然に株価が下げている銘柄があれば、税金対策売りが下げの一因になっている可能性があるので、狙ってみるのも面白そうだ。望外な底値拾いとなる可能性があるだろう。

短期投資家たちに見るトレンドや傾向

さて、ここからは2021年相場の振り返りと、2022年の相場について少し述べてみたい。