IPOの準備を始める時期と内容

IPOを行いたい場合は、上場を希望する時期の3期以上前からの準備が必要だ。なおIPOは、自社内だけで準備できるものではない。IPOコンサルタントへの依頼や会計監査を受けるための監査法人選定など、準備は多岐にわたる。また現在在籍している従業員だけで監査の受け入れや上場に向けての社内規定の作成が難しい場合は、対応できる人材の確保も必要だ。

まずは、IPOコンサルタントに依頼し「現時点でIPOまでに何が足りないか」「具体的な改善点はどこなのか」洗い出す作業から始めたい。

ショートレビューについて

上場の3期前ごろには「ショートレビュー」も受けておきたい。ショートレビューは「予備審査」とも呼ばれている。IPOに向けて企業の改善点を短期間でチェックするものだ。通常は、1週間程度で行われ調査結果は報告書として渡される。ショートレビューは、IPOを行うために何をしたらいいのか全く分からない企業が、何を見直すべきなのかを知る第一歩となるだろう。

ショートレビューでは、主に以下のような点をチェックされる。

  • 経営体制や内部管理体制が整っているか?
  • 会計管理がきちんとできているか?
  • 関係会社などとの取引状況
  • 希望する上場時期、上場する市場は最適か?

証券取引所では、IPOを希望する企業が一定レベルに達しているかを審査する。そのためショートレビューの時点で「上場基準に全く達していない」と落ち込む必要はない。上場申請を正式に提出するまでに、まずはショートレビューを受けて現時点での改善点を見つけておこう。

IPOプロジェクトの発足

IPOにかかる作業は、煩雑となるため、別の業務を担当している従業員が片手間にできるものではない。IPO準備専属で動ける従業員を集めた「IPOプロジェクト」を発足させることがおすすめだ。

ショートレビューで指摘された項目の改善

ショートレビューで指摘された事項があればできるところから改善に向けて動いていきたい。特に財務内容で指摘されることが予測されるため、対応に時間がかかる「赤字を出している関連会社の整理」や内部管理体制が問われることになる「問題がある役員の退任」については、早急に手をつけることをおすすめする。

【上場2期前】IPOのための体制づくり

上場2期前では、ショートレビューで指摘された項目の改善がなされているかを監査法人がチェックする。この時期には、指摘点を改善し実際に運用を始めていることも重視される傾向だ。もし改善がなされていない場合は、希望の時期よりもIPOが延びる可能性もあるため、注意しておきたい。また引き続き内部管理体制の改善は必要となるため、監査法人とアドバイザリー契約を結んでおくとよいだろう。