「3%ルール」判定が厳格化! 上場企業オーナー“鉄板”節税策にメス
(画像=PIXTA、ZUU online)

2021年12月、令和4年度(2022年度)の税制改正大綱が発表された。基本的には、この内容が2022年度に実現することになる。富裕層や高所得者にとっては、自分にどのような影響がある改正なのか気になるところだろう。

そこで今回は、【特集:2022年税制大綱を総点検 富裕層・高所得者に与える影響は?】と題し、2022年税制大綱のなかで富裕層・高所得者への影響が大きいと思われる改正内容を紹介していこう。野村證券でプライベートバンキング業務に従事し、現在は佐野比呂之税理士事務所代表である佐野税理士に解説してもらう。

佐野 比呂之
佐野 比呂之(さの・ひろゆき)
1998年、立教大学経済学部卒業。複数の中小税理士事務所に勤務。2006年、中央大学国際会計研究科修了MBA取得。税理士登録。2007年、税理士法人プライスウォーターハウスクーパース(PwC)入社(一時期、野村證券に出向)、主にオーナー企業向け税務顧問及び事業承継業務、国際相続案件に従事。2011年から野村證券で上場・未上場企業オーナー向けプライベートバンキング業務に従事。2014年、佐野比呂之税理士事務所を開所。2015年、合同会社パープル・リングスを設立。税理士、行政書士、1級FP(CFP)、宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、証券外務員一種(内部管理責任者)。

税制大綱に書かれたことは、基本的には実現する

そもそも税制改正大綱とは何だろうか。一言で言えば、翌年度以降の税制の改正案をまとめたものだ。あくまで“案”とはいえ、「税制改正大綱の記載内容が実施されないということはほとんどない」(佐野氏)というように、大綱に書かれたことは、基本的には実現すると考えて良いだろう。

具体的には、税制改正大綱が年末に発表され、年明けの国会審議を通過し、4月1日から施行されるケースが多い。改正内容によっては、さらに翌年の1月1日から適用される場合もあるが、いずれにせよ、税制改正大綱は今後の税金対策の立案において大変重要な資料となる。

税制改正大綱を出す主体には2つある。与党(自由民主党と公明党)と財務省(政府税制調査会)だ。ただ、それぞれを隅から隅まで読み込んで見比べる必要はない。「原則として本質的な内容はまったく同じ」(佐野氏)であるためだ。

それでは、どちらを重点的に確認すれば良いか。基本的には、与党が発表する税制改正大綱を見れば良いだろう。財務省資料は改正点だけが淡々と記載されていることに対し、与党資料は「改正に対する考え方」が明記されているので、改正の背景が捉えやすいためだ。

全損保険が封じられたバレンタインショック以来の衝撃

それでは、2021年12月10日に与党から発表された「令和4年度税制改正大綱」の中身を確認していこう。前述の通り、本特集は富裕層・高所得者に影響が大きいと思われる内容を中心に解説していく。

結論から言えば、相続税と贈与税の一体化は見送られたものの、それでも全体的には、富裕層や高所得者の負担増加につながる改正が多い。国としては『取れるところから取る』というスタンスなのだろう。そのなかで佐野氏が「富裕層の資産管理を担うプライベートバンクの視点から見ると、(2019年2月14日の国税庁通達で)全損保険が封じられたバレンタインショック以来の衝撃」と指摘するのが以下部分だ。