人生だけでなく相場にも「タラレバ」は存在しない。だが、過去 (歴史) を振り返ることで、今後の資産運用に活かせる視点が見つかるはずだ。そこで、今回は「あのとき米ドル預金をしていれば ! 」と思わずにはいられない「おいしいタイミング」を振り返り、どのような教訓を得られるのか考察してみよう。

米ドル円相場の「おいしいタイミング」は円高局面

「あのとき米ドル預金をしていれば ! 」今後に活かすドル円相場の振り返り
(画像=k_yu / stock.adobe.com)

米ドル円相場の長期チャートを見ると、定期的に円高に振れているタイミングが発生している。そこが「おいしいタイミング」である。そこで米ドルに投資していれば、その後の円安局面で為替差益を享受できていたはずだ。

とはいえ、「おいしいタイミング」を見極めるのは難しい。しかし、過去の具体例を知ることで、将来同じような状況が訪れたときに、うまく立ち回れる確率が上がるはずだ。

絶好の投資タイミングだった米ドル円相場を振り返る

それでは、過去の「おいしいタイミング」を振り返ってみよう。過去約5年間の米ドル円相場において、一時的に円高になった局面を最近のものから順に4つピックアップした。

2020年3月 (新型コロナウイルスの感染拡大)

2020年3月の円高局面は記憶に新しい。2020年2月の終値は108.07円であったが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けてリスクオフで円が買われ、2020年3月9日は101.17円をつけた。その後急速に円安が進み、2020年3月の終値は107.53円となった。翌月の2020年4月には一時109円を超えており、1ヶ月ほどで約8円も円安が進んだ。

2019年8月 (米中貿易摩擦の激化)

2019年8月は米中貿易摩擦が激化した。2019年8月1日、トランプ米大統領 (当時) は自身のツイッターにて、中国原産の輸入品に対して2019年9月1日から追加関税を賦課すると表明した。米中貿易摩擦激化の懸念からリスクオフが進み、2019年8月26日には8月の安値である104.44円をつけた。その後は徐々に切り返し、約2ヶ月後の2019年10月には109円を、約5ヶ月後の2020年1月には110円をつけている。

2018年3月 (米中貿易摩擦の開始)

米中貿易摩擦が始まった2018年3月も「おいしいタイミング」だったといえる。2018年3月始値は106.66円であったが、2018年3月下旬にトランプ米大統領 (当時) が中国に対する知的財産所有権の侵害を理由とした輸入関税等を発表。米中貿易摩擦の懸念からリスクオフが進み、2018年3月26日には104.55円をつけた。その後急速に円安が進み、約2ヶ月後の2018年5月には111円をつけている。

2016年6月 (ブレクジット)

約半年で20円近い為替差益を得られた可能性があったのが、2016年6月だ。円高のきっかけは英国による欧州連合 (EU) からの離脱、いわゆる「ブレクジット」の是非を問う国民投票で離脱が選択されたことだ。2016年6月24日の始値は106.13円であったが、離脱が選択されたことが伝わると米ドル円相場は急激に円高が進み、同日の安値は99.08円をつけた。10月以降は好調な米国景気を背景に年内の利上げが意識されたこと。そして、11月の米大統領選挙でトランプ氏が勝利し、財政拡大型の景気回復期待が強まったことなどを受けて米ドル高が進み2016年12月には118.66円をつけた。約半年で20円近くも円安が進んだのだ。

過去の具体例から学べることを資産運用に活かしていこう

日本円はリスクオフの局面で買われる傾向があるため、ネガティブイベントが発生すると情報が錯綜し今後の見通しが不透明になることで、円高が過剰になるケースが多い。本来は行う必要がなかった「米ドル売り・日本円買い」のトレードが実行され、結果的にそこが「おいしいタイミング」になっているということだ。

もちろん、ネガティブイベントが起こったときに米ドルを買えば必ず儲かるというわけではない。情報と状況を整理し、どのように立ち振る舞えばよいかを冷静に考えることが重要だ。

過去約5年間の米ドル円相場を振り返ると、ネガティブイベントに反応した急激な円高局面に日本円を米ドルに替えておけば、100%ではないものの、比較的短期間で大きな為替差益を取れる可能性が高いことはおわかりいただけるだろう。「おいしいタイミング」を逃さないためにも、過去の具体例から学べることを資産運用に活かしていこう。

(提供:大和ネクスト銀行


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