一般的な投資手法と言えば、株式投資や不動産投資が挙げられるが、「アート投資」もれっきとした資産運用の方法の1つだ。「お金持ちの世界の話」と感じるかもしれないが、株式投資などにはない魅力もあり、メリットやデメリットをぜひ知っておきたいところだ。

将来的なキャピタルゲインを狙った「アート投資」

唯一無二の作品の価値はどうなる?「アート投資」のメリットと注意点
(画像=Gorodenkoff/stock.adobe.com)

アート投資とは、アート作品を購入し、将来的な値上がりを期待する投資手法のことを指す。例えば1,000万円で購入したアートを1,200万円で売却できれば、株式の売買と同じように、200万円のキャピタルゲイン(売却益)を得ることができる。

過去、高額で売却された作品は枚挙にいとまがない。例えば、ポップアートを手掛けた米国人画家アンディ・ウォーホルの事例を挙げると、1963年に制作され、その後1,600ドル(約18万円)で販売された作品が、2011年のオークションにおいて約3,800万ドル(約43億円)で落札された。

20世紀美術の巨匠と言われるスペインのパブロ・ピカソの作品も、高額で売買されていることで有名だ。最近では2021年10月、米ラスベガスで行われたオークションで、作品11点が1億890万ドル(約125億円)で落札されている。

ゴッホの作品もアート投資では非常に有名な存在だ。特にゴッホの場合、作品の評価が高まったのが死後だったため、ゴッホが生きている間に作品を購入した人は、その後、売却で巨額の利益を得る機会に恵まれた。

観て楽しめて投資先にもなる「アート投資」のメリット

続いて、アート投資のメリットとデメリットについて触れていこう。まずはメリットからだ。

価値がゼロになることはほとんどない

すでに価値が認められているアートの場合、その作品が無価値になることは基本的にはない。むしろ、作品が制作されてからの期間が長くなればなるほど(つまり作品が古くなればなるほど)、価値が高まるケースが少なくない。

希少性から価値が高騰すれば……

「希少性」にも着目したい。美術品には全く同じ作品が二つと無い。そのため、希少性が非常に高い。アンティーク作品への投資ではクラシックカーなども挙げられるが、クラシックカーの場合はある程度の数が生産されているため、希少性ではアート作品に劣る。

希少性が高いと、その作品もしくはその作品を制作した作家への人気が高まると、価格が急騰することがある。アート作品はオークションなどで売却することになるが、欲しい人が多ければ多いほど価格が上がっていくのは、容易に想像がつくのではないか。

投資対象でありながら観賞対象としても楽しめる

アート作品は「投資対象」でありながら、観て楽しむことができることもメリットであると言える。中には家宝として大切にしまっている人もいるが、客間に飾って鑑賞を楽しんでいる人もいる。

値動きは作家の人気次第!?アート投資のデメリット

一方で、アート投資にはデメリットもある。

現物資産ならではの経年劣化や盗難のリスク

アート作品は現物資産だ。そのため、経年劣化のリスクがあるほか、盗難によって作品が手元から無くなってしまったり、火災で焼失してしまったりする可能性がある。

作家の人気度によって大幅な値下がりも

作品が必ず値上がりするとは限らない。作家の人気が低くなっていけば、大幅な値下がりによって結果的に損失を出してしまうこともある。そのため購入するアートを決めるときは、今後さらに人気が上がりそうな作家の作品を選ぶことが肝心だ。

絵の共同保有プラットフォームも

基本的にアート作品は、オークションや画廊・ギャラリー、百貨店の外商部などを通じて購入する。価格はピンキリで、一般的な会社勤めの人が手の届く価格の作品もあれば、富裕層でなければなかなか購入が難しいほど高額な作品もある。

そこで最近注目されているのが、絵の共同保有プラットフォームを利用する方法だ。高額作品の部分的なオーナー権を1万円から購入可能なプラットフォームなどがあり、作品が売却された場合は売却益の一部を手にすることができる。

似て非なるものではあるが、不動産投資における小口化商品をイメージすると分かりやすいだろう。

「アート投資」も選択肢に加えてみては?

文化庁によれば、日本画や洋画などを含む世界の美術品市場の規模は、過去10年間、約600億ドル(約6兆9,000万円)ほどで推移しており、国内の美術品市場だけでも2,300億円規模に上る。この文化庁の市場調査に関しては以下のページから確認できる。

日本のアート産業に関する市場調査|文化庁委託事業
https://artmarket.report/ ※この先は外部サイトに遷移します。

投資においては、検討する選択肢が多いに越したことはない。投資対象によってリターンやリスクの大小や、メリットやデメリットが異なるため、複数の選択肢があればその中から自分に合った投資対象を選ぶことができる。

この機会に「アート投資」もあなたの投資の選択肢に加えてみてはいかがだろうか。

(提供:manabu不動産投資

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