この記事は2022年3月11日に「ニッセイ基礎研究所」で公開された「資源高などへの耐久力が問われる日本株式」を一部編集し、転載したものです。
要旨
確定拠出年金は、預金、保険、投資信託などの運用商品の中からどの運用商品を購入するか、また複数の運用商品を購入する場合はそれらの割合について、各人が自由に決めることができる。裏を返せば、自身でどの運用商品を購入するか、それぞれの運用商品をどれくらい保有するか、つまり適切なポートフォリオの資産配分を考えなければならないということである。しかし、現状ではリスクを一切とらない預貯金などの元本確保型が全資産運用額の半分近くを占めるなど、適切な資産配分とは言えない状況にある。
本稿では、確定拠出年金の運用商品の中で比較的大きな割合を占めるバランス型に着目し、外国株式や国内株式といった他の運用商品との類似点・相違点の把握を試みる。具体的には、日本から見た代表的な4つの金融・経済危機(日本バブル崩壊、ITバブル崩壊、リーマン・ショック、コロナ・ショック)直前から毎月2万円ずつ積立投資を始めた場合のパフォーマンスを比較した。
その結果、バランス型は短期的な値動きが小さいわりに、リターンが高いという利点があることが分かった。
しかし、確定拠出年金のように長期保有が前提ならば、バランス型の特徴である短期的な値動きが抑えられるというメリットはあまり重要ではない。バランス型は短期的な値動きが小さい分、株式型のように短期的な値動きが大きい運用商品と比べて、相対的にリターンが低く、長期積立投資の効率性は低い。
長期積立投資により、資金投入時期を分散する時間分散と長期保有のメリットを享受できる若い人にとっては、資産固定型のバランス運用よりも、もっとリスクが高く、高いリターンが期待できる資産により多く配分することが得策と考えられる。
老後のための資産形成が十分にできるよう、若いうちに、外国株式インデックスなどといった成長力が高い資産クラスにより多く投資すべきである。今一度ご自身の確定拠出年金の拠出金割合や運用内容を見直してみてはどうだろうか。