本記事は、山中 伸枝氏の著書『中小企業のための「企業型DC・iDeCo+」のはじめ方』(同文舘出版株式会社)の中から一部を抜粋・編集しています

iDeCoはどこで加入しますか?

iDeCo 運営機関
(画像=PIXTA)

iDeCoを始めるには、運営管理機関でiDeCo口座を開設する必要があります。運営管理機関は、銀行・証券会社・保険会社・その他と身近にたくさんあります。

すでに普通預金口座を持っている銀行でiDeCoを始める場合でも、iDeCo口座を改めて開設する必要があります。これは、iDeCoは通常の金融業務とは異なる管理体制に置かれているからです。反対に、iDeCo口座は開設したけれど、同じ運営管理機関で口座を必ず開設しなければならないというわけではありません(あわせて開設すると残高を一元管理できるという特典を設けている運営管理機関もあります)。

希望する運営管理機関が決定したら、口座開設申込書を取り寄せ、書類を作成します。申込書を提出してから口座開設まで数カ月かかります。ただし最近はオンライン化が進んでいますので、利便性が向上しています。

iDeCoを始めるに際し、便利なサイトなどありますか?

iDeCoの口座で積立をして、自分年金を作るという仕組み自体はどこの運営管理機関(金融機関)に口座を開いても同じです。iDeCoを始めるにあたって国民年金基金連合会に対し2,829円の加入時手数料、積立の都度171円の加入者手数料がかかりますが、運営管理機関によっては、その手数料に上乗せでコストがかかるところもあります。また、選べる金融商品のバリエーションや、コールセンターの時間帯などサービスも異なるので、できれば事前にリサーチをしたほうが無難です。

まずおススメなのは、国民年金基金連合会が運営する「iDeCo公式サイト」です(https://www.ideco-koushiki.jp/)。iDeCoに関するさまざまな情報を入手することができます。

また、NPO法人確定拠出年金教育協会が運営する「iDeCoナビ」では、運営管理機関を比較したり、iDeCoで扱われている金融商品を手数料別、パフォーマンス別にランキングで紹介するなど便利な機能が充実しています(https://www.dcnenkin.jp/)。

なお、著者が運営する「FP相談ねっと」には無料で閲覧できる相談事例集が充実していますので、疑問解消にお役に立つでしょう(https://fpsdn.net/)。

運営管理機関選びのポイントは?

それぞれの運営管理機関独自にかかる運営管理機関手数料をまず比較しましょう。前述のiDeCoナビの「口座管理料比較」機能が便利です。

そのうえで、気になる運営管理機関の資料を複数社程度取り寄せ、それぞれのウェブサイトを比較して、自分に合った「わかりやすい」運営管理機関を選びましょう。基本的にiDeCoはすべての手続きがウェブで完結します。

口座管理手数料は、全くかからないところもあれば、年間8,000円近く負担しなければならないところもあります。また、口座管理手数料はかからないけれど資金をよそに移す(企業型への変更など)際に手数料がかかるところ、資産残高が一定以上にならないと安くならないところもあります。手数料は毎月の積立額から差し引かれますから、高いとその分資産形成が不利になります。

iDeCoの運営管理機関は途中で変更できますか?

運営管理機関は途中で変更可能です。希望するところにiDeCo口座を開設し、そこに今までのiDeCoのお金を移換します。新しい口座に古い口座からの資産移し替えの希望を出すことで、運営管理機関同士で手続きが完了しますから、それほど負担はありません。旧口座から新口座に移す際、手数料がかかる場合もあります。

新しい口座が手数料面でも、運用商品のラインナップの面でも優れているのであれば、変更のメリットはあります。ただし、新口座の開設には時間がかかりますし、資金を移換する際に全金融商品を売却しなければならず、場合によっては資金が目減りすることもあります。

iDeCoの口座開設申込書に記載する「基礎年金番号」とは?

基礎年金番号とは、公的年金被保険者一人ひとりに割り振られた番号で、年金手帳に記載されています。

年金手帳は20歳の時に国から発行され各自保管しているものですが、会社が保管しているケースもありますので、その場合は会社に番号を問い合わせます。万が一紛失などしている場合は、日本年金機構に手帳の再発行を求めてください。

掛金の設定はどうしたらいいですか?

iDeCoの最低掛金は5,000円で、1,000円単位で任意の金額を設定できます。ライフプランを作り、老後に必要なお金を試算したうえで掛金を決めたいところです。60歳までは原則引き出しができないお金ですから、無理なく積立が継続できることも重要です。

掛金は年に1回変更が可能ですから、目標額を達成できるよう、積立計画を立てましょう。iDeCoは、年単位でも掛金を設定できます。例えばボーナス時には、掛金を多く設定するなど事前登録をすることが可能です。

掛金は振込をするのでしょうか?

iDeCoの掛金は原則、指定口座からの振替となります。口座は、都市銀行、地方銀行、信用金庫などご自身の希望する金融機関を指定することができますが、一部ネット銀行などは指定できません。

会社員の場合、給与天引きを選べるところもあります。その場合、事業主が希望する掛金を給与天引きし、その会社のiDeCoに加入している全員分の掛金を取りまとめます。その後、毎月の指定日に国民年金基金連合会が会社の指定口座から合計額を引き落とし、それぞれの運営管理機関に振り替えます。

給与天引きの場合、掛金変更時には必ず会社へも通知するなど、運営管理機関だけで完結する手続きにひと手間追加されることがあります。引き落としされる掛金に相違があると、あとから調整されます。

指定口座の残高不足で引き落としができない時はどうなりますか?

その月の掛金拠出はなかったものとされます。あとから追加積立をすることはできません

中小企業のための「企業型DC・iDeCo+」のはじめ方
山中 伸枝(やまなか・のぶえ)
株式会社アセット・アドバンテージ代表取締役、心とお財布を幸せにする専門家、ファイナンシャルプランナー(CFP®)、FP相談ねっと代表、一般社団法人公的保険アドバイザー協会理事 1993年米国オハイオ州立大学ビジネス学部卒業後、メーカーに勤務。これからはひとりひとりが、自らの知識と信念で自分の人生を切り開いていく時代と痛感し、ファイナンシャルプランナー(FP)として2002年に独立。現在、年金と資産運用、特に確定拠出年金やNISAの講演、ライフプランの相談で全国を飛び回りながら、ウェブやマネー誌などで情報発信するなど、お金のアドバイザーとして精力的に活動している。金融庁サイト有識者コラムや「東洋経済オンライン」での連載、日経プラス10、日経CNBC、全日空機内番組へのメディア出演など。 著書に『50歳を過ぎたらやってはいけないお金の話』(東洋経済新報社)、『書けばわかる!節約・預金だけではもったいない わたしにピッタリなお金の増やし方』『ど素人が始める iDeCo(個人型確定拠出年金)の本』(翔泳社)、共著に『いっきにわかる!つみたてNISA&iDeCo令和スタート版』(洋泉社MOOK)など多数。

山中伸枝オフィシャルサイト https://www.nobueyamanaka.com/

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