iDeCo,年金
(写真=PIXTA)

目次

  1. 国がiDeCoを勧めるわけとは
  2. 持続可能な年金制度のための3つのポイント
  3. 年金額を決める要因とは
    1. iDeCoの最大の目的は「資産運用」

国がiDeCoを勧めるわけとは

iDeCoの節税メリットは分かったが、あまりにも良いことばかりで、かえって怪しい。ひょっとして「日本の年金制度は崩壊するから、自分で何とかしろ」という国からのメッセージなのではないか?そんな心配をしている人もいるのではないか。 本当にそうなのか、iDeCoの目的を理解するところから始めよう。

持続可能な年金制度のための3つのポイント

年金制度の崩壊の危機が盛んにいわれるようになって久しい。とはいっても、2016年のように政府が年金改革を打ち出せば、野党は「年金カット法案はけしからん」と反対を叫ぶ。

いったいどうなるのかと誰もが不安になるが、結論から言えば、政府は日本の年金制度を持続可能とするためになんとか頑張っているというのが実情だ。年金制度はそう簡単に崩壊したりはしない。 そう断言できる1つ目のポイントは、日本の年金制度は、賦課方式という助け合いの仕組みをとっており、現役世代の保険料が高齢者の生活保障に使われるという点だ。保険料を納める人達がいなくならない限り、年金財源は無くならず、高齢者は安心して老後の生活を送ることができる。

2つ目に、納められる保険料と支給される年金が同じ時間軸で実施されるので、貨幣価値が同じという点も見逃せない。これにより、年金は「物価スライド」が可能となる。物価スライドとは、物価が1%上昇すれば、支払う年金も1%上昇させ、お年寄りが安心して生活を営めるようにするルールのことだ

3つ目のポイントは、支え手も受け手もどちらも努力をしているという点。支え手である私たち現役世代は、給与の約10%もの保険料を負担している。また、受け手である高齢者も前述の「物価スライド」から「マクロ経済スライド率」を調整した年金額を受け取っている。

物価スライドのルールは、物価が1%上がったら、年金も1%上げようというもの。しかしこれでは年金財源の維持が難しいので、実際の物価上昇率からマクロ経済スライド調整率を差し引いて年金を支給するようとルールが変更された。従って、物価上昇により生活の維持に必要なお金が増えたとしても、以前のようにそれに相当するだけ年金が上がるわけではなくなったのだ。ただし、2018年度のマクロ経済スライド調整率は0.3%だったが、賃金の変動がマイナスだったため調整は見送られた。 なにより、国の年金は高齢者の生活保障であるとともに、家族を失った人たちや障害者の生活保障でもあるので、みんなが制度を維持するために努力することが必要だ。

年金額を決める要因とは