お勧めは積立投資というものの
2017年1月から20~60歳のほぼ全員が加入できるようになり、その活用に注目が集まっているiDeCo。
税制優遇措置があり、積み立て方式だから、安心して投資が始められるといわれるが、そこはやはり投資。常にリスクには心を配っておかなくてはならない。
積立だからといって、そのまま漫然と続けていてもいいのか。見直しが必要なときはいつなのか、損失が広がりそうなときはどう対応すべきなのか、積立投資の際に気を付けたいポイントを紹介する。
ドルコスト平均法とは?
積立では定期的に買い付けを行うため売買タイミングに悩む必要がなくなり、ドルコスト平均法という投資手法を活用できる。ドルコスト平均法とは、一定額を定期的に購入していく投資手法だ。積立運用のiDeCoはもちろんのこと、株式や投資信託を買い増しする場合にも使える手法なので、仕組みをしっかりと理解したい。
株式や投資信託の価格は常に変動している。ドルコスト平均法では、価格の変動に関係なく、定期的に一定額を買い付けていくため、価格が安いときには多く買うことができ、価格が高い時には少しだけ買うことができる。高い時にも安いときにも継続的に買い付けることで、購入単価を平均値にならしていく効果が期待できる。また、自動で買い付けしてくれるため、いつ買えばいいのかで悩む必要がなく、心理的な負担が少ない。
購入後に価格が上昇したときには利益が発生するが、次に買うときは価格も上昇している。一方、購入後に価格が安くなれば、次は安く買い増しできるものの、損失が発生する。購入単価を安くできたとしても、必ずしも利益につながるわけではないことを肝に銘じておきたい。
具体的に考えてみよう。例えば1回目の買い付けで1万円の株式を100株買い、2回目に2万円で100株買った場合、1株あたりの価格は上昇して1.5万円となる。しかし市場価格は2万円なので利益が発生する。反対に、1回目に2万円で100株買い、2回目に1万円で100株買った場合は、1株あたりの価格は1.5万円に引き下げることができたが、現在の株価は1万円なので、損失が発生している。つまり、株価が下落局面にあるときは、いくら平均単価を引き下げても損失が発生するということだ。
ドルコスト平均法を利用して積立投資を行うとき、価格が上昇する局面では購入単価を低く抑えることが可能なので、メリットを受けられる。しかし、価格が下落し続ける局面では、購入単価を低く抑えることができても、それ以上に価格が安くなれば損失が発生し、最悪の場合、損失が拡大してしまう。