最近注目度の高い「個人型確定拠出年金iDeCo」ですが、そもそもiDeCoに欠けられる金額はどれぐらいなのでしょうか。ご自身の属性などを考慮して、どのぐらいの掛け金になるのかを理解していきましょう。

(本記事は、安東 隆司氏の著書『個人型確定拠出年金iDeCo プロの運用教えてあげる! 』秀和システム、2017年11月14日刊の中から一部を抜粋・編集しています)

プロの運用教えてあげる,iDeCo
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【関連記事 プロの運用教えてあげる】
・(1) 「iDeCo」への投資で無駄な税金を抑えよう
・(2) あなたはサラリーマン・OL?自営業?主婦?タイプで決める「iDeCo」の掛け金
・(3) 「iDeCo」と組み合わせる商品を考える時の注意点

iDeCoの金額最低5,000円から毎月積み立て

iDeCoは毎月、5,000円以上の掛金(1,000円単位)を、自分で選んだ金融機関に積み立てていきます。金融機関は1か所しか選べません。

どの商品にいくらずつ積み立てるのかを自分で選びます。

掛金を掛けることを拠出(きょしゅつ)といいます。

毎月決まった金額を(確定)、掛ける(拠出)年金なので、「確定拠出年金」というわけです。国民年金に非加入の方はiDeCoに加入できません。

iDeCoに掛けられる金額は大きく4パターン

iDeCoは、国民年金の被保険者の分類と会社の制度によって、拠出金額の上限が各々決まっています。

大まかにいえば、年間で81万6,000円、27万6,000円、24万円、14万4,000円の4パターンです。

これは年額ですから、月々でいえば6万8,000円、2万3,000円、2万円、1万2,000円ずつですね。

まず「自営業者等」か「給与所得者等」か「主婦等」か

公的な年金制度の加入者区分は、「自営業者」と「給与所得者」と「主婦・主夫」の大きく3つに分かれます。

日本国内に居住する20歳以上60歳未満の方で、自営業者、個人事業主、フリーランス、非正規雇用で社会保険に加入していないケース、学生などは「自営業者等」になります(第1号被保険者)。

サラリーマン、会社員で勤務先が厚生年金に加入、公務員、私学共済加入の先生などは「給与所得者等」になります(第2号被保険者)。

「給与所得者等(第2号被保険者)」と結婚している人(配偶者)で、扶養されている人は「主婦等」になります。(第3号被保険者)

iDeCo(個人型確定拠出年金)の拠出限度額

公的年金では自営業者等(第1号被保険者)、サラリーマン等(第2号被保険者)、専業主婦等(第3号被保険者)という3つの分類でした。

しかし、サラリーマン等第2号被保険者の場合、会社に企業年金制度があるかないか等により、iDeCoの拠出限度額がさらに3つに分類されます。

自分がどのタイプで、iDeCoの拠出可能額がいくらか確認してみてください。

個々のタイプについては次項以後で詳しく解説します。

自営業、フリーランサー等は81万6,000円

自営業者、個人事業主、フリーランス、非正規雇用で社会保険に加入していないケース、学生等で、日本国内に居住する20歳以上60歳未満の方は「自営業者等」に分類されます(第1号被保険者でしたね)。

iDeCoで最も上限金額を多く使うことができるのが、このカテゴリーの方々です。なんと!年額上限81万6,000円までの拠出(掛金を掛けること)が可能です。

自営業者等の公的年金は6万5,000円弱

大事なことなので、繰り返し説明します。自営業者等の方は、国民年金の支払いを行っていると思います。

国民年金の支払いは、年金として受け取る時は「老齢基礎年金」といいます。

40年間満額で納めた場合に受け取る金額は77万9,300円/年間で、月あたりに直すと、約6万4,941円/月です(2017年4月分)。

サラリーマン等が公的年金で2階部分の支払いがあるのに対し、自営業者等の人は公的年金で2階部分がありません。

サラリーマン等は2階部分、上乗せの「厚生年金」の部分を、現役時代に給料から納めている場合が多いのでした。

一方、自営業者等は、自力で上乗せしないと、年金が1階のみになってしまうので、安定した老後の備えのために、掛金を掛けて税金が安くなっちゃう「自分年金」iDeCoを活用してください!

住民税は後払い、納付資金の準備を忘れずに

プロスポーツ選手等が、「引退後、税金の支払いで苦労した」という話をよく聞きます。

おそらく税金といっても所得税のことではなく、住民税のことでしょう。

住民税は前年の所得に応じて計算される、いわば「後払い」ですから、引退して無職になり収入がなかったとしても、昨年の所得に対する住民税10%(所得割)を納付しなければいけません。

年俸の高いスポーツ選手では税額が数千万円になるケースもあり、その手当に苦労することもあるようです。

サラリーマンの方も他人事ではありません。

住民税は前年の所得に対して翌年の6月から翌々年の5月に納付をします。

現役最終時の所得×10%(所得割)が翌年にかかってくるわけです。

「退職して無収入だから税金も知れたものだ」と思っていたら大間違いです。「えっ?会社で納付手続きしているハズじゃないの?」とビックリしてしまうケースが後を絶ちません。

退職時期が1~5月の場合は原則として一括徴収となり、退職日が6~12月の場合は、退職時に勤務先に申し出れば、退職時の給与から一括納付できる場合もあります。

また、退職金にかかる住民税については、原則的に支払いの際に天引きされます。

住民税は「所得割」(標準税率10%市町村税6%+道府民税4%)と「均等割」(標準税市町村税3500円、道府県税1500円)がほぼ全国で同じ水準になっています。

専業主婦等の年間拠出限度額は27万6,000円

会社員や公務員等「給与所得者等(第2号被保険者)」に扶養されている配偶者は「主婦等」になります(第3号被保険者)。この区分の方は年額上限27万6,000円までの拠出(掛金を掛けること)が可能です。

家族の収入を支える目的でパートをしている方には、iDeCoを使うと生活費に使える額が少なくなります。60歳までおろせません。

自分自身の将来に備えるためでしたら、パート収入からiDeCoを検討してもよいと思います。

iDeCoへの加入メリットは、「おろせないから貯まる」「運用益が非課税」です。

仮に30歳で30年間のパート収入を原資に、年間上限27万6,000円を積み立てれば、積立拠出金は828万円にもなります。

もう1つのメリットは運用益が非課税ということですが、これはiDeCoだけではなく、NISAやつみたてNISAでも利用できますね。

結婚前に企業型DCや個人型DCに加入していた方が、結婚して離職し専業主婦になった場合、以前は追加の拠出ができませんでした。そんな方はぜひiDeCoを使ってください。

2017年から追加拠出ができるようになりました。

夫の所得が1,000万円超ならば2018年から配偶者控除は受けられない

2017年税制改正で、2018年1月から配偶者控除を受ける人に対して所得制限が設けられました。

家計を支えて配偶者控除を受ける人を夫とします。

夫も妻も給与収入のみの前提で、給与額と配偶者控除の一部を解説します。

夫の額面給与増加に伴い徐々に減額、配偶者控除はゼロとなります。

増税世帯は夫名義でiDeCoやふるさと納税の活用検討がよいでしょう。

大企業でのパート主婦さんの質問で「iDeCoに27万6,000円の拠出ができるので、103万円+27万6,000円=130万6,000円まで働いて、配偶者控除を受けられますか?夫はサラリーマン、年収600万円程度です」に対し、税理士サンの結論は「額面で103万円以下」でないとダメ、でした。

配偶者控除の対象となる所得は、38万円以下(給与収入103万円?給与所得控除65万円)です。

主婦はなぜ「103万円の壁」を意識するのか

主婦がパート等で働く場合、給与収入は「103万円」までにするのがお得、とよく言われます。

なぜかというと、妻の給与収入が103万円以下なら所得税がかからず、また、夫も配偶者控除を受けられるからです。

所得税の計算をするときに、収入から一律に差し引ける「基礎控除」は38万円、給与収入から差し引ける「給与所得控除」は最低65万円です。

ですから合計103万円までなら課税対象となる所得は0となり、所得税がかからないのです。

さらに、配偶者の合計所得金額が38万円以下(配偶者の収入が給与だけの場合は103万円以下)の場合には、「配偶者控除」が受けられます。

配偶者控除を受けられることを「扶養範囲内」といいます。

給与収入が103万円以内であれば、妻は所得税、住民税を支払う必要がありません。さらに夫は配偶者控除*1を使って税金が安くなるわけですね。

「103万円の壁」は配偶者控除ライン

主婦の収入の壁、103万円についてはお話しした通り「額面給与が103万円」以下でないと、配偶者控除の対象にはなりません。

ただし、2018年1月からは、夫の収入によっては配偶者控除の適用が受けられなくなる場合もあります。

「103万円の壁」はもう1つあります。

民間企業では、配偶者手当や家族手当の支給要件を配偶者の年収103万円以下としているところが多いのです。

税制改正と共に、会社からの手当てについても、配偶者の年収基準が見直されるかどうかの確認が必要です。

「130万円の壁」は社会保険加入ライン

次に、よく聞く130万円の壁とは何でしょう?これはサラリーマンや公務員の妻の年収が130万円を超えると、夫の社会保険(健康保険、厚生年金)の扶養家族から外れ、妻は妻で社会保険に加入する必要が生じるため、そう言われています。

残業手当、通勤手当、ボーナス給与を含めて「年収130万円」です。

パート先の社会保険に加入できればそれに、加入できなければ国民年金と国民健康保険に加入することになります。

保険料の分、手取り収入が減るので、130万円のラインを超えないように働く人が多いのです。

100万超で住民税、103万円で所得税の負担が始まります。

そして130万円を超えると、たくさん働いても国民年金、健康保険を妻自身が負担しなければならないので、手取り額の伸び率がこのラインでグンとさがってしまいます。

会社には独自の年金制度がない場合

会社員のiDeCo拠出限度額にはいろいろなパターンがあります。

①会社に独自の年金制度がない、②企業型確定拠出年金(企業型DC)のみ加入している、③~⑤確定給付企業年金(DB)加入です。複雑ですね。

会社員①会社に独自の年金制度がない場合…27万6,000円会社に独自の年金制度がない方は、年額上限27万6,000円までの拠出(掛金を掛けること)が可能です。

会社の人に「ウチの会社は企業型DCやDBに加入してますか?」と聞いてみてくださいね。

iDeCoは個人型確定拠出年金なので個人型DCです。

企業型DCとは、企業が掛け金を負担する確定拠出年金です(「マッチング拠出」*3といって、個人が一部負担するケースもあります)。なお、企業型DCでも、運用するのは自分(個人)です。

会社で企業型DCのみに加入している場合

2017年から、このカテゴリーの方のiDeCo加入が認められるようになりました。

今の会社のDC商品ラインナップよりもよいと思える商品を、iDeCoで選べるかもしれません。

サラリーマン(会社で企業型DCのみに加入)…24.0万円

会社で企業型DC(確定拠出年金)に加入(一定要件あり)の場合、年額上限24万円までの拠出(掛金を掛けること)が可能です。

ただし、会社の規約の様々な条件を満たしていることが必要です。

マッチング拠出とは、事業主の掛金の範囲内で、加入者自身が追加拠出する制度です。

事業主の掛け金の設定が小さいと、5万5,000円の枠を使い切らない場合があるためです。

この企業型DCにのみ加入している企業に勤務する方は、2017年からiDeCoを併用することができるようになりました。

企業型DC+DBに加入の場合…14.4万円

勤務先に企業型DC(確定拠出年金)があり、さらにDB(確定給付企業年金、厚生年金基金)がある場合は、年額上限14万4,000円までの拠出(掛金を掛けること)が可能です。

以下の条件を満たすことが必要です。

①iDeCoへの加入を認めるという会社の規約変更
②マッチング拠出制度(4-8参照)がないこと
③事業主掛金が月額1万5,500円(年額18万6,000円)以下であること

マッチングとは、事業主の掛金の範囲内で、加入者自身が上乗せ「マッチング」拠出する制度です。

このカテゴリーの方は勤務先の年金制度がとても手厚い可能性が高いため、iDeCoでの拠出可能額は他のカテゴリーに比べて低くなっています。

でも、使える範囲があるならば、iDeCoを使ってみてください。

事業主掛金18万6,000円超…iDeCo加入不可

会社(事業主)の掛金が1万5,500円超2万7,500円までの方はiDeCoの併用はできません。

DBのみ加入…14万4,000円

2017年から、このカテゴリーの方がiDeCoに加入することが認められるようになりました。

勤務先で企業型DC(確定拠出年金)には加入しておらず、DB(確定給付企業年金、厚生年金基金)のみに加入している場合、年額上限14.4万円までの拠出(掛金を掛けること)が可能です。

以下の条件を満たすことが必要です。

①iDeCoへの加入を認めるという会社の規約変更
②マッチング拠出制度がないこと
③DB制度がある場合の拠出限度額

iDeCo以外の年額84万円の所得控除とは?

自営業等の人の退職金代わりになる制度としては、小規模企業共済があります。 iDeCo同様、毎月の掛け金が全額所得控除になります。

年額84万円も掛けられます。

小規模企業共済とは?金額、加入者は?

小規模企業共済制度は、個人事業をやめる、会社等の役員を退職した時等の、生活資金等をあらかじめ積み立てておくための制度です。

「独立行政法人中小企業基盤整備機構」というところが運営しています。

掛金は1,000円から70,000円の範囲で500円刻みで自由に選べます。

加入できる人は、「常時使用する従業員が20人以下」、または「商業とサービス業では常時使用する従業員が5人以下」の個人事業主やその経営に携わる共同経営者、会社等の役員、一定規模以下の企業組合、協業組合、農事組合法人の役員の方です。

小規模企業共済とiDeCoに加入して税金がこんなにお得

個人事業主で、「720万円」の収入のある方の事例を見てみます。

所得税だけについて見ると、現状は23%で控除後102万円納めています。

ところが、小規模企業共済に84万円、iDeCoに81万6,000円を掛けると、所得税が約68万円強に。

約34万円弱も所得税の税金が下がるのです。

131万7,300円(165万6,000円拠出、所得税減少33万8,700円)の負担増加で、165万6,000円の積立ができるのです。

「住民税」を入れるとさらに実質的に差が出ますね。

何度も繰り返しになるのですが、個人事業主の方は、厚生年金に加入できない分、会社員の方に比べて年金の受け取りが少なくなります。

また退職金の税制は、納税者にとって有利な課税制度となります。

退職金の控除を利用するためには、まず退職金に充てるお金を貯めることが大事です。

小規模企業共済の掛金の分に税金がかからないので(所得控除)、事業の利益部分の税金を減らして、将来に備える貯蓄ができるわけです。

個人事業主や企業オーナーの特権だと考えて、この制度をぜひ活用して欲しいと思います。

自営業者の上乗せ年金制度

自営業の人には通常、サラリーマンの厚生年金のような年金の「上乗せ」がないため、もらえる年金が少ないということはお話ししました。

そこで上乗せとしてiDeCoをおすすめしていますが、「上乗せ年金」にはもう2つあります。

それは、国民年金の付加年金制度と国民年金基金です。

付加年金制度とは、その名のとおり、通常の年金の保険料に月額400円を上乗せして納める制度です。それにより将来受け取る年金額を増やすことができます。

国民年金基金は、自営業者等にとっての厚生年金等に相当する、国民年金の上乗せ制度です。

上乗せ年金の制度なので、国民年金に加入していない人は、国民年金基金にも加入できません。

iDeCoと国民年金基金の掛け金は合計月額6万8,000円まで

iDeCoと国民年金基金は併用できますが、共に上乗せ年金目的ですので、iDeCoと国民年金基金の掛け金の合計は6万8,000円/月までです。

仮にiDeCoで6万8,000円フルに拠出している場合は、国民年金基金には加入できません。

なお、国民年金の付加年金保険料を納付している場合は、国民年金基金には加入できませんが、iDeCoには加入できます。

iDeCoに必要な年間の管理費用は、国民年金基金では必要ありません。

また、家族分の掛金の取り扱いでは国民年金基金にメリットがあるといえるでしょう。

同一生計の配偶者や親族の「国民年金基金」の掛金は自営業主の所得控除の対象となります。

収入のない専業主婦(夫)である配偶者や親族の部分を、収入のある個人事業主が支払い、その部分の控除対象とできます。

一方、iDeCoでは事業主本人部分しか対象になりません。

個人事業主の収入が大で同一親族の掛金を控除したい場合は、iDeCoよりも国民年金基金の税メリットが大きいといえるでしょう。

老後のために資産運用、資産形成を勉強し、運用金融機関や運用商品を自分で選びたい方は、自分で運用可能なiDeCoが向いているかもしれません。

資産を集中させるとすべて失うことも

「分散投資」という言葉を耳にする機会も多いと思います。

資産運用の格言に「卵を1つのカゴに盛るな!」というものがあります。この意味は、卵は壊れやすいので複数のカゴに分けて(分散)運んだほうがよいというものです。

ある分野で世界シェア2位以内の、誰もが優良企業と信じた企業が、1つの欠陥で民事再生法の適用を受けました。

資産をこういった会社に投資していたら、財産をすべて失う結果もあるのです。

インデックス投資なら簡単に分散投資

日本航空(JAL)、日本振興銀行、協栄生命保険、そごう……聞いたことのある名前が多いと思いますが、実は倒産した経緯のある会社ばかりです。

タカタやリーマンブラザーズ証券と聞くと、ニュースで耳にした銘柄かもしれませんね。

これらに投資をしていた方は大きな影響を受けたでしょう。

知名度もあり、企業規模も大きく、テレビCMを目にしたこともある親しみやすい株式銘柄もありました。

今まで好業績でも、今後も株価が堅調とは限らない事例が含まれています。

今までの業績は順調でも「事故」や「食中毒」といった、予想もしていなかった「想定外」の事柄で予想外に一気に経営危機となる場合もあるわけです。

集中投資は上手くいくと大きな成果を得られることもある一方、経営破綻や経営不振等の場合の影響も大きいといえるでしょう。

そこで「インデックス投資」の活用を検討して欲しいのです。

たとえば日経平均株価といった、日本を代表する225銘柄の指数(インデックス)に連動する投信の場合、1銘柄の組み入れ比率は最大でも約6%、上位5銘柄合計でも約21%ですから(2017年9月30日時点)、そのうちのどこかが破綻した場合の影響も限定的であるといえるでしょう。

日経225インデックス1銘柄に投資することは、225銘柄のまとめ買いができるのと同じことです。そして結果としてリスクの分散ができるわけです。

リスクが高ければリターンも高いとは限らない

高いリスクを取っているのだから、儲かるものだというイメージを持っている投資家も多いです。でも高いリスクを取って大きなロスになる場合だってありますよ。

元本確保型や、為替リスクの無い国内債券型のリターンは低金利下ではほとんど見込めません。

たとえば、高いコストの国内債券型に投資すると、リターンがそのコスト分、下に引っ張られ、「リターン期待ゼロ、ロス増大」という場合もあり得ます。

さらに付け加えるならば、外国為替リスクの過少評価傾向があると思います。

為替の変動の幅が株式の変動によるリターンよりも大きい場合も考えられるのです。

新興国通貨を含んでいる場合は特に振れ幅(リスク)が高いといえます。

表には記載がありませんが、その意味で「外貨預金」も「外国債券型」に近い位置づけとなります。

両替コストが高い場合は「リターン期待ゼロ、ロス増大」の確率が上がってしまうのです。

ポートフォリオって何?

たとえば投信や証券を頻繁に売ったり買ったりすると、手数料や税金のコストがかかってしまいますよね。

しつこいようですが、販売者側の収益にはなりますが、投資家サイドでは収益を押し下げることも多いでしょう。

長期的な運用では、短期の市場の動向ではなく、基本となる「資産構成割合」を決めて長期間維持していくほうが効率的との考え方があります。

この資産構成割合のことを「ポートフォリオ」と呼びます。

具体的なポートフォリオ例を挙げれば、外国株式に25%投資、外国債券に15%投資、国内株式に25%投資、国内債券に35%投資、といった具合です。

外国の株式や債券に40%も投資して大丈夫?リスクを取りすぎではないか、日本人なら普通は日本株中心とお考えになる方も多いかもしれません。

でも世界中の投資家は世界中の資産に投資することがむしろ主流なんですよ。

安東 隆司(あんどう・りゅうじ)
おカネ学株式会社(RIA JAPAN)代表取締役。CFP(R)。
1989年、立教大学社会学部卒業後、三和銀行(現・三菱東京UFJ銀行)へ入行。三菱東京UFJ銀行、三菱UFJメリルリンチPB証券(出向)、ソシエテジェネラル信託銀行(現・SMBC信託銀行)と、日米欧の銀行、証券、信託銀行で26年(うちプライベートバンカーとして15年)勤めたのち独立。2015年8月、投資助言業(内閣総理大臣登録)を主たる事業とするおカネ学株式会社を設立。販売手数料(コミッション)を目的にしない、世界的潮流である「預かり資産管理」(フィーベース)のビジネス(RIA)を行う。