年々加入者数が増えている「iDeCo」は、税制優遇のある個人型確定拠出年金です。確定拠出年金とは、掛金の一部または全部を投資信託や保険などの金融商品で運用する年金制度です。掛金が全額所得控除、運用益が非課税といった節税効果の高さが大きな魅力です。
まずは、iDeCoがどんな制度であるかを知りましょう。さらに、主な運用商品となる投資信託を選ぶポイントや、ネット証券会社と店舗型証券会社との違いをお伝えしていきます。
iDeCo (個人型確定拠出年金)とは
iDeCoは任意で加入できる私的年金制度で、正式名称は「個人型確定拠出年金」です。月5,000円から積み立てることができ、その掛金を投資信託や保険商品、定期預金などの金融商品で運用します。
iDeCoの最大の特徴は、掛金が全額所得控除、運用益は非課税、受け取り時も一定額が控除されるといった税制優遇があることです。手数料がかかり、原則60歳になるまで年金を受け取ることはできませんが、節税効果が高いため年々加入者数が増えています。20歳以上60歳未満であれば誰でも加入することができますが、職業や勤務先で企業型の確定拠出年金などに加入しているか否かで、毎月の掛金の上限が異なります。
iDeCoの運用商品を定期預金に設定した場合は元本が保証されますが、投資信託などでは保証されません。
運用益の税金を納めることなく資産運用ができるので、できれば大きな利益を狙える投資信託を運用し、年金を少しでも多く受け取りたいですよね。では、投資信託はどのように選べばいいのでしょうか。
iDeCoの投資信託、選び方とは?
iDeCoの掛金の運用先は元本割れのない定期預金や、元本の変動がある投資信託などです。リスクの少ない定期預金を選ぶのも悪くありませんが、超低金利が続く昨今では利息がほとんど付かないため、もったいないともいえます。投資初心者の場合は、「投資信託って何?」「元本割れってことはリスクがあるの?」と考えるかもしれません。
投資信託は個人投資家から集めたお金を取りまとめて、資産運用のプロであるファンドマネジャーが運用を行います。金融商品は、国内株式・外国株式・国内債券・外国債券・REIT(不動産投資信託)などを組み合わせて運用します。例えば株式投資では、それぞれの銘柄について企業分析などを行い、買い時や売り時を見極める必要があり、手間と時間がかかります。投資信託を選べば、ファンドマネジャーにすべて任せて効率的な資産運用ができます。
一般的に投資先は、国内が低リスク・低リターンで、海外の先進国は中リスク・中リターン、新興国は高リスク・高リターンといわれています。金融商品では、株式が中リスク・中リターン、債券は低リスク・低リターンです。例えば、新興国株式中心の投資信託は高リスク・高リターン、国内債券の比率が多い投資信託は低リスク・低リターンという傾向があります。
注目すべきは信託報酬手数料
投資信託を購入する際、購入手数料がかかります。また、資産運用をプロに任せるため「信託報酬手数料」という手数料が発生します。iDeCoの投資信託を選ぶ際に重視すべきなのは、「信託報酬手数料」です。
購入手数料は購入金額の●%という形で支払い、1~3%が一般的です。手数料がかからない「ノーロード投資信託」もあります。
信託報酬は投資信託を持ち続けている間にかかる手数料で、投資対象や運用方法によって異なります。純資産総額(投資信託が持つすべての財産)に一定の割合をかけた金額が、毎月引き落とされます。
保有する資産が大きくなれば、信託報酬の金額も大きくなります。運用期間中は継続的に差し引かれる手数料なので、運用期間が長いiDeCoでは特に注意が必要です。
また株式や債券に限らず、別の投資信託に投資している投資信託が存在し、iDeCoで選んだ投資信託の信託報酬に加え、対象となっている投資信託の信託報酬も負担することになります。投資信託を購入する前に購入手数料・信託報酬手数料を試算し、できる限り信託報酬手数料が低いものを選ぶようにしましょう。
インデックスファンドとアクティブファンド
iDeCoの対象となる投資信託の多くは、東証株価指数(TOPIX)や日経平均株価といった代表的な経済指数と連動する「インデックスファンド」と、運用会社が独自に企業研究をして運用する「アクティブファンド」です。
「アクティブファンド」では独自に研究を行うため、信託報酬手数料はインデックスファンドに比べて高い傾向です。
アクティブファンドではプロのファンドマネジャーが分析を行いますが、一般的に投資で利益を出し続けることはプロでも難しいといわれています。そのため、初めて投資信託を購入する場合は手数料の低いインデックスファンドを選ぶとよいでしょう。
取扱商品数は証券会社で異なる
iDeCoの取扱商品数は、証券会社によって違います。取扱商品が多いのは、SBI証券や楽天証券、auカブコム証券などのネット証券です。店舗を構える店舗型証券会社や銀行は、ネット証券に比べて商品の取扱数は少ない傾向です。
取扱商品が多すぎても「何を選んだらいいかわからない」となってしまうこともあるので、初心者の場合はプロに直接相談できる店舗型証券会社を選ぶのもよいでしょう。
ここからは、ネット証券と店舗型証券のメリット・デメリットを紹介します。
ネット証券と店舗型証券、それぞれのメリット・デメリット
証券口座を開設する前にネット証券と店舗型証券のメリット・デメリットを確認し、どちらが自分に合っているかを考えておきましょう。
すでに証券口座を開設している人でも、「ネット証券口座を開設したけれど、どんな銘柄を選んだらいいのかわからない」「店舗型証券会社に口座を持っているが、手数料を安くしたい」という場合は、別の証券会社での口座開設も検討してみましょう。
ネット証券会社のメリット・デメリット
ネット証券会社のメリットは、手数料が安い、取扱商品が豊富、投資情報ツールを利用できることです。店舗型証券会社と違って、人件費がかからないので手数料は安いですが、そのぶん投資のアドバイスを受けることができません。外国株の投資情報も限定的ではありますが、ネット証券は若い世代の利用率が高く、コロナ禍でも新規口座開設数が増えています。
投資に慣れている人や「とりあえず少額から始めてみたい」という人は、ネット証券会社が向いているでしょう。
店舗型証券会社のメリット・デメリット
店舗型証券会社のメリットは、プロから投資の助言を得られることです。投資情報の質が高く、経済情報のレポートなどが定期的に送られてくるので、投資の知識も身に付きやすいでしょう。
商品数が限定されており、手数料もネット証券より高いことがデメリットです。担当者によっては利益の出にくい商品をノルマ達成のためにすすめてくることもあるので、焦ってその場で決めてしまわず、検討の時間を十分とるようにしましょう。店舗型証券の利用者は、ネット証券に比べて年齢層が高い傾向にあります。
「少々割高でもプロのアドバイスがほしい」という人や、質の高い投資情報を効率的に収集したい人は、店舗型証券会社を選ぶとよいでしょう。
iDeCoと投資信託 証券会社の違いを理解して効率的な運用を
iDeCoの基本的知識や投資信託の選び方、ネット証券会社と店舗型証券会社のメリット・デメリットを解説しました。
iDeCoは税制優遇が魅力的な制度で、20歳以上60歳未満であれば誰でも加入できますが、人によって掛金の上限は異なります。投資信託を選ぶうえで重要なポイントは信託報酬手数料と、インデックスファンド・アクティブファンドといった投資信託のタイプです。投資先の国や金融商品ごとのリスクやリターンの違いも把握しておきましょう。
iDeCoの魅力である税制優遇制度を活用しながら、資産運用によって豊かな老後のための年金を手に入れましょう。(提供:Incomepress )
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