「もう一つの年金」といわれるiDeCo(イデコ)が高年収世帯を中心に話題となっており、節税効果に注目が集まっています。例えば年収1,500万円の人は約12万円の節税が期待できるといわれているのです。ここではiDeCo(イデコ)の基礎知識を学びながら「なぜiDeCo(イデコ)で節税ができるのか」について考えていきましょう。

そもそもiDeCo(イデコ)とは?

iDeCo,節税
(画像=Paper Cat/Shutterstock.com)

iDeCo(イデコ)は個人型確定拠出年金のことをいい、私的年金制度のひとつです。自ら運用方法を選んで資産を運用し、掛け金と運用益の合計額をもとに将来年金の給付を受けることができます。掛け金払込時・運用時・受給時に税制上の優遇措置を受けることができるほか、国民年金や厚生年金の上乗せ分とすることで、より豊かな老後生活を送ることができます。

iDeCo(イデコ)を始めるには、iDeCo(イデコ)を取り扱っている金融機関に専用口座を開設して申し込み、各金融機関が提供している商品を選択することが必要です。「自分の掛け金の範囲内でどの運用商品をどれだけ購入するか」といった配分比率を自ら決め、その比率に基づいて運用商品を購入します。

掛け金の受け取りは原則60歳からで、それ以前に資金を引き出すことはできません。受取方法は「一時金として一括で受け取る」「5~20年の有期年金として受け取る」「一時金と年金を組み合わせて受け取る」のいずれかから選択できます。

運用方法は?

運用方法の種類、つまり金融商品の種類は金融機関によって異なります。どの金融機関でもiDeCo向けに10本から20本の金融商品を扱っていますが、大まかに分けると「元本保証型(定期預金、保険)」「投資信託(国内・国外の株式、国内・国外の債券などから構成)」になります。

また、株式投資やFXなどに比べるとローリスクだと言われますが、、資産が必ず増える保証はなく、商品によっては元本割れすることもあります。

こういったことからiDeCoに加入した場合は、「リスクを多少背負ってでも高いリターンを得たいのか」「高い運用益は要らないからなるべく安全な資産運用をしたいのか」といった点から自分の投資スタンスを設定し、金融商品を選んでいくことが必要になります。

掛け金は?

iDeCo(イデコ)の掛け金は毎月5,000円以上1,000円単位で会社員や自営業者など加入資格に沿った上限額の範囲内で自由に設定することができます。掛け金額は、1年に1回まで変更することも可能です。「自営業者」「会社員」「公務員」など加入資格に沿った掛け金上限額は以下のようになっています。

自営業者など第1号被保険者

国民年金基金・国民年金付加保険料と合わせて月6万8,000円まで

会社員など第2号被保険者

・会社に企業年金がない人は月2万3,000円まで
・企業型確定拠出年金加入者は月2万円まで
・確定給付企業年金や厚生年金基金加入者や公務員などは月1万2,000円まで

専業主婦(夫)など第3号被保険者

月2万3,000円まで

年収1,500万円モデルの節税額は?

iDeCo(イデコ)の基礎知識を理解したうえで年収1,500万円の人がiDeCo(イデコ)に加入した場合の節税効果を確認していきましょう。例えば40歳の会社員(第2号被保険者)で確定給付企業年金や厚生年金基金がない年収1,500万円の人(独身・扶養家族なし)をモデルケースとすると掛け金の上限は月2万3,000円、年額27万6,000円です。

この場合、年間の所得税が約9万3,000円、住民税が約2万7,600円となりあわせて約12万600円を節税することが期待できます。節税効果は年収や控除の有無によって変動しますが60歳になるまで毎年続くため、長い目で見ると大きな節税効果を見込めるでしょう。このモデルケースで年収や控除が変わらないと仮定すれば40~60歳の20年で約12万600円×20年=約241万円もの節税額になります。

なお、同様の条件で年収1,000万円のケースで算定すると所得税約5万6,400円、住民税約2万7,600円となり合計約8万4,000円が1年間の節税額となります。日本の所得税は累進課税制度を採用しており、所得が高いほど高い税率が適用されます(住民税は原則一律10%)。今回のシミュレーションの場合、年収1500万円の人には税率33%が、年収1000万円の人には税率20%が適用されます。つまり、」年収が高ければ高いほど節税効果も大きくなるのです。年収が高い人こそiDeCo(イデコ)加入を一考する価値は高いといえるでしょう。

デメリットも考えたうえで加入するか検討しよう

iDeCo(イデコ)は老後資金となる年金の上乗せや現役時代の節税効果などがメリットです。基本的に20歳以上60歳未満(第2号被保険者の場合は15歳以上60歳未満)の人ならだれでも加入することができるため、活用価値は高いのですがデメリットもあります。60歳になるまで引き出すことができないのです。また、先述した元本割れのリスクや手数料といったコストの問題もあります。メリットデメリットの両方を押さえたうえで加入を検討していただければ幸いです。(提供:JPRIME

<監修者>
鈴木 まゆ子/税理士・税務ライター
中央大学法学部法律学科卒業後、㈱ドン・キホーテ、会計事務所勤務を経て2012年税理士登録。「ZUU Online」「マネーの達人」「朝日新聞『相続会議』」などWEBで税務・会計・お金に関する記事を多数執筆。著書「海外資産の税金のキホン(税務経理協会、共著)」。


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