将来の年金への不安が増すにつれ、自助努力による老後の資産形成にますます関心が高まっています。老後の生活費を確保する手段に適しているiDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)は、早く始めれば始めるほどメリットが大きくなります。今回は、30代からiDeCoを始めた方がいい理由を紹介します。

お金をコントロールする下地を作れる

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(写真= Shutter_M/Shutterstock.com)

一般的に30代になると責任のある仕事を任されたり、結婚、出産、住宅購入などのライフイベントが集中することも多く、仕事とプライベート共に転機を迎える時期でもあります。

自由に生活できていた20代の頃とは違い、30代になると自分や家族の将来を見据え、お金をコントロールしていく必要があります。30代までに家計をコントロールし資産形成をする習慣を築けなかった人が、40代になったら急に資産形成できるようになるとは考えづらいものがあります。そのため、年齢を重ねるごとに資産形成できる人とできない人の差がどんどん開いていくことになるでしょう。

iDeCoは原則60歳まで掛金を引き出せないというデメリットはあるものの、安易に引き出せない分、若年層が資産形成に取り組む習慣を身に付けるには最適の制度という見方もできるのです。

iDeCoは時間を味方にできる

iDeCoと並び若年層の資産形成に向いているとされる積立投資制度の一つに「つみたてNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)」がありますが、非課税期間が20年と決まっている「つみたてNISA」とは異なり、iDeCoで積み立てができる期間は60歳までです。つまり、30歳で始めた場合は30年間iDeCoを利用できますが、50歳で始めると10年間しか利用できないということです。

仮に、企業年金がない会社に勤めている32歳のAさんと45歳のBさんが、それぞれ60歳までiDeCoの拠出限度額である月額2万3,000円を積み立てるとします。60歳になったときの2人の資産の差を見比べてみましょう。利息や運用益を考慮せずに、すべて元本確保型の商品を買い続けたものとして計算してみます。

32歳のAさんの資産:2万3,000円×12ヵ月×28年=772万8,000円
45歳のBさんの資産:2万3,000円×12ヵ月×15年=414万円
その差は358万8,000円

2人の差は358万8,000円になりました。13年の積立期間の差が大きなものになるということが分かります。また、iDeCoは自分で運用方法を決められるのが特徴です。積立資金を元本確保型の商品だけではなく、投資信託なども組み合わせて運用したとすると、上記の差はさらに広がるかもしれません。

高い複利効果が期待できる

iDeCoでの資産形成でもう一つ忘れてはいけないのが複利効果です。複利効果とは、預貯金の利息や投資信託の分配金など、運用で得た収益を再投資して元本をふやしていくことをいいます。複利効果を確認するため、元本100万円の場合で単利10%と複利10%の利息を比べてみましょう。

  • 単利10%の場合
    1年目の利息は10万円、2年目の利息も10万円、3年目の利息も10万円……と、元本が変わらないので毎年の利息も変わりません。
  • 複利10%の場合
    1年目10万円の利息がつき、2年目は元本と利息の合計110万円に対して10%の利息がつきます。そのため利息が11万円にふえます。3年目は同様に12万1,000円の利息がつく計算になります。

iDeCoで投資信託を運用する場合、分配金は自動的に再投資される仕組みになっているため、複利効果を狙うことができます。投資信託は金融機関の一般口座や特定口座で積み立てても同様の効果を得ることはできますが、iDeCoは、運用によって生じた利益に税金がかからないため、この複利効果を最も活かせる制度のひとつだといえるでしょう。

iDeCoは20代、30代のうちに始めるのが吉!

若いうちからiDeCoを始めれば、半ば強制的に資産形成する習慣が身につきます。そのため、iDeCoはつい無駄遣いしてしまいがちな人や、長期間着実に運用していきたいと考えている人に向いているといえるでしょう。

特に、20代、30代からiDeCoを始めると、税制優遇を60歳までの長期間に渡って受けることができます。さらには時間を味方につけて大きな複利効果も期待できます。また、若いうちからiDeCoを始めることで、投資や経済に対する興味や理解も深まるでしょう。

お金が貯まらなくて悩んでいる人や、老後が不安で資産形成を始めてみたいと考えている人は、iDeCoを積極的に利用してみてはいかがでしょうか? (提供:マネーLife Style


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