老後の資金問題への不安が高まるなか、ますます注目される「iDeCo(確定拠出年金)」。iDeCoを始めると、どんなメリットがあるのでしょうか。今回は、投資初心者におすすめのサポートが充実したSBI証券のiDeCo口座を紹介します。

考えていますか?将来のお金のこと

ideco,SBI
(画像=PIXTA)

日本の人口減少を背景に、老後資金や年金の問題が日々注目を集めています。年金は持続性が不安視されており、老後資金を自力で用意しなければならないといわれています。果たして老後資金を本当に貯められるのか、と不安な人もいるのではないでしょうか。

公的年金以外の老後資金を準備する手段として、「個人年金保険」「つみたてNISA」「iDeCo)など、さまざまな投資商品があります。ここ数年でこれらの名称を聞く機会は増えてきていますが、何がどう違うのかいまいち把握できないという人も多いかもしれません。

今回は、iDeCoについて詳しく解説しながら、SBI証券で運用するにあたってのメリットやデメリットなどを紹介します。

個人型確定拠出年金(iDeCo)は必要なのか

老後資金をつくるための制度であるiDeCoですが、有効に生かしきれないケースもいくつかあります。それが、専業主婦や20代の人、借金がある人、今後年収が下がる可能性がある人などです。後で詳しく説明しますが、iDeCoの最大のメリットは税金が優遇される点です。専業主婦の場合、その税金優遇のメリットを受けることができません。

また、iDeCoの内容は端的に説明すると老後まで解約することができない投資です。専業主婦以外に例に挙げた人たちは、老後の資金以前に現在の生活基盤をしっかりと固めるステージにあるといえます。そのため、iDeCoを始めるのに適したタイミングとは言い難いのです。

老後の資金が不安であっても、まずは現在の生活を見直し、老後資金を貯める手前の準備から始める必要があるでしょう。

iDeCoを始めたほうがいいのはこんな人

逆に、今すぐにでもiDeCoに加入したほうがよい人たちもいます。具体的には、収入の基盤が整った会社員や公務員、自営業者、フリーランスの人たちです。

iDeCoはもともと、2017年1月の制度変更で会社員も使用できるようになるまで、自営業者やフリーランスが利用できる制度でした。現在でも、自営業者やフリーランスの場合、公務員や会社員などよりもiDeCoの掛金の上限が月6万8000円までと大きく、他の職業と比べてとても優遇されています。自営業者は売り上げが増えるほど税金や社会保険料が増えるのが悩みですが、iDeCoを活用すれば大きく納税額を減らすことができます。

所得税や住民税を軽くするiDeCoという制度が会社員に最適なのはいわずもがなです。意外に思われるかもしれませんが、老後資金において恵まれた環境にあると思われていた公務員も、じつは最近になって、民間との格差が生じないようにという考えから「退職金水準の引き下げ」が行われています。公務員といえども、将来資金が安心できない時代が到来しているのです。

そもそもiDeCoとはどういうものか

iDeCoは、自分でつくる年金制度です。税金の優遇を受けながら毎月資金を積み立てていきます。iDeCoは英語で、individual-type Defined Contribution pension plan(個人型確定拠出年金)の頭文字からつけられた愛称で、日本在住の20歳以上の人であれば、原則誰でも始めることが可能です。

iDeCoでは、老後の資金確保をするために毎月一定の金額を積み立て(掛金を拠出)し、あらかじめ用意された定期預金・保険・投資信託などの金融商品で自ら運用していきます。そのため、掛金をどの商品に何%ずつ充当するのかを自分で決めなければなりません。運用先は、途中で変更もできます。

この制度は年金をつくるのが目的であるため、60歳になるまで積み立てたお金を引き出すことができないので注意が必要です。

iDeCoの3つの特徴

iDeCoを始める前に知っておきたい、3つの特徴を紹介します。

・掛金を毎月積み立てて自分で運用する

iDeCoでは金融商品を自分で選ぶ必要があります。商品の種類には、大きく分けて定期預金や保険などの「元本確保型」と、投資信託をはじめとした「元本変動型」の2種類があります。

元本確保型は、運用に回したお金(元本)が減るリスクは低いものの、現在のような低金利の状況下では資産の増加は期待できません。一方、元本変動型は元本が変動するタイプです。運用成績次第で元本が増えたり減ったりするため、資産を大きく増やせるチャンスがある一方で、逆に資産が減ってしまうリスクもあります。

・掛金の拠出限度額について

iDeCoの拠出限度額はほかの年金制度の加入状況などによって、月額1万2000円、2万円、2万3000円、6万8000円のいずれかとなります。限度額の範囲で5000円以上、1000円単位で自由に決められます。毎月同額を積み立てる場合は、企業型確定拠出年金がなく企業年金のない会社員の場合で月2万3000円、公務員であれば月1万2000円です。

・積み立てた資金は60歳まで引き出し不可

確定拠出年金の老齢給付金は、始めてから10年を経過していれば60歳から受け取ることができます。50歳以上で加入して60歳で10年に満たない場合は、受け取りできる年齢が繰り下がることになります。

iDeCoをやるべき3つのメリット

iDeCoを始める最大のメリットの一つは税金の控除です。具体的にどのような税金が控除されるのかを見てみましょう。

・年間の掛け金分を所得から控除

iDeCoでは毎月一定の掛け金を積み立てますが、積み立てた金額のすべてを所得控除の対象にすることができます。例えば、毎月1万円を積み立てていれば、年間で12万円が年末の確定申告で所得から控除されることになるのです。

具体的にどれくらいの税金が控除されるのか、年収250万円の単身者が月額2万円の掛金でiDeCoに加入した例で説明します。加入していなかった場合の所得税と住民税の合計が約41万円に対し、加入していた場合は約36万円となり、5万円前後節税できることになります。

・運用の利益もすべて非課税

iDeCoでは運用益も非課税となるため、利益をすべて受け取ることができます。iDeCoの運用期間中には、定期預金の利息や投資信託の値上がり益などで、元金以上に資産が増えることがあります。この場合、通常は利益に対して約20%を税金(所得税15%+住民税5%)として払わなければいけません。仮に100万円の収益が出たとすると、20万3150円を税金として徴収され、残りの79万6850円しか受け取れないのです。しかし、iDeCoでは税金がかかりません。

・受け取り時も規定枠内の税金が控除

確定拠出年金の給付金を年金や一時金として受け取りますが、このときにも税金控除を受けられます。iDeCoを年金として受け取る場合は年金と合算しての所得控除が設けられており、65歳未満は年間70万円以上、65歳以上で120万円以上の年金収入がある場合に所得税の徴収対象となります。

iDeCoを始めるために準備すること

iDeCoで取り扱っている商品や手数料は、銀行や証券会社、保険会社などの金融機関によって異なります。使用する予定の金融機関にiDeCoの資料請求を行い、届いた申込書に必要事項を記入して押印し、返送します。申し込みをしてから加入が完了するまでには2ヵ月程度かかるので、早めの準備が必要です。

また、金融商品を自分で運用しなければならないため、ある程度の知識を身に付けることも大切です。どれくらいの期間でどの程度の資産をつくる必要があるのか、どの程度のリスクをとって運用するのかなどのイメージをある程度思い描いておくとスムーズです。もちろん、やりながら勉強して変更することもできるので、まずはざっと把握しておけば十分でしょう。

手数料ゼロで商品数が豊富なSBI証券のiDeCo

SBI証券は2005年からiDeCoを取り扱っている、iDeCoの老舗的存在です。そんなSBI証券でiDeCoの口座を開設するとどんなメリットがあるのでしょうか。

・運営管理手数料が0円

iDeCoを始めるには加入時にいくらかの手数料がかかりますが、SBI証券の場合は国民年金基金連合に支払う2829円のみです。さらに、口座管理手数料も国民年金基金連合と事務委託先金融機関に支払う月171円だけとなっています。

・投資先を選べる2つのプランを用意

また、SBI証券ではiDeCoの取り扱いを開始したときからある「オリジナルプラン」と、2018年11月にできた「セレクトプラン」という2つのプランがあります。

「オリジナルプラン」はコストや運用実績などを総合的に判断してセレクトされた商品を組み込んでいます。一方、「セレクトプラン」は、低コストと多様なラインアップにこだわったプランです。

・サポート体制が充実

iDeCo専用ダイヤルで問い合わせを受け付けしており、運用者に会社員が多いため土曜日にも対応しています。

SBI証券でiDeCoを運用する3つのメリット

SBI証券で運用できる2つのプランについて、詳しく確認していきます。セレクトプラン、オリジナルプランともに、元本確保型商品としては「あおぞらDC定期(1年物)」(あおぞら銀行)1本です。

元本変動型商品(投資信託)では、セレクトプランが36本、オリジナルプランが37本となっています。なかでも、セレクトプランでは「野村外国債券インデックスファンド(確定拠出年金向け)」(野村アセットマネジメント)をはじめとした信託報酬が0.1%台の低コストの投資信託が12本もあります。

オリジナルプランでも「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」(三菱UFJ国際投信)などの7本があり、充実しています。特に投資初心者の場合は、低コストの商品を選ぶことが重要なので、セレクトプランを試してみるのがよいでしょう。

iDeCoにデメリットはあるのか?

何度か説明してきたように、iDeCoにおいて最大のデメリットは60歳になるまでお金を引き出すことができないことです。しかし、老後資金を貯めるための制度なので当然でもあり、それを最初から把握してストーリーを組み立ててさえいれば大きな問題点とは言えません。

また、メリットのところで紹介したように、受け取り時にはほかの年金などと合算した一定額までの控除はあるものの、それを超えた部分には所得税がかかります。しかし、こちらも積立時や運用益の節税効果を考えれば微々たるものだと考えられます。

もう一つ、口座開設手数料と毎月の維持手数料がかかりますが、初回の2829円のほかは、毎月かかる維持手数料も171円で、年間2000円程度の計算です。他に手数料のかからない金融機関を選ぶように注意したいことと、最終積立額があまりに少額になるようなら、iDeCoよりもコストのかからないつみたてNISAを検討したほうがよいかもしれません。

これらの情報を踏まえて、自分の運用方針にマッチするようであればSBI証券でiDecoを始めてみてはいかがでしょうか。