「NISA(少額投資非課税制度)」や「iDeCo(個人型確定拠出年金)」、そして2018年から始まる「つみたてNISA」。

「投資優遇税制」と聞くからにはメリットがありそうだが、いっぺんに増えすぎてよく分からないという投資家の悩みが筆者の元にも寄せられることも多い。ここではそれぞれのメリットを整理し、米国において、投資ステップで最も重視されている「アセット・ロケーション」を紹介しながら、どこに投資資金を振り向けるべきかを解説していこう。

つみたてNISA 4つのポイント

NISA,つみたてNISA,iDeCo
(写真=PIXTA)

「つみたてNISA」での運用開始は、2018年1月から。2017年10月から口座開設手続きが可能になる金融機関も出てくるであろう。

つみたてNISAの概要は以下の通り。

1. 運用益が非課税
2. 総額800万円まで非課税で運用できる(年間40万円×20年)
3. 長期投資にメリットが得られる・低コストのインデックス運用が容易にできる
4. いつでも解約することができる

なお、既存のNISAと同一年度の併用はできない。「つみたてNISA」か「NISA」か、どちらか一方を選ぶ必要があるということだ。つみたてNISA、一般NISA共に、利益を確定すると非課税枠が消化される点には注意が必要だ。

iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)、5つのポイント

iDeCoも2017年1月から制度が拡充され、公務員や専業主婦も加入できるようになった。

iDeCoの概要は以下の通り。

1. 掛金が全額所得控除
2. 運用益が非課税
3. 拠出金額
・個人事業主、総額で1632万円の拠出可能(20年間)
・27.6万円拠出可能な場合、総額で828万円の拠出可能(30年間:給与所得者の場合)
4. 受取り時点にも控除が受けられる
5. 元本確保型商品もある

デメリットとしては60歳まで原則解約ができないことだ。

一般NISA(従来型)、4つのポイント

つみたてNISAでない従来型の「一般NISA」の概要は以下の通り。

1. 運用益が非課税
2. まとまった資金の運用に適している
総額600万円まで非課税で運用できる(年間120万円×5年)
3. 株式やETFなど、投資対象の選択肢が広い
4. いつでも解約することができる

つみたてNISA、NISA、iDeCoならば一般口座より約20%お得

一般の証券口座等では、儲かった運用益に対して20.315%の課税が発生する。つみたてNISA、NISA、iDeCoではこれがかからない。いわば「約20%トクする」しくみといえる。

さらに、同じ投信購入時に、一般の証券口座等でかかる投信の(例えば約3%の)「販売手数料」が、つみたてNISA、NISA、iDeCoではほぼ、かからない。(iDeCoでは規定上はチャージされる可能性がある)

iDeCoは所得控除の税金メリットが大

iDeCoの特に優れている点が所得控除で、所得水準に応じて毎年メリットを得ることができる。所得901万円の場合で、個人事業主ならば年350,880円(1)、会社員ならば年118.680円(2)の税金支払いが少なくなる。(1 拠出額81.6万円/年 2拠出額27.6万円/年の場合。勤務先の年金制度などの状況で拠出額は変化)

ふるさと納税の寄付金に対する返礼率が30%との要請が出ている中、iDeCoならば、いわば掛金の100%が拠出にまわる。納税者はiDeCoのメリットの大きさを認識して欲しい。