「すべての先進国は100%代替牛肉に移行すべきだ」

2021年2月14日、マイクロソフトの共同創業者で世界有数の大富豪でもあるビル・ゲイツ氏は、マサチューセッツ工科大学のメディア『MITテクノロジーレビュー』のインタビューでこう発言した。代替牛肉とは、香りや味、食感、見た目などを本物の牛肉そっくりに加工した、豆や野菜などの植物を原料とする「プラントベースフード(Plant Based Food=植物性由来食品)」の一種だ。牛肉のほか、鶏肉や豚肉、エビ、乳製品そっくりのプラントベースフードも登場している。

ビヨンドミート,株価
(画像=Nungning20 / pixta, ZUU online)

プラントベースフード市場は、気候変動問題やウェルネス(健康)志向の高まりを背景に大手食品メーカーやベンチャー企業が続々と参入、2019年にはゲイツ氏やハリウッド・スターのレオナルド・ディカプリオ氏らが資本参加するビヨンド・ミートが米ナスダック市場に上場し、取引初日の終値で公開価格の約3倍に高騰して話題を呼んだ。新型コロナ禍の2020年もプラントベースフード市場の成長は続き、投資総額は21億ドル(約2,464億1,214万円)に達したとの報告もある(詳細は後述)。

ところが、2021年は一転、プラントベースフード市場は急速に冷え込み、ビヨンド・ミートなどの業績は苦戦を強いられている。ちなみに、ビヨンド・ミートの株価は、2022年3月15日に年初来安値となる35.74ドルを記録、2019年7月26日の高値239.71ドルから約2年8カ月で6分の1以下に落ち込んでいる。

将来有望な投資先として注目されていたプラントベースフード市場で、一体何が起きているのだろうか?