ニューヨークでは「コロナ前」からフードデリバリーサービスが広く普及していて、筆者もランチなどでよく利用していた。ちょうど2年前(2020年3月〜)には新型コロナウイルスの感染拡大で、多くのファストフードやレストランもデリバリーサービスを導入、中華料理やメキシコ料理、ハンバーガー、ピザなど消費者の選択肢はぐっと広がった。ところが、最近は筆者がよく利用するレストランのデリバリーサービスが相次いで終了している。レストランを経営する友人によると「コロナ禍の規制が緩和されたことで、デリバリーサービスを続ける必要がなくなった。それでなくとも人手不足で、店内の対応だけで手一杯なんだ」ということらしい。
確かに、最近はレストランでの店内飲食が明らかに増えている。先日もタイムズスクエアにあるお気に入りのイタリアンを訪れたのだが、予約を入れていたにもかかわらず席に案内されるまでに10分も待たされた。日本食料理店やアイリッシュパブなども盛況で、最近はどのお店に行っても満席状態である。テーブルに着いて注文をしたあとも、料理が提供されるまでの時間がけっこう長く感じる。デリバリーは外部に委託するにしても、そもそも厨房スタッフが足りていない様子だ。
2022年3月の米雇用統計では、レストランを含むレジャー・ホスピタリティ分野の雇用者数が11万2,000人増加し、雇用者数全体の伸びを牽引した。そのうち飲食店は6万1,000人の増加だった。あくまで筆者の体感ではあるが、1カ月でこれほど雇用者数が増加しているにもかかわらず、ニューヨークの飲食店ではいまだに労働力不足の印象は否めない。
今回は米国の雇用情勢を交えながら、その影響について考察したい。