本稿が配信される頃には米国企業の2022年1〜3月期決算の発表はほとんど終了している(執筆時点は正に佳境である)。同じく日本企業の決算に関しても「勘所」はすでに出揃った。だが、FRB(米連邦準備制度理事会)の金融引き締め政策に加え、ウクライナ戦争も終結の見通しが立っていない。さらに中国では新型コロナウイルスの感染拡大による事実上のロックダウン(都市封鎖)が上海などで行われており、再度サプライチェーン(供給網)の寸断が世界景気に急ブレーキを引き起こすのではないかと警戒されている。

グロース,投資信託
FUTO / PIXTA、ZUU online

そして、日本では4月28日の日銀金融政策決定会合で長期金利をゼロ%程度、短期金利をマイナス0.1%に誘導する長短金利操作維持が決定された。これを受け、外国為替市場では2002年4月以来の1ドル=131円台に円安が進む場面も見られた。

このような状況下、インターネット上などでは多様な市場見通しが語られている。きっと多くの人が「何が正しいのだろう?」と判断に迷われているのではなかろうか。筆者としては、このようなときこそ「本当のグロース・スタイル・ファンド」が求められると考えている。恐らく、巷間言われるテーゼからすれば「金利上昇のなかでグロース?」と聞き返されそうだが、日米企業の決算状況やその後の株価の展開などを観察したうえで、だからこそ、曖昧にすることなく「グロース」を正しく定義し、明確にする必要がある。

筆者が思うに、多くの人が不思議なほど「グロース株は金利上昇に弱い」と刷り込まれているように感じられる。だが、「グロース株」なるものを漠然としたイメージではなく、具体的、かつ数値で定量的に定義できる人はいない。なぜなら、そんなものはないからだ。