投資の世界では「Sell in May(セルインメイ)」という格言がある。株は「5月に売れ」という意味であるが、2022年5月を迎えた米株式市場は文字通り「売りが売りを呼ぶ」展開となった。主要3指数のダウ平均、S&P500、ナスダック総合指数が揃って年初来の安値を更新した。FRB(米連邦準備理事会)の金融引き締めに対する警戒や、米雇用統計が労働市場の逼迫(ひっぱく)を示したこと、高インフレが継続するとの見通し、さらには中国経済の減速懸念などが売り材料となった。

米国株,見通し
豆助 / pixta、ZUU online

5月13日時点の主要3指数の年初来騰落率はダウ平均がマイナス12.00%、S&P500はマイナス16.11%、ハイテク株が多いナスダック総合指数はマイナス25.44%を記録している。特に先週は追い証を迫られた投資家の投げ売りが相次いだ模様であるが、ウォール街の市場関係者からは「下げのスピードが速すぎて逃げ遅れた投資家も多いのではないか?」との声も聞かれる。目先的には下げ一服からある程度の戻りがあるかもしれないが、そのような場面では売りそびれた向きの「やれやれの売り(戻り待ちの売り)」を誘発する恐れもある。

ところで、前述の格言には続きがある。表現に多少の違いはあるが、「Sell in May and go away But remember to come back in September」といったもので、日本語では「(株は)5月に売れ、だが9月に戻ってくることを忘れるな」となる。果たして、9月とは言わないまでも、今後数カ月で多くの投資家がマーケットに戻ってくる展開は期待できるのだろうか? 今後のポイントについて考察したい。