「えっ! ラーメン1杯2,500円?」
東京からの出張でニューヨークを訪れた友人が目を丸くした。マンハッタンには日本で有名なラーメンチェーンが進出しているのだが、東京と比べると日本円で3倍以上になるという。ここ最近円安が進んでいることも影響しているのだろうが、東京との物価の違いに愕然としていた。ちなみに、2,500円に税金やチップを入れると1杯3,000円近くになる計算である。
ニューヨークの物価が東京よりも高いのはモノではなく、主にサービスだ。換言すれば、物価の違いはおおむね人件費の違いといえる。たとえば、米労働省が公表した2022年4月の平均時給は31.85ドルで、円に換算すると4,000円を超える。1日8時間労働、週5日勤務、月4週で計算すると月収は64万円ほどだ。これはあくまで「平均的な収入」である。日本人にはラーメン1杯3,000円は高く感じるかもしれないが、米国人にとっては時給よりも安いのだ。
さらに付け加えるなら、日本人がマンハッタンのラーメンを高いと感じるのは給与水準が(米国に比べて)低いからでもある。物価とともに自身の給与も上がっているニューヨーカーはそれほど高いとは感じない。ちなみに、自国通貨建ての資金の購買力が、他国でも等しくなるように為替レートが決定されるという考え方を「購買力平価」と呼ぶ。IMF(国際通貨基金)が公表している購買力平価によると、現状の円はドルに対して40%以上も割安の状態だ。
今回は止まる気配のうかがえない円安について考察したい。