「『米国成長株投信D』、年初来の資金流入額トップに」日経電子版のヘッドラインに、そのタイトルが並んだのは2022年5月12日のことだった。記事では国内公募の追加型株式投資信託(ETF、ラップ・SMA専用を除く)を対象に、資金流入額のランキングを取り上げていた。ちなみに、「年初来の資金流入超過額が最も大きかったのは、『アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型』で3,173億円だった」と紹介されていた。それ以下のランキングも、おおむね同様な投資方針と言うか、方向性を見ているものだった。
上記の記事を拝読したとき、妙に嬉しくなった。偉そうに言うつもりは毛頭ないが、ファンドマネージャーとして資産運用業界に長年携わってきた筆者としては、「日本の投資家もきちんと見るべきものを見ている」ことを裏付けるデータを確認でき、感慨無量というのが素直な気持ちである。
一方、資金流出の上位には「ESG投資」と呼ばれるものなどがランクインしていた。資金流入のトップに「成長株」という言葉が付された投資信託が登場する一方で、資金流出の上位に「Disruptive Innovation(破壊的イノベーション)」を象徴するような投資信託が並んだのは決して偶然ではないように思われる。一言でいうと個人投資家の「目が肥えてきた」ということなのだろう。
もちろん、投資の世界である以上、現時点でそれらが「正しい選択」だったと言い切ることはできない。つまり、「Gods knows(神のみぞ知る)」でしかないのだが、少なくとも投資判断プロセスとしては極めて妥当かつ適当なものだと筆者は受け止めている。