お金のイメージ
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1ドル130円台と20年ぶりの円安水準を記録している昨今ですが、そもそも実は円高と円安の違いがよく分からない方も多いのではないでしょうか。新刊『これだけやれば大丈夫! お金の不安がなくなる資産形成1年生』の著者で、元銀行員、資産運用YouTuberの小林亮平氏が円高と円安の違いや実体経済への影響などを解説します。

円安と円高の違い

引用:USD/JPY|Googleファイナンス
引用:USD/JPY|Googleファイナンス

さっそくですが、上記のグラフを見てください。これは日本円と米ドルを両替する際の相場(為替レート)です。為替レートは日々動いており、現在は1ドル130円台と大幅に円安へ傾いています。

この背景としては、日米の金利差拡大があります。依然として低金利が続く日本円を持つよりも、利上げが見込まれる米ドルを持った方が、その分だけ利息がつくので、日本円を売って米ドルを買う動きが加速しています。

基本的には円が売られると、円の価値が下がって円安になります。では、ここで改めて、円安と円高の基礎的な知識を分かりやすく解説していきましょう。

円高と円安の違い
円の価値が「安くなる」のが円安、「高くなる」のが円高

円安と円高を混乱する人は多いですが、頭に「円の価値が」とつけると理解しやすいです。

たとえば日本円と米ドルの為替レートが1ドル=100円だったとして、ある時期に円が売られてドルが買われたことで、1ドル=120円に変動したとします。そうすると1ドル両替するのに100円で済んだのが120円払わないといけなくなります。つまり、円の価値が安くなったので、円安と言います。

一方で、円が買われてドルが売られたことで、1ドル=80円に為替レートが変動したとすると、今まで100円払わないと(ドルに)両替できなかったのに80円で済むようになります。この場合、円の価値が高くなったので、円高と言います。1ドル=100円の為替レートで1ドルを両替した後、円安によって1ドル=120円に変動したら、再度両替して日本円に戻すと20円の利益になるわけです。反対に、円高によって1ドル=80円に変動すると、再度両替した際は20円の損失になってしまいます。

円安のメリットとデメリット

円安の例
円安で為替が1ドル=120円になっていたら、100ドルは1万2,000円

円安にはメリットとデメリットがあります(円高にももちろん、メリットとデメリットがあります)。

海外に商品を輸出する企業にとって、円安は為替による利益を生む要因となります。一方で、たとえばアメリカへ旅行する際、現地で100ドルの買い物をするとします。その時、為替が1ドル=100円なら、1万円の支払いで済みます。しかし、円安で為替が1ドル=120円になっていたら、100ドルは1万2,000円です。日本円で支払う金額が大きくなってしまうんですね。反対に、円高時に海外旅行に行けば、(円安時よりも)「得をする」と覚えておくといいでしょう。

値上げのイメージ
円安の影響で原材料費が高騰

円安の影響により、私たちの暮らしにおいて、物価高が進む恐れがあります。たとえば、ある飲食店のステーキは、以前は1,000円でしたが、現在は1,500円に値上げしないと採算が合わなくなったというケースが想定されます。これは海外から輸入する原材料の価格が円安によって高くなってしまったために、日本国内での小売価格を押し上げる結果となったということです。最近ではスーパーで売られている様々な商品が値上がりしています。物価が上がっても、給料がなかなか上がらない状況が続くと、わたしたちの生活は今後、ますます厳しくなるかもしれません。つまり、現状の円安はわたしたち生活者にとって、決して他人事ではなく、きわめて深刻な問題だと認識する必要があります。

どうすれば円安対策ができる?

円安対策のイメージ
円安の対策として米ドルなどの外貨の保有が考えられる

円安の対策としては、米ドルなどの外貨を保有するなど、所有通貨の分散投資を行うのが効果的です。最初にお伝えした通り、日本円から米ドルに両替した時よりも円安に進めば、為替による利益を受け取ることができるからです。

さらにこの機会に、円安の対策も含めて、米国株など外貨建て株式への投資を検討してみましょう。米国株は日本円ではなく米ドル建ての資産なので、投資する際にも円ではなく米ドルで行うことになります。

引用:S&P 500|Googleファイナンス
引用:S&P 500|Googleファイナンス

単純に外貨を持つなら、外貨預金でもいいのですが、米国株式の代表的な指数である「S&P 500」は、上記の通り、過去40年遡っても長期で上がり続けてきた歴史があります。そのため、せっかくなら米国株式に投資をしてみることで、通貨の分散投資を図ると共に、株式の値上がりに期待するのもアリだと思います。

現在は急速に円安に傾きすぎている感もあるので、いずれ落ち着く可能性もあります。ただ、将来は何が起こるかわかりません。米国株など外貨建ての資産を持つことで、さらに円安が加速した際にも為替の利益を得られるように準備しておくのも1つのリスクヘッジといえるでしょう。

小林亮平
小林亮平
1989年生まれ。横浜国立大学卒業後、三菱UFJ銀行に入行。退職後、ブログやSNSで資産形成(つみたてNISAやiDeCo、楽天経済圏など)の入門知識を発信。現在はYouTube「BANK ACADEMY」を運営し、チャンネル登録者は37万人を超える。著書に『これだけやれば大丈夫! お金の不安がなくなる資産形成1年生』がある。