代替不能なトークンによって、デジタルコンテンツを1品ものの芸術作品とするNFTアート。すでに数億円を超える取引も始まり、新しい投資テーマとしても話題となっている。その対象はアート、ゲーム、音楽など幅広い。このNFTアートについて興味はあるものの、一番気になるのはやはり「儲かるのかどうか」だろう。NFTアートの仕組みと特徴を解説した上で、儲かる理由や利益を生み出すための方法を3つ紹介する。

目次

  1. NFTアートとは。なぜ投資対象として注目されるのか
  2. NFTアートで稼げる仕組みとは?
  3. NFTアートを利用して稼ぐ具体的な3つの方法
  4. 【簡単】NFTアートの取引方法、購入方法
  5. NFTアートが売買できる国内外のマーケットプレイス4選
  6. NFTアート市場は今後も拡大するのか?将来性は?
  7. まとめ:NFTの活用領域拡大も、NFTアート市場を押し上げる可能性あり

NFTアートとは。なぜ投資対象として注目されるのか

NFTアートとは? 儲かるの? 利益を生み出す3つの方法
(画像=Ascannio/stock.adobe.com)

ブロックチェーン技術により、デジタルコンテンツを唯一無二の作品とすることができるNFTアート。まずは、NFTとNFTアートの関係、NFTアートの特徴と注目される理由について、解説しよう。

NFTとは

NFTとは「Non-Fungible Token(ノン-ファンジャブル トークン)」の頭文字を取ったもので、日本語に置き換えると「非代替性トークン」になる。まず「非代替性(ひだいたいせい)」という時点であまり聞き慣れないが、これは「唯一無二、替えがきかない」ということを意味する。

一方「トークン」とは、ブロックチェーン技術を使用して発行した「暗号資産」の総称を指す言葉だ。ブロックチェーンとは、取引履歴を暗号技術によって1本の鎖のようにつなげ、正確な取引履歴を維持しようとする技術のことで、データの破壊や改ざんといった不正が難しく、障害によってシステムが破綻する可能性を極めて低くできる技術とされる。

近年話題の「ビットコイン」をはじめとする暗号資産(仮想通貨)に用いられている基盤技術になっていることでも知られる。それをNFTとして応用し、「唯一無二であることを証明できる技術」ということになる。

NFTアートとは?

ここで話題にしたい「NFTアート」とは、代替が困難なトークンとされるNFTと、デジタルアートを組み合わせたもののことを言う。従来デジタル上のアート作品は、容易に複製やダウンロードが可能だった。そのため、誰が制作したのか、誰が所有するものなのかといったことを証明するのが難しいという問題があった。しかしNFTアートは、ブロックチェーン技術を取り入れることで、著作権や所有権を明確化し、改ざんを不可能にできるようにしているのである。

暗号資産(仮想通貨)は代替が可能なのに対し、NFTは代替が不可能であるという点が、大きな特徴と言える。

たとえば、AさんとBさんがそれぞれ10BTC(ビットコイン)持っていたとしよう。AさんとBさんがお互いの持っているものを交換しても、それぞれが所持する資産はまったく変わらない。

一方、NFTは代替が不可能なため、所持しているNFTを交換すると、その前とは状況が異なることになる。こうした点から、NFTは特にデジタルアートといった分野で活用され始めるようになったのである。

NFTアートの特徴

デジタルアートの制作者や、購入した所有者の情報はブロックチェーン上に記録されるため、ハッキング、改ざんなどを行うことはできない。また、NFTアートは無断で複製されることがないため、複製が容易だった従来のデジタルアートと比べて、資産としての価値が非常に高くなる。

加えて、購入した人から別の人に販売された場合の2次流通情報も記録される。すなわち、その際に制作した人にも報酬が支払われるため、アーティストの権利を守ることにもつながるのだ。

NFTが注目される理由

これまでのアート市場では、著名なアーティストしか出品できなかったり、招待がないと取引に参加できなかったりと、決してオープンとは言いにくい状況だった。NFTアートは、デジタルアートを制作し、NFTマーケットプレイスにログインできる環境さえあればいいので、出品へのハードルは著しく下がる。

また、NFTプラットフォームで取引ができるため、暗号資産(仮想通貨)とウォレットさえ所有していれば、誰でも取引を楽しめる。オンライン上に存在しているデータであるため、破損や紛失といったリスクがない点も大きな利点と言えるだろう。そのため近年、投資対象として大きな注目を集めている。

NFTアートで稼げる仕組みとは?

コピーしやすいデジタルコンテンツに唯一性を与え、資産としての価値を大きく高めたNFTアート。唯一性のみならず、購入履歴の保全や二次流通における著作権者への報酬まで可能と、注目される理由が理解できたことだろう。続いては、NFTアートの儲かる仕組みについてみていこう。

NFTアートで儲かる仕組み

NFTアートで儲けるには、大きく2つの方法がある。

1つは購入したNFTアートを転売して利益を得る方法だ。NFTアートは専用のマーケットプレイスで取引される。そこでNFTアートを購入し、購入したもの再度出品して、買った時より高く売る。つまり、転売によって稼ぐわけである。

こういったビジネスはよく「せどり」とも呼ばれ、あまりいいイメージを持たない人もいるかもしれないが、NFTアートの場合はそもそも転売されることを前提としており、法的にもまったく問題ない。

2つめは、自分自身で制作したNFTの2次流通で儲けるという方法だ。たとえば、書店に古本を売った場合、転売した人にはお金が入るが、作家には何も入らない。ところが、NFTアートであれば転売されるたびに制作者にも利益が入る仕組みになっている。転売した人と制作者の両方が利益を得られるという点も、NFTアートの特徴なのだ。

NFTアートはどのくらい儲かるのか?

NFTアートで一獲千金という例をいくつか挙げてみよう。

2021年、デジタルアーティストとして知られるBeepleが作成したデジタルアート作品「Everydays – The First 5,000 Days」にNFTアート史上最高額である約75億円の値がついた。デジタル作品にこれだけの高値がつくのは極めて珍しいことで、デジタルアートが唯一無二のものであると認められたことを象徴するニュースだったと言えるだろう。

▽クリスティーズにて掲載されている「EVERYDAYS: THE FIRST 5,000 DAYS」

チャンスをつかむのは、プロのアーティストや著名人ばかりではない。Adobe社製のPhotoshopやIllustratorといったソフトを使えば、誰でもNFTアートを制作して、出品できる。

たとえば、小学生が夏休みの自由研究として制作したNFTアートを出品したところ、最初の落札額は2,000円ほどだったが、そこからどんどん注目され、最終的に全作品の合計取引額が約380万円に達したというケースもあった。アーティストにとっても、売買する人にとっても、実に夢のある話である。

利益が出やすいNFTアートの種類は?

実際にどういったNFTを購入すると、価値が上がりやすいのだろうか。一概には言えないが、「数量限定」「1点のみ」といった希少性はキーワードの1つになる。このほか「有名人がプロデュースしたもの」「話題性がある」「コレクション性がある(シリーズものである)」「ホルダー(購入者)がたくさんいる」といったことも判断材料になるだろう。

NFTアートを利用して稼ぐ具体的な3つの方法

ここからは、NFTアートを通して収益を得る方法を解説しよう。NFTアートは新しい形態のコンテンツであり資産であることから、今後もその流通方法や評価については進化をしていくものとして、解説したい。現状では、売買、販売、関連する暗号資産への投資、以上の3つが挙げられる。

NFTアートを市場で売買する

NFTは株や不動産などと同様に、価値が常に変動する。自分が購入したNFTの価格が上がったときにマーケットに出品・販売すれば、差額分の利益を得られる。

自分でNFTアートを作成して販売

もし、アートや音楽などを制作する才能があるなら、自分自身で作品を制作してNFTに紐づければ、そこから売却益を得られる。これが最も手っ取り早く、元手もほとんどかからない。もし自分で作品を作れない場合でも、誰か他の人に依頼して入手したものをNFT化するというパターンで、同様のビジネスを展開できる。

NFT関連銘柄の暗号資産(仮想通貨)を購入する

暗号資産(仮想通貨)の中にはNFTに関連する暗号資産(仮想通貨)銘柄がある。これはNFTを作れるブロックチェーンプラットフォーム上の基軸通貨のことを指し、有名なところではエンジンコインやチリーズなどがある。これらを購入して値上がりを期待するのも手段の1つとして考えてもいいだろう。

実際にエンジンコインは、国内取引所に上場されてから2ヵ月もの間で、価格が5倍以上にまで上昇した。

【簡単】NFTアートの取引方法、購入方法

デジタルコンテンツを作品として流通させることができるNFTアート。その取引には、対応するマーケットに登録し、暗号資産を使って取引をする必要がある。実際の取引や購入方法について解説しよう。

取引にはNFTマーケットプレイスを利用する必要がある

NFTアートの売買は、NFTマーケットプレイスを通じて行われる。このNFTマーケットプレイスとは、NFTアートの購入や、売買で利益を上げるプラットフォームのことで、取引を行うために事前に登録しておかなければならない。

NFTアートの取引ステップ1:暗号資産(仮想通貨)取引所で口座開設

NFTのマーケットでは暗号資産(仮想通貨)で取引されるため、NFTアートを購入するには暗号資産(仮想通貨)を購入する必要がある。すなわち、取引を始めるにはまず暗号資産(仮想通貨)取引所の口座開設をしなければならない。

口座開設はパソコンかスマホから行うことが可能だ。まず、メールアドレスとパスワードを登録し、セキュリティ強化のために二段階認証の設定をする(電話番号でSMS認証をする場合が多い)。

次に、名前や住所などの個人情報を入力し、本人確認書類(免許証やマイナンバーカードなど顔写真つきのもの)をアップロードする。続いて、スマホで顔写真を撮影し、本人確認を行う。

最後に、入金するための銀行口座を登録し、あとは審査完了を知らせるメールかハガキの郵送を待つのみ。大体の流れはこんなところだ。面倒な手続きはないが、郵送の場合はいくぶん時間を要するため、早めに準備しておくといいだろう。

NFTアートの取引ステップ2:ウォレットを作成

次にウォレットを用意する。ウォレットとは、いわば暗号資産(仮想通貨)の財布のようなもの。NFTアートの取引には暗号資産(仮想通貨)が必要になるが、事前にその保管場所となるウォレットを用意しておくというわけだ。

NFTの取引においてもっともポピュラーなウォレットは「MetaMask(メタマスク)」と呼ばれるもの。無料で登録できるため、継続的に暗号資産(仮想通貨)の取引をするのであれば、作っておいて損はないだろう。

NFTアートの取引ステップ3:イーサリアムを購入

NFTアートの取引や手数料には、「イーサリアム(EYH)」と呼ばれる暗号資産(仮想通貨)が使われるケースがほとんど。イーサリアムは国内のほぼすべての暗号資産(仮想通貨)取引所で購入できる。

NFTアートの取引ステップ4:ウォレットにイーサリアムを送金

最後に暗号資産(仮想通貨)取引所で購入したイーサリアムをウォレットに送金する。メニュー画面から、送金する通貨を選択(この場合イーサリアム)し、宛先を選んで、送金する金額を入力して完了となる。

NFTアートの取引ステップ5:目指すNFTアートを探し、購入する

登録したNFTマーケットプレイスにて、購入したいNFTアートを検索する。作品はアート、音楽、ゲーム、ファッションなど、幅広い。著名人のオリジナル作品などもあるので、お気に入りを探してみよう。ウォレットに送金してある暗号資産によって購入することができる。

NFTアートが売買できる国内外のマーケットプレイス4選

国内:Coincheck NFT

国内大手の暗号資産(仮想通貨)取引所であるコインチェック。ここが運営するのが「Coincheck NFT」だ。コインチェックに口座開設している人なら、すぐにNFTの出品や購入、保管ができる。ガス代と呼ばれる出品、購入にかかるネットワーク手数料が無料なのもポイントが高い。日本語で取引ができるため、初心者でも安心だ。

【参考】Coincheck NFT(β) はじめてのNFTはコインチェック

国内:Adam by GMO

GMOインターネットグループであるGMOアダム株式会社が2021年に提供を開始したのが「Adam by GMO」。ここの大きな特徴は、その決済手段にある。日本円での決済にも対応しているため、「NFTに関心はあるが暗号資産(仮想通貨)を用意するのが面倒」という人に勧めたい。

【参考】初めてのNFTならAdam byGMO

国外:OpenSea

海外最大手のマーケットプレイスを誇るのが「Opensea」だ。海外のマーケットプレイスは日本語非対応というところも少なくないが、OpenSeaは対応しているので使い勝手は問題ない。

国内のマーケットプレイスと比較すると、ネットワーク手数料が高い点がネックではあるが、利用者は100万人を超えており、400万点以上のコンテンツが出品されている。世界中のNFTが販売されているので、著名人の作品を購入することも可能だ。

著名人の作品は値上がりが期待できるため、購入時との差額で儲けたいという人にもお勧めしたい。

【参考】OpenSea, the largest NFT marketplace

国外:Rarible

「Rarible」は主に英語圏で利用されているNFTプラットフォームだが、現在は部分的に日本語対応も進んでいる。利用するメリットの1つが、その使いやすさだ。システムが非常にシンプルな設計となっているため、ウォレットを接続し、空欄を埋めていくだけで、簡単にNFTを発行したり、出品したりできるのだ。

また、マーケットでNFTを売買すると「RARI」というガバナンストークンが獲得でき、これによりRaribleの今後の方針に対して、投票を通して意思決定に参加できるという点でも人気を集めている。

取得したRARIの価値が暗号資産(仮想通貨)市場で上昇すれば、本来の活動よりさらに多くの利益を得ることも期待できる。

【参考】Rarible – Community-centric NFT Marketplace

NFTアート市場は今後も拡大するのか?将来性は?

NFTアート市場は年々拡大しており、2021年の取引高は176億ドル(約2兆円)に達した。2020年の8,200万ドル(約97億円)から、たったの1年で200倍になったということになる。

▽Yearly NFT Market Reportが発表したNFTアートの取引高

NFTアートを出品しているアーティストはまだまだ多くはなく、今後著名なアーティストの出品が増えれば、市場はさらに拡大していくに違いない。また、NFTアートであれば、誰でも制作でき、売買できる。これまで日の目を見ることがなかった無名のアーティストが発掘されたり、素人の作品に高値がついたりといったことも期待できる。

NFTの活用方法が多様になることでNFTアートの可能性が広がる

この先、NFTの活用方法が増えれば、NFTアート市場はさらに拡大することが予想される。現在は絵画などのアート作品や音楽といった取引が大半だが、所有権が明確化され、データの改ざんができないというメリットは、これら以外でもさまざまな分野でも活用できるだろう。

実際に、ゲーム内のアイテムやトレーディングカードやアニメの限定アイテム、資格や証明書、会員権として使用する、バーチャルファッションなど、さまざまな分野での活用事例が既にある。NFTがアートだけでなくさまざまな分野で活用され、新たな価値を生み出すことで、市場が拡大し、結果、NFTアートの価値も高まることが予想される。

まとめ:NFTの活用領域拡大も、NFTアート市場を押し上げる可能性あり

NFTアートへの投資で利益を生み出す方法は、主に「NFTを市場で売買する」「自分でNFTアートを作成して販売する」「NFT関連銘柄の暗号資産(仮想通貨)を購入する」の3つがあるが、多くの人にとってもっとも現実的なのは売買取引だろう。目をつけたNFTアートを購入し、値上がりしたら売却し、その差額で儲けるというわけだ。要は転売だが、NFTのマーケットではそもそも転売が前提となっている。

現在はアート作品や音楽などが主流だが、Twitterの共同開発者のNFT化された「最初のツイート」が日本円にして3億円以上の価格で落札されるなど、予想だにしなかったものがNFTの対象になった例もある。

さらに、ブロックチェーンによる改ざんの防止は、創作物以外のデジタルデータにも応用可能だ。会員権や不動産といった分野に活用される動きもあり、対象が拡大することによってさらなる成長が見込めるだろう。実際多くの投資家たちも前向きな印象をもっており、2022年に入ってからの4ヵ月で、既に昨年1年間の取引量に迫る勢いで成長している。

新たな投資対象としてのNFTアートは、作品の多様性や広がりのみならず、NFTを利用した他領域での経済活動の動向にも大きく影響を受けそうだ。投資にあたり、多方面での情報収集は必須となるだろう。