不動産投資型クラウドファンディングが、いま新しい投資手法として注目されている。これまでの一般的な不動産投資では、数千万円単位など、まとまった初期費用が必要だったが、この手法では1口1万円など手ごろな金額で投資ができる。さらに、ネット上で完結できるのも画期的だ。

本稿の前半では、不動産投資型クラウドファンディングの特徴やメリット・デメリット、選ぶ際のポイントなどをわかりやすく解説する。後半では、注目の不動産投資型クラウドファンディングのプラットフォーム5選を紹介する。あなたの投資対象となりうるか、ぜひ参考にしてほしい。

不動産投資型クラウドファンディングが注目されている。1口1万円程度から不動産投資が可能で、ネット上で完結できるのも画期的だ。この不動産投資型クラウドファンディングの特徴やメリット・デメリット、REITや現物の不動産投資との違いについて、解説する。

目次

  1. 不動産投資型クラウドファンディングとは
  2. 現物不動産投資、REITと不動産投資型クラウドファンディングの違い
  3. 不動産投資をクラウドファンディングで投資を行うメリットとリスク
  4. 不動産投資型クラウドファンディングの選び方と着目点
  5. 注目したい不動産投資型クラウドファンディング5選
  6. まとめ:他の不動産投資との違いを理解し、プラットフォームを慎重に選んで投資をしよう

不動産投資型クラウドファンディングとは

不動産投資型クラウドファンディングとは? REITや現物不動産投資との違い、注目サービスを解説
(画像=alexlmx/stock.adobe.com)

はじめに、不動産投資型クラウドファンディングの基本について確認してみよう。

不動産投資型クラウドファンディングの3つの特徴

不動産投資型クラウドファンディングとは、インターネット上で数多くの投資家から資金を募り、それを元手に運用会社が収益物件の運用を行う仕組みのことだ。

不動産投資型クラウドファンディングには、実際にマンションやアパートを経営する現物不動産投資にはない、次の3つの特徴がある。

▽不動産投資型クラウドファンディングの主な3つの特徴
・1口1万円など少額から不動産投資ができる
・入居者との契約、物件の管理修繕などの手間がかからない
・インターネット上で取引を完結できる

手軽かつスピーディに投資ができる不動産投資型クラウドファンディングは、とくに次のタイプの人たちと相性がよいと考えられる。

▽不動産投資型クラウドファンディングが向いている人の特徴
・不動産投資の初心者
・まとまった資金を用意しにくい人
・物件探しや管理をする時間がない人

不動産投資型クラウドファンディングで運用される物件

不動産投資型クラウドファンディングで運用される物件で目立つのは、東京23区や首都圏の区分マンションである。

この他、一棟物件、保育所、宿泊施設などでファンドが組成されることもある。中には、空き家再生物件、保護犬・猫の共生グループホーム、ロケット工場などを運用するファンドを募集しているプラットフォームもある。

不動産投資型クラウドファンディングでリターンを得られるまでのフロー

不動産投資型クラウドファンディングでリターンを得られるまでのフローを見てみよう。

▽不動産投資型クラウドファンディングでリターンを得るまでのフロー

  1. ファンドが組成される(物件情報が公開される)
  2. プラットフォーム上でファンドへの投資募集が始まる
  3. 目標額に達するとファンドが成立する
  4. 投資家が投資資金の決済を行う
  5. 物件が運用される
  6. 家賃収入や売却益を元手に投資家に分配がされる
  7. 運用が終わると投資家に元本が返される

上記のフローを補足すると、ファンドが組成されて投資家が申し込みをしても、目標額に達しなければ不成立に終わってしまうケースもある。その場合、投資することができず、運用も行われず、当然ながらリターンも得られない。

また、不動産投資型クラウドファンディングには、他の投資と同様、リスクがあることにも注意したい。リターンが確定しているわけではなく、元本が100%保証されているわけでもない。

リスクを軽減するには、投資家が次の3つを意識することが大事だ。

▽不動産投資型クラウドファンディングのリスクを軽減するポイント
・不動産投資型クラウドファンディングの仕組みを理解する
・その上で、信頼性のあるプラットフォームを選ぶ
・さらに、安定運用できそうなファンドを選ぶ

現物不動産投資、REITと不動産投資型クラウドファンディングの違い

他の不動産投資の手法である現物不動産やREITと比較すると、不動産投資型クラウドファンディングの特徴がより理解しやすくなる。確認していこう。

現物不動産投資の特徴と不動産投資型クラウドファンディングとの違い

▽現物不動産への投資の特徴とメリット・デメリット

項目内容
現物不動産投資の特徴収益物件を経営してリターンを稼ぐ
メリットまとまった額のリターンを得やすい
デメリット購入、運用、売却の手間がかかる

現物不動産投資の仕組みは、マンションやアパートなどの収益物件を購入して、それを 貸し出すことで家賃収入を得るものだ。現物不動産投資とクラウドファンディングの違いは、次の3つが挙げられる。

・不動産投資型クラウドファンディングの違い1:現物不動産投資は投資金額が多い

現物不動産投資は、収益物件を購入するのにまとまった額の投資金額が必要だ。初期費用がどれくらいになるかは、物件の種類や立地による。たとえば、首都圏であれば、区分マンションなら数千万円単位、一棟物件なら億円単位になることが多い。

投資金額が多いということは、まとまった額のリターンを得やすいということでもある。ローンを利用した場合、完済後にキャッシュフローを確保しやすい。

一方、不動産投資型クラウドファンディングの場合、投資金額は1口1万円のケースが多い。そのため、まとまった初期費用を用意できない人、気軽に投資をしたい人などと相性がよい。ただし、投資金額が少ない分、リターンの額も小さくなるのは言うまでもない。

・不動産投資型クラウドファンディングとの違い2:現物不動産投資は入居者や物件の管理が必要

現物不動産投資では、物件の取得後に入居者や物件の管理が必要になる。具体的には、入居者募集、契約手続き、クレーム対応、家賃管理などである。これらの管理業務は、専門業者へのアウトソース(コストが発生)、またはオーナー自身で自主管理しなければならない。

不動産投資型クラウドファンディングであれば、そもそも入居者や物件の管理も含めた物件の運用計画として、ファンドが組成される。そのため、出資者が投資物件の管理について、検討する必要はない。

・不動産投資型クラウドファンディングとの違い3:現物不動産投資は出口戦略が必要

現物不動産投資では、取得した物件を売却することで最終的な収支が確定する。この売却の過程を出口戦略と言うが、成立させるまでには買い手を探したり、売買価格を交渉したりといった手間がかかる。

一方、不動産投資型クラウドファンディングは、それぞれの投資家で出口戦略を考えなくてもよい。売却が必要になっても、運営会社がすべて実施してくれるからだ。

REITへの投資の特徴と不動産投資型クラウドファンディングとの違い

▽REITへの投資の特徴とメリット・デメリット

項目内容
REITへの投資の特徴証券取引所で売買できる
メリット売買が手軽にできる
デメリット1株あたりの価格が高い

REIT(不動産投資信託)」とは、上場株式のように証券取引所で売買しながら不動産に投資できる金融商品である。その仕組み自体は不動産投資型クラウドファンディングと似ている面もある。共通点は次の2つだ。

▽REITと不動産投資型クラウドファンディングの共通点
投資家から資金を集め、それを元手に不動産を運用する
家賃収入と売却差益がリターンの源泉になる

REITの大きな特徴は、銘柄ごとに投資テーマがあることだ。そのときどきで有利なテーマを選ぶことでリターンを得やすくなる。主なテーマには次のようなものがある。

▽REITの投資対象となる主なテーマ
・オフィス
・商業施設
・物流施設
・ホテル
・住居
・上記を組み合わせた複合型や総合型 など

REITと不動産投資型クラウドファンディングへの投資の違いとしては、次の3つが挙げられる。

・不動産投資型クラウドファンディングとの違い1:REITは1株あたりの価格が割高

不動産投資型クラウドファンディングでは、投資金額を1口あたり1万円に設定するファンドが多い(一部、1口10万円などのケースも)。これに対して、REITは1株あたり数十万円~50万円前後の銘柄が多い(一部、10万円以下のケースもある)。

【参考】JPX日本取引所グループ | REIT一覧(価格情報)

この傾向を考えると、投資金額を抑えたい人は、不動産投資型クラウドファンディングのほうが合っている。

・不動産投資型クラウドファンディングとの違い2:REITは日々の値動きがある

REITの投資口価格とは、株式で言うところの株価のことである。この投資口価格は株価と同様、市場取引によって日々変わる。売却差益を得るチャンスがある反面、売却差損が発生するリスクがあるのだ。

不動産投資型クラウドファンディングの場合、運用が不調で利回りが低下するリスクはあるものの、日々の値動きはない。株価暴落のような局面でも、影響はほぼないだろう。

・不動産投資型クラウドファンディングとの違い3: REITは現金化しやすい

REITは株式市場で取引されているため、売却すればすぐに現金化が可能だ。一方、不動産投資型クラウドファンディングは、中途解約できないケースが大半のため、流動性が低いというデメリットがある。

不動産投資をクラウドファンディングで投資を行うメリットとリスク

ここであらためて不動産投資型クラウドファンディングのメリットとリスクを整理してみたい。メリットとリスクの両方を理解して、「投資をするか否か」を判断することが大事だ。

不動産投資型クラウドファンディングのメリット1:不動産投資を少額で始められる

現物不動産投資なら千万単位・億単位、REITなら数十万円以上の初期投資が求められるケースがほとんどだ。不動産投資型クラウドファンディングであれば、1口1万円など少なめの投資金額で始められる。

不動産投資型クラウドファンディングのメリット2:物件の運用や売却の手間がかからない

不動産投資型クラウドファンディングは、収益物件の購入、運用、売却の手間がかからない。不動産投資の経験のない人や多忙な人にも向いていると言えるだろう。

不動産投資型クラウドファンディングのメリット3:日々の価格変動リスクがない

不動産投資型クラウドファンディングの権利は、REITのように市場で取引されているわけではないため、日々の価格変動リスクが基本的にない。

続いては、不動産投資型クラウドファンディングのリスクとも言える、デメリットを見てみよう。

不動産投資型クラウドファンディングのデメリット1:元本割れリスクもある

不動産投資型クラウドファンディングは価格変動がないからといって、元本割れリスクがないということではない。運用が不調なら他の投資と同様、元本割れする可能性もある。

不動産投資型クラウドファンディングのデメリット2:中途解約できないファンドが多い

流動性が低いこと、これも不動産投資型クラウドファンディングのデメリットの1つだ。運用開始後、中途解約できないプラットフォームやファンドが大半である。ただし、中途解約できるケースも一部あるので確認しよう。

不動産投資型クラウドファンディングのデメリット3:どれを選べばよいか判断しにくい

不動産投資型クラウドファンディングへの注目の高まりと共に、新しいプラットフォームが次々に生まれている。投資初心者が、その中から自分に合うのはどれか、リスクが低いのはどれか、などを判断するのは難しい面もある。

不動産投資型クラウドファンディングの選び方と着目点

不動産投資型クラウドファンディングに投資をするなら、ファンドの紹介と募集を行うプラットフォームに登録、会員となり、それから、そこで取り扱うファンドを選ばねばならない。

投資できるファンドは、プラットフォームごとに異なるため、プラットフォーム選び、そしてファンド選びには注意が必要だ。投資のリスクを軽減するために、プラットフォーム選び、ファンド選びのポイントを解説しよう。

チェックポイント1:運営会社の信頼性や実績に問題はないか

不動産投資型クラウドファンディングをはじめて利用する人は、収益物件の内容や利回りに目がいきがちではないだろうか。しかし、大切な資金を預けることを考えると、まずはプラットフォームの運営会社の信頼性を確認することが大事である。チェックポイントは下記の通りだ。

▽不動産投資型クラウドファンディングのプラットフォーム運営会社チェックポイント
・設立年
・資本金
・事業内容
・売上や経常利益の推移
・その他、財務情報

運営会社が上場会社なら 公式サイトのIR情報をチェックすれば、経営状況を細かくチェックできる。非上場企業でも情報公開に積極的で、その内容に不安のない運営会社を選びたい。

チェックポイント2:不動産業界での実績が豊富にあるか

不動産投資型クラウドファンディングのプラットフォームサービスを提供する会社は、不動産関連の事業をしているケースがほとんどだ。不動産業界での実績があるほど、確度の高い物件の購入、運用、売却が期待できる。

なお、ここで言う不動産業界での実績とは、自社物件の販売数、仲介件数、管理物件の件数や平均入居率などである。

チェックポイント3:運用期間が自身に合っているか

不動産投資型クラウドファンディングのファンドの大半は、運用期間を数カ月~数年程度に設定している。中途解約ができないプラットフォームが多いため、運用期間に問題がないかのチェックも重要だ。

もし、元本が必要になる可能性があるなら、数カ月~半年など運用期間が短めのファンドを選ぶことをおすすめしたい。長めに運用してリターンをしっかり得たいなら、運用期間が年単位のファンドを選ぶのがよいだろう。

チェックポイント4:プラットフォームの運用資産残高がどれくらいあるか

不動産投資型クラウドファンディングにおける運用資産残高とは、そのプラットフォームが投資家から預かっているお金のことだ。運用資産残高が多いということは、より多くの投資家がそのサービスに信頼を寄せている証である。

チェックポイント5:運用する物件の築年数と所在地は問題ないか

ファンドの募集条件には、収益物件の基本情報が載っている。主な項目は次の通りだ。

▽ファンドの募集条件で確認したい主なポイント
・物件の種類
・築年数
・所在地
・敷地面積
・構造 など

これらのうち、とくに注目したいのは築年数と所在地だ。運用期間が長いファンドではより重要となる。なぜなら、築年数が古かったり、立地が悪かったりすると空室リスクが高まるからだ。

チェックポイント6:募集金額の設定はどれくらいか

不動産投資型クラウドファンディングにおける募集金額とは、ファンドごとに設定された、調達資金の目標額のことである。たとえば、募集金額5,000万円であれば、 調達額が5,000万円に達しなかった場合、そのファンドは不成立となる。

一般的に、この募集金額が高いほど、投資家が参加できる確率が高まる。不動産投資型クラウドファンディングにはいくつかの参加方法があるが、たとえば先着方式の場合、募集金額が大きいほど参加人数が増えやすい。また、抽選方式の場合で考えても、募集金額が高いほど当選確率が高まりやすい。

チェックポイント7:出資方式と出資割合はどう設定されているか

不動産投資型クラウドファンディングでは大半のファンドで「優先劣後方式」が採用されている。これは収益物件の売却時に損失が発生した場合、運営会社が優先的に損失を負担する仕組みなどである。

運営会社の劣後出資割合が高いほど、元本割れリスクが少なくなる。ただし劣後出資割合は、プラットフォームやファンドによって異なるため、比較しながらファンドを選別することが重要である。

一般的には、事業者の出資割合が20%以上のファンドを選ぶとリスクが回避しやすいと言われる。

チェックポイント8:匿名組合型か任意組合型か

不動産投資型クラウドファンディングで取り扱うファンドには、匿名組合型と任意組合型の2種類がある。両者の違いは次の通りだ。

▽不動産投資型クラウドファンディングのファンドにおける2つのスキーム

匿名組合型任意組合型
物件の所有権事業者投資家が主体
相続税の節税節税効果はない評価額が圧縮できる
出資額1口1万円など1口10万円、100万円など
※1口1万円などもある
運用期間短期中心中長期中心
分配金の課税区分雑所得不動産所得

匿名組合型の分配金は課税区分が雑所得となり、給与所得以外の所得が20万円以下なら確定申告は不要だ。匿名組合型は少額・短期運用のファンドで採用されることが多いため、会社員などが投資している場合、確定申告不要のケースがほとんどだろう。

一方、任意組合型は高額・中長期運用で、物件の所有権が投資家主体になるのが基本だ。そのため、現物不動産のように相続税の節税効果がある。

注目したい不動産投資型クラウドファンディング5選

不動産投資型クラウドファンディングを実際に選ぶ際は、複数のプラットフォームを比較することが大事だ。一例として、上場企業や知名度のある企業などが運営するプラットフォームを厳選したのでご参照いただきたい。

▽注目の不動産投資型クラウドファンディングのプラットフォーム

プラットフォーム名特徴期待利回り
大家どっとこむ多種多様なファンドを用意する3.5%~10%
CREAL情報の透明度にこだわる3.8~5.5%
Jointoα全国各地のファンドを運用する3.2%~3.8%
利回りくん個性的なテーマのファンドが多い4%~5.5%
Rimple独自コインで投資ができる2.8%~5%
※期待利回りは2022年1~6月募集案件に基づく編集部調べ

注目の不動産投資型クラウドファンディング1:大家どっとこむ

大家どっとこむ
画像引用:大家どっとこむ

・運営企業の信頼性は?
大家どっとこむは、東証スタンダード上場のミライノベートのグループ企業、グローベルスが運営する不動産投資型クラウドファンディングだ。同社は、自社ブランドの一戸建てや賃貸マンション・アパートの販売、飲食店・商業施設の開発を手がける。

・プラットフォームの特徴は?
大家どっとこむの特徴は、ファンドの種類がバラエティ豊かだということだ。億円単位の一棟物件のファンドがあるかと思えば、1,000万円を切る区分マンションのファンドもある。また、立地も東京都心をはじめ、さいたまや横浜などの首都圏、地方物件など幅広い。

さらに募集方式も、先着、抽選、比例配分とファンドによって異なる。こういった特徴から、次にどんなファンドが発表されるのだろう?という楽しみがある。多種多様なスタイルの不動産投資型クラウドファンディングを体験したい人に向きのプラットフォームと言えるだろう。

▽大家どっとこむの基本情報

運営会社名株式会社グローベルス
最小投資金額1口1万円、2万円、10万円など
期待利回り3.5%~10%
(2022年1月~6月募集案件の場合)
運用期間2カ月~12カ月
(2022年1~6月募集案件の場合)
投資対象首都圏の区分マンション、アパートなど
参加方法先着、抽選、比例配分
公式サイトhttps://cf-ooya.com/

注目の不動産投資型クラウドファンディング2: CREAL(クリアル)

CREAL
画像引用:CREAL

・運営会社の信頼性は?
CREALは2022年4月、ベンチャー企業が中心の東証グロース市場に上場した、株式会社クリアルが運営する不動産投資型クラウドファンディングだ。公開初日の株価が公開価格を一時70%以上、上回ったことからも注目度の高さが伺える。

これまでクリアルは約350億円の資金残高を運用しているが、過去に元本割れは0件と発表している(2022年4月時点)。これは、物件を厳選していることを示すデータと言えそうだ。

・プラットフォームの特徴は?
CREALの大きな特徴は、1口1万円から投資できることだ。ファンドごとに収益物件のマーケット情報(エリアの人口推移や世帯数)やリスクを丁寧に説明していることから、初心者も使いやすいプラットフォームである。

また、空室リスクを回避するために、マスターリース契約物件が中心なのも安心材料だ(一部物件は適用外)。

▽CREALの基本情報

運営会社名株式会社クリアル
最小投資金額1口1万円
期待利回り3.8~5.5%
(2022年1~6月募集案件の場合)
運用期間3ヵ月 ~24カ月
(2022年1~6月募集案件の場合)
投資対象首都圏マンション、保育所、宿泊施設など
参加方法先着方式
公式サイトhttps://creal.jp/

注目の不動産投資型クラウドファンディング3:Jointoα(ジョイントアルファ)

Jointoα
画像引用:Jointoα

・運営企業の信頼性は?
Jointoαは、1964年創業、東証スタンダード上場の不動産会社である穴吹興産が運営するプラットフォームだ。不動産投資型クラウドファンディングといえば、ベンチャー企業が展開するものが目立つなか、老舗企業が展開するのは珍しい。

穴吹興産は、マンション分譲、一戸建ての請負、不動産仲介など多岐にわたる事業を展開している。その1つがJointoαだ。同社の直近の売上高は1,047億円超であり(2021年6月期)、運営会社の破綻などトラブルリスクを軽減したい人は候補の1つになるだろう。

・プラットフォームの特徴は?
Jointoαのファンドの中心はマンションだが、首都圏をはじめ、近畿、中四国、九州、北海道など広域で展開しているのが特徴的だ。そのため、大災害リスクを軽減するため、多様なエリアに投資したい人と相性がよいかもしれない。

Jointoαのもう1つの特徴は、1口10万円からという投資金額の設定である。他のプラットフォームは1口1万円の設定が多く、一線を画している。ある程度まとまった金額を投資してリターンを得ていきたい人と相性がよいだろう。

▽Jointoαの基本情報

運営会社名穴吹興産株式会社
最小投資金額1口10万円
期待利回り3.2%~3.8%
(2022年1月~6月募集案件の場合)
運用期間6カ月
(2022年1~6月募集案件の場合)
投資対象全国主要都市のマンションが中心
参加方法抽選方式
公式サイトhttps://join-to.jp/

注目の不動産投資型クラウドファンディング4:利回りくん

利回くん
画像引用:利回くん

・運営企業の信頼性は?
利回くんは、シーラホールディングス傘下の株式会社SYLAが運営する不動産投資型クラウドファンディンだ。同ホールディングスは、メディア露出度の高い杉本宏之氏が会長を務める。

同社の事業の柱は、自社マンション開発・販売、賃貸物件の管理業務だ。直近の売上高は約124億円と右肩上がり傾向で、管理物件の平均入居率はここ10年98%~99%台と安定している。

・プラットフォームの特徴は?
利回りくんは、わくわくしながら投資がしたい、そんな人と相性がよいファンドである。一般的な不動産投資型クラウドファンディングにとらわれない、「社会・地域・夢などの応援」をコンセプトにしたファンドを取り扱うプラットフォームだからだ。

利回りくんも、1口1万円から投資できる。2022年1月~6月に募集開始になったファンドを見ると、利回りは4%~5%台と比較的高めの設定だ。

▽利回りくんの基本情報

運営会社名株式会社SYLA
最小投資金額1口1万円
期待利回り4%~5.5%
(2022年1月~6月募集案件の場合)
運用期間6カ月~10年
(2022年1~6月募集案件の場合)
投資対象時代性のあるテーマの物件が中心
参加方法先着方式・抽選方式(ファンドによる)
公式サイトhttps://rimawarikun.com/

注目の不動産投資型クラウドファンディング5:Rimple(リンプル)

Rimple
画像引用:Rimple

・運営会社の信頼性は?
Rimpleは、東証プライム市場上場のプロパティエージェントが運営する不動産投資型クラウドファンディングだ。同社は、不動産分野のDXを推進することで知られる。グループ社員の約4割をIT人材が占めるという、新しいタイプの不動産会社だ。

同社の売上高は約352億円(営業利益約22億円)、創業以来19期連続で増収増益を達成している。運営企業の安定感を重視する個人投資家と相性がよいだろう。
※売上高、業績は2022年3月時点

・プラットフォームの特徴は?
Rimpleの最大の特徴は、ショッピングなどで貯めた他社のポイントを活用して、不動産投資型クラウドファンディングに投資できることだ。その流れは、他社ポイントをRimpleで使えるリアルエステートコインに交換し、「1コイン=1円」としてファンドに投資するというものだ。

▽Rimpleで使えるポイントとリアルエステートコインの仕組み

現在、リアルエステートコインに交換できるポイント例は下記の通りだ。

▽リアルエステートコインに交換できる主なポイント例
・セゾンポイント
・ハピタス
・モッピー
・プレミアム優待クラブポイント

これらのポイントの所有者であれば、ポイントを活用して不動産投資型クラウドファンディングをするのも一案だ。

▽Rimpleの基本情報

運営会社名プロパティエージェント株式会社
最小投資金額1口1万円
期待利回り2.8 %~5%
(2022年1~6月募集案件)
運用期間6ヶ月
(2022年1~6月募集案件)
投資対象東京23区マンションが中心
参加方法抽選方式
公式サイトhttps://funding.propertyagent.co.jp/

まとめ:他の不動産投資との違いを理解し、プラットフォームを慎重に選んで投資をしよう

本稿の前半では不動産投資型クラウドファンディングの基本、後半では注目の不動産投資型クラウドファンディングのサービスプラットフォームを紹介した。

投資を検討中の人は、不動産投資型クラウドファンディングの仕組みを理解し、他の投資形態(現物不動産やREITなど)との違いを把握することが大事だ。これにより、リスクを軽減できたり、自身との相性を判断できたりする。

実際に投資する際は、本稿の「不動産投資型クラウドファンディングの選び方と着目点」などを参考にしながら、リスクの少ないプラットフォームやファンドを選んでほしい。

また、不動産投資型クラウドファンディングの注目の高まりから今後、悪徳業者や詐欺グループが出てくることも予想される。リターンだけに目を奪われないよう意識することが最大のリスク回避策である。