アフリカ各国は「共産党のイデオロギー」を模範にする?

しかし、これら6ヵ国が「自発的に」中国の統治と経済モデルから学ぶことを目指している点は念頭に置くべきである。

一帯一路プロジェクトを含め、近年、発展途上国に対する中国の影響力の拡大が国際社会から批判を受けているが、中国とアフリカは古くから親交が深かった。中華人民共和国外交部の資料によると、その歴史は海路による直接の交流を開始した7世紀にさかのぼる。それ以来、中国とアフリカの貿易と文化・経済・政治・軍事的交流は広がり続けてきた。

例えばタンザニアは南部アフリカ諸国と同様に、ジュリウス・ニエレレ政権下で1960~70年代にわたって毛沢東主義と中国共産党の支援や影響を大きく受けた。また、ジンバブエのエマーソン・ムナンガグワ大統領は、1960年代に南京の陸軍士官学校に通って訓練を受けた経験もあるという。

さらに新型コロナウイルスのパンデミック以前には、年間数百人のアフリカの役人が共産党の政治・経済モデルを学習する目的で中国を訪れていたという。

つまり、6ヵ国の指導者にとって、中国共産党のイデオロギーは中国の社会的・経済的成功の象徴であり、それを模範とすることで自国の発展を促すという思想が受け継がれてきたのだ。

リーダーシップ養成校の開設は、このような思想や概念をより強める役割を果たすとの見方が強い。

「第二の中国」にはならない?

これに対し、「中国の一党制・国家主義体制をそっくりそのままアフリカに植えつけ、支配力を強化しようとしている」という解釈は誤りだとの指摘もある。

フランス国立科学研究センターの上級研究員兼香港バプテスト大学の研究教授であるジャン・ピエール・カベスタン氏は、国立アジア研究局を介して発表した論文の中で次のように反論している。

中国は特にサハラ以南(サハラ砂漠より南の地域)との関係強化に注力しているが、その目的はアフリカを「第二の中国」にすることではなく、中国式の統治や経済組織、「(中国式の)民主主義」を促進することだという。

一方、元駐エチオピア米国大使でジョージ・ワシントン大学エリオット国際関係大学院のデビッド・シン教授は、6与党は養成校に対してそれぞれ異なる期待を抱いているが、「政治権力を永久に保持する方法を学ぶためのものと考える傾向がある」点は共通していると述べた。

今後も拡大する中国の存在感

カベスタン氏は、2021年11月の第8回中国アフリカ協力フォーラム(FOCAC)で発表されたホワイトペーパーを引用し、中国共産党がサハラ・アラブ民主共和国を除くアフリカ連合(AU)54カ国中51カ国、合計110の政党と関係を築いている点を主張している。

これはすなわち、今後中国がアフリカで存在感を増していく可能性を示唆しているのではないだろうか。

文・アレン琴子(英国在住のフリーライター)

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