熱狂的な人気の理由

近年の「健康志向」からは程遠いような商品と、のれん分けではない「パクリ」とさえ言えるインスパイア系も台頭する中で、ラーメン二郎はなぜ根強いファン層を確立しているのか。

二郎「系」も許容で広がるファン層

正式なのれん分けによる支店ではない二郎系、インスパイア系を許容している点が、かえってファン層を広げている。類似店舗を開く追随者を、否定して市場から弾き出すのではなく受け入れていくことで、さらに知名度やファンが拡大しているという構図だ。

山田氏もインタビューでは、インスパイア系に「宣伝してもらっているんだから、気にするな」と述べている。もちろん、実際には系列店ではないのに二郎グループをかたるような誇大広告や虚偽表現には厳しく対処しているようだ。

ブレないスタイルを貫く

ヘルシーや健康志向を売りにした商品や飲食店が人気を集める中で、二郎はたっぷりの油と豚を使ったそのスタイルを維持する。創業当初の「腹いっぱい食べてほしい」というストレートな思いをそのままに、ボリューム満点な量も変わらない。ファンにとっては、このブレないスタイルが魅力の一つなのだろう。

インスパイア系の多様化も?

インターネット上で「二郎インスパイア系」として紹介されている中には、独自の路線で多様なアレンジを加えているメニューも多い。例えば、醤油だけにとどまらずカレー味やポン酢味のラインアップを揃えた「凛」(東京都渋谷区)や、天かすを唐辛子で味付けしたトッピング「辛揚げ」が名物の「千里眼」(目黒区)などがある。

ラーメンではなく野菜炒めの二郎系とも呼ばれる「ベジ郎」(渋谷区)なども注目だ。

多様化する「二郎系」も巻き込み成長する市場

ラーメン二郎は、ジロリアンたちによる熱狂的な支持を得て、系列店だけではなく類似店までも巻き込んでファンを虜にしてきた。多様化するインスパイア系と共に成長していく姿は、ラーメン市場に限らず参考にしたいスタイルだ。

文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)

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