長らく超低金利が続いている日本でお金を預けていても増えないので、海外に目を向ける人が多くなっています。投資先としての海外には多くの選択肢がありますが、その中の1つにオフショア投資があります。

あまり日本国内で知られている存在ではありませんが、700人以上の日本人富裕層がオフショアを利用していることが「パナマ文書」の流出事件で明らかになったこともありました。

本記事ではオフショア投資のメリットとデメリットを解説し、結局のところは「あり」なのかどうかについて解説します。

話題の「オフショア投資」とは?

最近話題のオフショア投資とは?メリットやリスク、投資の可能性まとめ
(画像=gopixa/stock.adobe.com)

オフショア投資とは、全世界に点在するオフショアに投資をして低コスト勝つ高利回りの運用を目指す投資のことです。このオフショアについては次項で解説しますが、オフショア投資では日本国内と比べ物にならないような好条件の運用が可能になります。

その理由は、オフショアが「投資のために制度が整備された国、地域」だからです。世界中から投資マネーを集めるための環境を整備しているので、もちろん日本国内からも投資が可能です。

日本からオフショアへの送金が簡単ではなく、現地との接点を持ちにくいこともあって一部の富裕層にしか知られていない存在でしたが、今ではクレジットカード決済を使った積立投資も可能で、個人投資家レベルであっても取り組みやすいサービスとなっています。

詳しくは後述しますが、多くの投資商品は条件を満たせば元本保証となっており、元本保証でありながら日本をはるかにしのぐ高利回りであることから人気を集めています。大手の投資会社は日本語サイトも設けているので、日本国内からでも手軽に投資ができます。

そもそもオフショアって何?

オフショアとは、いわゆるタックスヘイブン(租税回避地)のことです。主たる産業がないために税金をゼロもしくは限りなく低くすることで非居住者の投資マネーを集め、それを産業にしている国や地域がオフショア(タックスヘイブン)となっている例が見られます。

代表的なオフショアとしては、英領マン島、同ケイマン諸島、同ヴァージン諸島などがあります。先ほど「パナマ文書」で名前が挙がったパナマ共和国もオフショアの1つであり、それゆえに同国には「パナマ文書」で暴露されるほど多くの投資マネーが集まっています。

オフショアには、いくつかの種類があります。内外一体型といって非居住者向けのオフショア市場と国内市場が一体となって運営されている香港のような事例や、内外分離型といってオフショア市場と国内市場が分離されているシンガポールのような事例があります。

本記事でオフショアと表現しているのはこのどちらでもなく、タックスヘイブン型と呼ばれるタイプです。タックスヘイブン型のオフショアの大半は内外一体型や分離型と違ってペーパーカンパニーが存在しているだけで、それぞれのオフショア内で金融市場が運営されている実体はほとんどありません。

オフショア投資のメリット

オフショア投資のメリットは、主に3つあります。

高利回り

高利回りはオフショアに資金が集まる最大の理由であり、世界中の投資家にとってのお目当てでもあります。元本保証で3%以上、さらにボーナスや死亡保障まで付いている商品もあります。

税金分も再投資できるため複利効果が高い

本来であれば発生する税金として徴収される分も再投資に回せば、福利効果が高くなります。運用年数が長くなるほど、このメリットは大きくなります。

資産形成効果が高い

オフショア投資商品の多くは途中解約をすると損をしてしまう設定になっており、契約期間は否応なく運用する人が多いでしょう。簡単に途中解約できないことが資産形成に役立つ側面があります。

オフショア投資のデメリット、リスク

次にオフショア投資のデメリットやリスクについても解説します。多くの日本人にとって未知の世界である可能性が高いオフショア投資だけに、特にデメリットやリスクをしっかりと理解しておいてください。

途中解約すると損になる可能性が高い

多くのオフショア投資商品は運用期間の途中で解約をするとペナルティが発生し、損をする可能性が高くなります。「元本確保型」となっている商品の多くは契約期間満了まで積み立てをすることが条件になっており、満了を待たずに解約をすると元本の保証も得られません。

為替リスクがある

オフショアは海外にあるため、取扱商品の多くは基本的に米ドルやユーロ、英ポンドなどの外貨建てです。投資開始時よりも満期時に円安になれば為替差益を含めて利益を手にすることができますが、逆に円高になると為替差損が生じます。2022年は「超円安」と表現されるほどの円安が進行しているので、このレート水準から外貨建ての投資を始めるのは不利になるかもしれません。

日本の金融当局から認可されていない

海外のオフショアに、日本の法律は適用されません。日本語サイトがあるからといって日本の企業ではないので、万が一倒産をしたり資金を持ち逃げされたりしても日本の金融当局は何もすることができません。オフショアの現地に行ってもペーパーカンパニーがあるだけであることを考えると、このことは最大のリスクといってよいでしょう。

日本からオフショア投資ができる可能性

大手のオフショア投資会社が日本語サイトを設けて集客をしており、さらにクレジットカード決済での積立投資ができる業者も多いので、日本国内からオフショア投資をする環境は整備されています。元本保証でありながら日本の定期預金と比べて数十倍、数百倍の利息が得られることも魅力的です。

しかし、オフショア投資会社は日本の金融庁から認可を受けているわけではなく、万が一の事態に陥った際には完全に自己責任となります。

そもそもオフショアに投資をすること自体が課税逃れであるとの指摘もあるため、オフショアの存在そのものが世界各国の金融当局からは目の敵とされている傾向があります。そのため国による救済は期待できず、投資金の回収が困難になってしまう事態も考えられます。

語学が堪能で現地に赴くことができる人であっても、オフショアの現地にあるのはペーパーカンパニーで、実際の運用は別のところで行われている可能性も高いでしょう。もちろんオフショア側も安全性を確保するために、マン島のように「投資金額の90%を保証する」といった制度を設けていることもあります。しかしながらマン島政府がこれを実行できない(実行しない)リスクがゼロになるわけではありません。

もう一点重要なのが、オフショアで運用した確定利益を日本国内に送金すると、その時点で課税されることです。運用中は税金がほとんどかからないので再投資額を大きくできるメリットはありますが、永久に資産をオフショアに置いておくわけにはいかず、いつかは日本国内に持ち込む必要があり、その際に課税されることになってしまいます。

また、運用会社が破綻してしまうリスクを抑えるには、信頼できるエージェント(代理人)を通す必要があります。こうしたエージェントを通すにもコストがかかるので、結局オフショア投資でメリットを享受できるのは運用資産額の大きな富裕層のみということになりそうです。

近年では投資環境が整備されてきていることを受けて、実体のないオフショア投資を呼びかける怪しげな広告を目にすることも多くなりました。こうした詐欺まがいの勧誘に引っかからないためにも、オフショアやオフショア投資を理解して本質を見抜く目を養っておきましょう。

(提供:Incomepress



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