新車が毎年のように値上がりしていることをご存じでしょうか? 10年前と比較すると、新車の販売価格は多くの車種で10~25%も値上がりしています。
加えて昨今の半導体不足の影響で購入希望者が中古車市場に流れ、中古車の価格まで高騰しているのが現状です。

車の乗り換え時期が迫り、「少しでも安く車を手に入れたい」と考えている人の中には、頭を抱えている人も少なくはないでしょう。

そこで今回は、自動車販売価格が値上がりする中で安く車を購入する方法についてファイナンシャルプランナーが解説します。

ファイナンシャルプランナーが解説! 安く車を購入する方法

値上がりする自動車販売価格。安く車を購入する手段とは?

昨今は新車の販売価格が値上がりしていますが、中古車も例外ではありません。事実、2022年4月の段階で国内取引されたすべての中古車の平均取引価格が100万円を超え、かつてない取引価格ということで話題になっています。

新車が高すぎるから中古車を狙っていた人にとっては、良くないニュースです。ただ、同じ中古車でも、商談や手続きに工夫をこらすことでコストを抑えることはできます。

ここでは、少しでも中古車を安く購入するために実践できる方法を紹介します。

車を安く購入する方法(1)決算時期に車を購入する

自動車の販売店の決算時期は3月と9月(3月が年度末決算、9月が中間決算)です。自動車販売店は決算までに販売する目標台数が決まっているため、この時期は業績を向上させるために車を値引きして販売台数を稼ごうという傾向があります。

ほかの月と比較して価格交渉がしやすく、購入の決定打になる値引きの条件が出やすくなるのもこの時期の特徴です。
購入価格をできる限り抑えたい人の場合、3月か9月の決算時期に購入するのがいいでしょう。

ただし、販売店の決算時期に注文書を出して発注をかけただけでは値引きの対象にはなりません。決算月の月末にユーザーへの納品まで完了しないと、販売店の正式な売上として計上できないためです。

車を安く購入する方法(2)諸費用の値引きを交渉してみる

ある程度の値引き交渉ができて、「もう一押し」というタイミングなら、諸費用を値引き交渉する方法もあります。車を購入する際は車両本体価格だけでなく諸費用がかかるため、こちらを値引くことでも大きなコスト削減につながります。

諸費用は大きく分けて以下の2つです。

1. 法定費用:保険料や税金など、法律で決められている費用
2. 代行費用:車庫証明や納車費用など、販売店で設定される費用

法定費用は法律で定められているため値引きはできませんが、以下のような代行費用は値引き交渉が可能です。

  • クリーニング代・整備費用
  • 納車費用
  • 代行手数料 など

また、値引きだけでなく、車庫証明の取得や検査登録を自分で行ったり納車を待たずに自分で販売店に取りに行ったりと、代行費用に含まれるサービスを自分で行うことで費用の削減が可能です。

車を安く購入する方法(3)金利が低いローンを選択する

車の購入にマイカーローンを選択する場合、できるだけ金利が低いローンを選ぶことが重要です。
車は高い買い物ですから、金利が1%上がるだけで返済総額が何万円も変わることがあります。

ローンの選択肢としては銀行系のマイカーローンと販売店が扱うローンに大別できます。
販売店のローンならその場で購入手続きもローン手続きも完結するので手間はかかりませんが、金利が高めに設定される傾向にある点は注意が必要です。

一般的には銀行系マイカーローンの金利が低いとされるため、可能であれば銀行でローンの申し込みを検討しましょう。ただし、金利が低い分だけ審査が慎重に行われる傾向があり、申込者の返済能力次第では審査落ちもありえます。

事前に審査の準備や手続き方法の確認を行い、審査に落ちた際に申し込む次のローンについても考えておくといいでしょう。

車を安く購入する方法(4)今持っている車を下取りに出す、または売却する

すでに車を所有している場合、車を買う前に所有している車を処分して新しい車の購入費用に充てることも検討しましょう。

車をお金に換えて購入費用に充てる方法としては、以下の2つがあります。

  • 新しい車を購入する販売店で下取りに出す
  • 中古車買取専門店に売却する

販売店に下取りに出す方法はすべての手続きを1社に任せられるので手間が少ないのですが、一般的には中古車買取専門店のほうが高く買ってくれる傾向があります。

車購入の負担を減らすためには、車の一括査定サービスで買取価格を比較し、高く買ってくれるところに売るようにしましょう。

車を安く購入する方法(5)中古車を業者オークションで購入する

中古車を手に入れるにはオークションに参加して安く購入する方法もあります。
ただし、オークションは所定の条件を満たした業者しか参加できません。個人で利用するには代行業者に依頼することになるでしょう。

代行手数料でお金がかかるほか、状態の悪い中古車が混ざっている可能性がある点には注意が必要です。

ファイナンシャルプランナーが解説! 車を安く購入できない場合の対処法

ここまで車を安く手に入れる方法を紹介してきましたが、どれも値引き交渉や車の知識が必要で、少々自信がないという人もいるでしょう。
そこで、「交渉なしでも安く中古車を手に入れたい」という人に向けて、安く、そして早く車を手に入れる方法を紹介します。

車を所有することにこだわりがないなら、カーリースという選択肢がおすすめです。
カーリースでは契約満了時の下取り価格(残価)を車両本体価格から差し引き、契約月数で割った月額料金を支払うシステムです。自賠責保険料や税金などの初期費用も月額料金に含まれるため、一般的に購入するよりもお得に車に乗ることができます。

車をすぐに利用できる「中古車リース」という選択肢

カーリースは新車を対象にした新車リースが主流ですが、中古車を対象にした中古車リースもおすすめです。
カーリースの仕組みとしては中古車リースも新車リースも変わりませんが、商品ラインナップが異なります。

新車リースでは国産車のラインナップから最新の新車を自由に選べますが、中古車リースではリース会社に在庫のある中古車から選ぶので選択肢は限定的です。
ただし、新車とは違って、必要な手続きさえ済ませれば納車は速やかで、新車では手に入らない旧式の車種も選べるといった魅力があります。

また、中古車を購入する場合と比較しても、次の乗り換え時に下取りや廃車の手続きが必要なく、リース会社に車を返却するだけといった手軽さがあります。

次の項では中古車リースの具体的なメリット・デメリットを見ていきましょう。

中古車リースのメリット(1)新車リースよりも安く手に入る

カーリースは新車でも中古車でも月額料金に税金や保険料が含まれる上、将来の下取り価格を差し引いた金額を契約月数で割ることで月額料金を算出します。そのため、購入と比較して割安で車に乗れるのが最大のメリットです。

また、中古車リースなら新車よりも車両本体価格が安いため、さらにお得に利用できるでしょう。料金をできるだけ安く抑えたい人には中古車リースがおすすめです。

特にメンテナンスありのプランにすれば、定期的に発生するメンテナンス費用も月額料金に含めることができます。
参考までに、代表的な中古車リース会社の費用感をまとめてみました。

おトクにマイカー
定額カルモくん
中古車
もろコミ
カーコンカーリース
ニコノリ 中古車
月額料金月額10,000円台~月額10,000円台~月額5,500円~
契約期間3~8年6年1~7年
メンテナンスプラン月額2,750円~月額1,320円~なし

月額料金や契約期間の選択肢、メンテナンスプランの有無の違いはありますが、選ぶときは、まずは気に入った車両があるかどうかが重要です。
また、支払いにはボーナス払いが必要な場合もありますので、料金確認の際には注意しましょう。「おトクにマイカー 定額カルモくん 中古車」ならボーナス月加算がなく、月額費用だけで支払いが完結します。一方の「ニコノリ 中古車」では月額が5,500円からと安く抑えられている一方、ボーナス月加算が発生します。自分に合った支払い方法を選ぶといいでしょう。

中古車リースのメリット(2)頭金不要

新車のカーリースと同様、中古車リースでは頭金不要の月額払いにすることができます。一方、中古車を購入する場合は一般的に以下のような費用が発生し、一部は頭金として購入時に支払いが必要です。

  • 車両本体価格
  • 消費税
  • 自賠責保険料
  • 任意保険料
  • 環境性能割
  • 自動車重量税
  • 自動車税(種別割)
  • 車庫証明取得費用
  • 登録代行費用
  • 納車費用

アクセサリーやメーカーオプションを追加した場合、それに対しても消費税や環境性能割が加算されます。
このような費用を頭金とともに用意する必要があるほか、税金は購入後も毎年納めなければいけません。

中古車リースなら月額料金にこれらの費用が含まれるため、月額料金以外の支払いは不要です。車を手にするにあたっての初期費用を大きく抑えられます。

中古車リースのメリット(3)新車リースよりも早く納車できる

新車リースは利用者が希望する車をメーカーに発注して納車を待つことになるため、納車まで通常1ヵ月~2ヵ月、2022年7月現在は多くの車種がそれ以上の時間を要します。

一方、中古車リースは在庫のある車の中から選ぶため、登録手続きと点検を済ませればすぐに納車が可能です。納車にかかる時間は車両によって異なりますが、多くの場合は1ヵ月もかからずに納車できるでしょう。

オンラインで申し込める中古車リースなら手続きも簡単で、店舗型よりもさらに早く納車される可能性もあります。

中古車リースのメリット(4)故障保証や車検付きのサービスがつくこともある

整備された中古車であっても新車と比較すればどうしても車のコンディションは長く続かず、定期的なメンテナンスや修理が必要になる場合があります。

中古車リースではメーカー保証がついていないことが多く、トラブルに関しては基本的に自己負担です。ただし、リース会社によって保証内容は異なるものの、独自の保証を受けられる場合もあります。
例えば「お得にマイカー定額カルモくん 中古車」では、全車に車検2年と故障保証1年のサービスがつきます。「もろコミ カーコンカーリース」「ニコノリ 中古車」も同様に、全車種に1年の中古車保証がついてきます。
中古車リースを選択するなら、このように保証が充実した会社を選択するといいでしょう。

中古車リースのメリット(5)短期での利用も可能

長期での利用を想定した新車リースと異なり、中古車リースなら1ヶ月単位の短期利用に対応しているケースがあります。
数ヶ月だけ車を使いたいというケースなら、短期利用に対応した中古車リースのほうが経済的に車を所有できるでしょう。

中古車リースのデメリット(1)選べる車種やグレードが限定される場合がある

新車を利用する新車リースでは希望どおりの車種・グレード・カラー・オプションを用意できます。一方の中古車リースではリース会社が所有する車から選ぶため、必ずしも利用者が希望する車種があるかどうかが分かりません。
また、希望する車種があったとしても、グレードやカラー、メーカーオプションはすでに決まっているため、自由に変更することができません。
特に新車で人気のグレードの場合は中古車での用意が難しく、ラインナップが限定されるのがデメリットです。

ただし、リース会社によっても商品ラインナップはまったく異なります。主要な中古車リースの取扱台数を比較してみましょう。

おトクにマイカー
定額カルモくん 中古車
もろコミ
カーコンカーリース
ニコノリ 中古車
取扱台数約3,350台約850台約420台
※2022年7月18日調べ

中古車リースの仕組み上、自由に車を選べない点はある程度の我慢も必要です。ただ、どうしても狙っている車種やグレードがある場合はこまめにリース会社の在庫ラインナップを確認してみましょう。

中古車リースのデメリット(2)長期での利用が難しい場合がある

メリットの項で「短期での利用に向いている」と紹介しましたが、これはデメリットになることもあります。長期で車を使用したい場合、中古車のコンディション次第では新車に劣ることがあるためです。

これはリースに限った話ではありませんが、エンジンやトランスミッションの不具合が発生した場合は新車ならメーカー保証で修理できますが、中古車の場合は点検整備費用を自己負担するリスクがあります。

中古車リースのデメリット(3)中途解約ができない

新車のカーリースでも同じことですが、原則としてカーリースは中途解約が認められません。自然の故障が理由だったとしても、廃車になると中途解約として違約金を請求される可能性もあります。
そのため、多くのリース会社では車両保険に入ることを勧めています。

購入で値引きできないときは中古車のリースが選択肢になる

納得できる価格で中古車を手に入れるために、まずは購入価格や諸費用での値引きができないか販売店と交渉してみましょう。決算時期を選んだり自分で行える手続きは代行手配をやめたりすることで、より安く購入できる可能性があります。
ただし、値引き交渉をしたり自分で手続きしたりする方法は知識が求められるため、自信がない人もいるでしょう。
そのようなときは「中古車リース」を選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。下取り価格を差し引いた車両本体価格を契約月数で割った金額を毎月支払うので、購入と比較して月々の負担を抑えることが可能です。リース会社によっては中古車保証や車検費用がついている場合もあり、安心かつ経済的に中古車に乗ることができます。

執筆 高柳政道(たかやなぎ まさみち)
CFP(R)認定1級ファイナンシャル・プランニング技能士、兼ライター
「投資」「相続」「保険」など専門性・正確性が特に重視される分野で高い評価を得ている。
また、FPの分野からは外れるが、「カードローン」「クレジットカード」「終活」「仮想通貨」「FX」についても豊富な知見を持つ。
編集 伊藤真二(いとう しんじ)
介護福祉士資格も所有するファイナンシャルプランナーとして、老後の暮らしや節約・資産運用など、安心できる未来、無駄のない今を生きるためのご提案を多く行う。 また、ニュースメディア、採用メディア、自動車メディアなどのライター・編集者の経験から記事執筆・監修も広く行っている。