本記事は、弓削徹氏の著書『アイデア体質になる! 課題が解決する! キャリアが広がる! メモ・ノートの極意』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています
メモを速くとるための5つのヒント
書き順を守ると速く美しく書ける
小中学生の頃、私は漢字の書き順などどうでもいいと思っており、大人になっても自己流の書き順で書いていました。
それが、あるときペン習字に目覚め、お手本を上からなぞるようなテキストで独学をはじめたのです。
テキストには書き順どおりになぞっていくマスがあり、自然と正しいペン運びで書くことになりました。すると、文字がややキレイになり、ふだんの筆記のスピードが速くなったのです。
やはり、書き順はダテではなかったのですね。ささいなことですが、筆記に対する先人の知恵は大切にするべきだと気づきました。
あなたはすでに書き順を守っているかもしれませんが、私にはよい教えでした。
そのほか、できるだけ速くメモをとるために考え、取り入れてきたコツを紹介します。
■メモを速くとるためのヒント 1 オリジナル略号を使う 2 画数の多い言葉はカナ表記 3 頻出語は1字目のみ表記 4 漢字の書き順を守る 5 追いメモで補足する
1 オリジナル略号を使う
打ち合わせの間に質問したいことや、あとで調べようと思ったこと、自分からメールで資料を送らなければならない件などに略号や記号を振り当てて、記入するのです。
言葉や文章を追うよりも速く見つかるので、ポイントとなる部分に目立つように記入することをオススメします。
また、フレーズとフレーズに「原因と結果」や「根拠と施策」のような関係性がある場合、それぞれのフレーズを丸で囲み、矢印で結ぶことで話の流れがよりわかりやすくなります。
その際、順番や因果関係、理由、結果などで異なる矢印を使い分けると明解になるので便利です。
略号や、あとに述べる省略語のバリエーションが増えたら、手帳の後ろのページなどに凡例として記録しておきましょう。本人が意味を忘れてしまうこともありますから。
2 画数の多い言葉はカナ表記
画数の多い漢字はカタカナで書きましょう。
例えば、複雑は「フクザツ」、履歴は「リレキ」、規模は「キボ」、顧客は「コキャク」など。
携帯電話を「ケータイ」と簡易的に表記するのと同じですね。
また、事例は「ex.」(example)や「e.g.」(exempli gratia〈ラテン語〉=for example)と省略します。
さらに、「プレゼンテーション」や「オンリエンテーション」のような長めのカナ表記はそれぞれ「プレゼン」、「オリエン」といった省略になります。
「ミーティング」は「MTG」ですし、許可が出たものは「OK」や「GO!」、中止は「NG」(no good)。「できる限り早く」は「ASAP」(as soon as possible)か「なるはや」などとなります。
3 頻出語は1字目のみ表記
頻出する言葉は1文字目だけを書く、イニシャル式です。
複数の言葉が連想されても、あなたの分野に特有の言葉であれば1文字で十分でしょう。私の場合で言いますと、マーケティングは「マ」、企画は「企」、キャッチコピーは「キ」など。
一般的な言葉でも、打ち合わせを「打」、提出を「提」、検索は「検」などのように省略できます。
同じ省略のルールをパソコンのユーザー辞書にも登録しておけば、連携して記憶し、活用することができます。
4 漢字の書き順を守る
本項の冒頭で書いた通り、漢字の書き順は正しく守るということです。
最近はリラックスするために書道を習うビジネスパーソンも増えています。筆ペンでもいいので筆文字で書いてみると、より効果的だと思います。
初学者のつもりで、虚心坦懐に学び直してみましょう。
5 追いメモで補足する
最低限の単語、キーワードだけをメモしておき、あとで追記して意味を補うものです。
基本は、メモも文章のカタチで書くことが理想です。述語や修飾語、目的語などをおぎなうとともに、さらに接続詞でつないでおくほうがあとで見返すときに意味がとりやすいのでラクです。
しかし、打ち合わせなどでメモをとるとき、相手の話すスピードが速いと十分に意味をなす文章を書けないことがあります。
私自身も、数日経ってメモを見てみたら(何のことだったか?)と困惑してしまった経験が何度もありました。
その場合は、書きもらしが許されない重要キーワードのみをとりあえず書いておきます。そして、終了後に帰りの電車内などで追記をすればいいのです。
記憶がフレッシュなうちに補強となる述語や修飾語をつけ、完結する短文にして、後日に読んでもわかりやすいメモに変換しておくようにしましょう。
【例】
参入障壁 知財 ノウハウ 体制ない
↓
参入障壁として知財やノウハウを活用していくことが大切。
しかし、中小企業ではその体制ができていないことが課題。
また、メモを見返したとき、要注意、重要と思ったところには下線(直線、波線)などをつけておくと記憶の助けにもなります。
5W1Hを意識してメモに残す
新聞記者が基本としている5W1Hを意識すると、抜けモレがなくなります。
・When=いつ・Where=どこで・Who=誰が・What=何を ・Why=なぜ・How=どのように/どれくらい/いくらで
これらの項目がきちんと盛り込まれていれば、情報伝達としては合格です。とくに報告や指示のためのメモの場合は、再度の確認など二度手間が発生しないので時短につながります。
要点を要領よく要約する
より短く書くために要約を極める
手元にある雑誌や新聞の記事から得たヒントをメモするのであれば、じっくりと考えて文章で書くことができます。
しかし、流れているテレビ番組の情報をメモしたり、相手の話を書き留めたりするときは、急いで単語や箇条書きをすることになります。
そのときに鍛えられるのは、要約するチカラです。
当たり前ですが、ずばりのキーワードや短く端的な文章を書かなければなりません。つまり、情報の取捨選択、どんなキーワードを選び取って記入するかが重要になります。
ムダを削り落とすと、結局は「AだからB」なのか、「AのためにBとC」なのか、核となる真意を見つけ出さなければなりません。
アイデアに結びつくヒントだとあなたが考えたのなら、それを端的な表現にするとどんな言葉になるかを書くわけです。目に入った情報をそのままではなく、いったん、自分の言葉に変換してから書いたほうがいいこともあります。
自身のプロフィールは要約の練習材料
ここではメモを書くときの要約について述べていますが、ノートへ転記する際においても同様に大切です。長めの文章をまとめるにあたっては、汲み取った要点をシャープな短文で書きたいところです。
これは、日頃から「結局はどう言えばスッキリと伝わるか」を意識して練習することが大切です。
例えば、あなた自身の自己紹介やプロフィールなどはうってつけの教材です。
本人だからこそ知っているいろいろな経験や実績を要約し、第三者にわかりやすく伝わりやすいまとめ方をするには、どこを生かし、どこを削ればいいかを考えてみてください。
使えるメモ帳の選び方
メモ帳はなんでもいい
メモ帳はブロックタイプ、リング式などのほか、ノートそのものやミニノート、いらない書類のウラをクリップで綴じたもの、付せん、手のひら(!)など、書きつけられるものならなんでもいいと思います。
私は、保存版のノートとまったく同じものを使う場合も少なくありません。
メモ帳は「書き味にこだわる」というほどのこともないので、100円ショップにいろいろあるバリエーションの中から選べばよいと思います。
また、ミニノートタイプをメモにすることもあります。リングタイプのノートのなかには、B5ノートと同じ間隔でリング穴が空いているものがあり、これを選べばページ単位で一緒に綴じることができます。
以前、支援先企業のノベルティグッズとしてロディアをもらいましたが、もったいなくて使っていません。これでは、本末転倒ですね。
メモ帳らしいサイズとは
サイズとしては、B7ていど(JIS規格91×128/ISO規格88×125)が、私はいちばんしっくりきます。あなたも、店頭で手に持ってみて決めてください。
メモ1枚に1件のみをゆったりと書くつもりでサイズを選ぶことをオススメします。
そうすると、あとで追記したり、ノートに転記したり、テーマごとにまとめたりするのがラクになります。
ToDoメモだけはチェックボックスが記されていないと不便なのでAmazonで探して買っていたのですが、ついに100円ショップでもToDo用のメモが販売されているのを見つけました。
ToDoは、記入した項目をおおむね終えたら更新でもいいですし、毎日更新して気分を新たにするのもいいかもしれません。
こだわる人は、自身にぴったりのメモと出合うため、つねに文具店や通販サイト、100円ショップを探索しておくとよいでしょう。
付せんは便利なのですが、はがれてしまうことがあるので注意が必要です。うっかりすると迷子になってしまいます。
出先では台紙が硬いメモを用意する
急な電話を受け、立ったままメモをとるという状況はたまにあります。
私の場合は、工場のラインを回りながら説明を受けるという機会も少なくありません(食品工場ですと、スマホはおろかペンやメモ帳も持って入れない規則になっていることがありますが)。
こうしたとき、硬い台紙のメモであれば、どこでも書くことができるので便利です。
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