本記事は、弓削徹氏の著書『アイデア体質になる! 課題が解決する! キャリアが広がる! メモ・ノートの極意』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています

問題は整理すると半分消える

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(画像=Gajus/stock.adobe.com)

問題もノートに書きだせばいい

「問題は整理するだけで半分消える」とは自己啓発などの本によく書かれていることですが、自身の問題に照らし合わせても納得できます。

私の場合、うまい解決策が見つからないことや、めんどうな課題などが5つほどたまると、なんだかモヤモヤしてきます。

「あれとあれ、あとは……いろいろあるよなぁ」などと漠然とイヤな感情にひたってしまうのです。

しかし、1つひとつの問題を冷静に考えてみると、たいした問題ではないことも多いものです。

何枚かの書類に記入して投函するだけのことだったり、専門家に電話を1本して依頼するだけで済んでしまうようなことだったりで、本格的な問題は1つだけだ、と気づかされたりします。

こうした問題はメモやノートに書き出してみる、あるいは大きめな問題であると思えたら、ロジックツリーで問題を分解してみるとよいのです。

細かくなった要因はカンタンに消せることも多く、その対処法を2つ、3つ実行するだけで、ほとんど問題の体をなくしてしまうことも多いものです。

省力化ノートをつくっておく

日常の業務は繰り返しのことも多く、これをマニュアル化、ひな型化するノートをつくっておくと省力化できます。

いつも担当している人にとってはカンタンなことでも、不慣れな人が一から考えて対応するのはたいへんであることも多いものです。

組織人であれば、自身の仕事をマニュアル化したりファイル化したりしておくと、相当、感謝されます。経営者からは仕事のできる人間として認識されるでしょう。

その過程で「この仕事の本質は何か」と考える機会にもなります。

また、マニュアル化しておけば、担当者であるあなたは休みをとりやすくなるかもしれません。

メモをとられる側の話し方

メモをとる側の体験を生かす

いつもこちらがメモをとる側とは限らず、メモをとってもらう場に臨むこともあります。

あなたが部下に対して、あるいは外部の協力会社などに指示を出すときは、メモをしてもらう立場になります。

この場合は、自分がメモをとってきた経験を元に、メモをとりやすい話し方をすることが大切です。

こちらは、これから伝える内容がフクザツか、項目が多岐に渡るかどうかを把握しています。適切なメモのとり方を指示できるのも、こちら側ということになるわけです。

デスクワークの最中に呼ばれて、なんとなく指示を聞こうとしているような部下に、「やることは5つくらいあるから、メモしてもらったほうがいいかな」のように言えば、相手も準備ができますし、聞きもらしが起きることも避けられ、業務がスムーズに進むでしょう。

また、相手のメモのとり方や、表情にも注目しましょう。

大切なことを伝えたのにペンが動いていないなら、あとで確認をする必要があります。納得した表情をしていないようであれば、疑問点を言い出せずにいるのかもしれません。

メモしやすい話し方とスピードを

もう1つ、注意が必要なのは、聞き手がメモをとりやすい話し方をすることです。

以前の私は、早口で要素を次つぎに並べていくような話し方をしていました。

しかし、相手がきちんとメモをできなければ、それはお互いのソンです。こちらの意図や指示は伝わりませんし、相手も十分に理解して動くことができません。

そこで、あるときから相手のことを考え、ややゆっくりと、そして1音も落とさず話すことを心がけるようにしました。また、要点となるキーワードや日付は大きめに発音したり、繰り返したりもします。

■聞きとりやすい話し方

●間を入れる とくに大切なこと、注目してほしいことを言う前には間をあけます。沈黙に気づいた聞き手が「?」と思いかけたところでキーフレーズをぶつけるのです。

●言葉を立てる 重要なキーワードを強調せずに話してしまうと流れのなかに埋もれてしまいます。少しだけトーンを高めるなどして伝えると、印象に残りやすくなります。

●1音を落とさない 「1音を落とす」の説明を文章で書くのはむずかしいのですが、例えば「……となったのですけれど」を「……となったーすけど」のように音が抜ける話し方です。

劇団四季には「1音を落とす者は去れ」という貼り紙があるとか。

日本語には音便という現象がありますが(例;取り替える → 取っ替える、神主〈かみぬし → かんぬし〉)、外国語に比べると日本語は音を落とさずに話される言語です。

英語、フランス語などで、音が連結して発音されない現象をリエゾンといい、学習者を悩ませています(例;Take it〈テイク・イット→テイキッ〉)。

1音を大切に話すとより伝わりやすくなり、聞き手に信頼を持ってもらえます。

聞きやすい話し方をしているかどうか、テレビのアナウンサーと、政治家や街角インタビューに答える通りすがりの人とを比べてみてください。

お手本にしたい人がいれば真似しましょう。反面教師となるような人がいたら、他山の石としましょう。

アイデア体質になる! 課題が解決する! キャリアが広がる! メモ・ノートの極意
弓削徹(ゆげ・とおる)
製造業のマーケティングコンサルタント/日本工業大学大学院教授/コピーライター/(株)エスト・コミュニケーションズ代表取締役。東京・浅草生まれ。クリエイターとしてSONY、サントリー、パナソニックなどの商品開発、広告キャンペーンを成功させ、「製造業なら弓削」との評価を得る。「ノートパソコン」の命名者。現在は、日本の土台である中小製造業をその下から支える活動のほか、大学でマーケティング論の講義、全国の商工会議所でセミナー講師を務める。公共支援として復興庁有識者会議委員、中小機構中小企業アドバイザーなどを拝命。著書に『キャッチコピーの極意』『ネーミングの極意』(いずれも明日香出版社)、『即買いされる技術』(秀和システム)、『顧客は展示会で見つけなさい』(日刊工業新聞社)など。弓削徹サイト https://www.yugetoru.com

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