吉田 謙太郎
吉田 謙太郎
宅建士・不動産投資家・ライター|筑波大学卒業後、大手不動産会社にて投資用不動産の売買および賃貸営業・投資家へのコンサルティング・自社メディアでの記事執筆などを行う。自身でも社会人1年目(22歳)から不動産投資をしており、横浜市・大阪市・神戸市に区分マンションを4戸運用中。保有資格は宅地建物取引士、マンション管理士、管理業務主任者、3級ファイナンシャル・プランニング技能士。

投資家(お客様)が不動産会社の良し悪しを見極めているのと同様に、不動産会社も投資家を見極めて営業をしています。物件の売買をメインビジネスにしている不動産会社にとって、物件を「買えるお客様か否か」を見極めることは、自社の売上を大きく左右し得る非常に重要な仕事の一つです。本記事では、お客様を見極める際の具体的なチェックポイントを5つ紹介します。

目次

  1. 「買えるお客様」に物件を積極的に紹介したい
    1. 「買えるお客様」とは?
    2. 積極的に物件を紹介したい3つの理由
  2. 「買えるお客様か否か」を見極める5つのポイント
    1. 不動産投資に関する知識や情報を事前にインプットしているか
    2. 最新の経済情勢をチェックしているか
    3. 「投資にリスクはつきもの」と理解しているか
    4. レスポンスが迅速か
    5. 不動産会社に任せきりにしていないか
  3. 良い物件の情報はまず「買えるお客様」に提案されやすい

「買えるお客様」に物件を積極的に紹介したい

不動産会社は何を見ている?「買えるお客様か否か」の見極めポイント5つ
(画像=ArLawKa/stock.adobe.com)

物件の売買を行っている不動産会社は、以下いずれかの方法で売上を立てているため、その物件を「買えるお客様」であるかの見極めを非常に重要視しています。

  • 自社で保有している物件を直接販売する
  • 売主と買主の仲介をする

そのため、物件を買える顧客とのコンタクト機会をいかにして増やすかが大切です。

「買えるお客様」とは?

「買えるお客様」とは、「スムーズに物件の購入に至る確度が高い顧客」のことです。具体的には、直近で物件購入をしたいという意思があり、かつ収入や金融資産が一定程度以上ある顧客をいいます。つまり購買意欲と購買力がともにある方が「買えるお客様」といえるでしょう。

積極的に物件を紹介したい3つの理由

不動産会社が積極的に物件を紹介したい理由は、以下の3つです。

  • 確実に売上を立てたい
  • スムーズに取引をしたい
  • 長期的な付き合いができる顧客を獲得したい

「自社保有の物件を販売」「顧客間の仲介をする」といったどちらの場合も、売買が成立してはじめて売上が立ちます。そのため確実かつ迅速に売買が成立しそうな顧客に対して積極的に物件の紹介をしたいのです。物件の売買を行う不動産会社にとっての「長期的な付き合い」とは、その顧客が物件を売却したり買い増ししたりする際に再び依頼をしてもらうことをいいます。

なぜなら、購買意欲と購買力がともにある顧客と一度取引ができれば、自社のリピーターになってもらえる可能性が見込めるからです。そのため不動産会社は「買えるお客様」との長期的な付き合いを望む傾向があります。新たに集客してゼロから信頼関係を構築するよりも、すでに取引実績がある顧客のほうが、より確実かつ迅速に次の取引を行うことができる可能性が高いのです。

「買えるお客様か否か」を見極める5つのポイント

実際に不動産会社が「買えるお客様か否か」を見極める際にチェックしている主なポイントは、以下の5つです。

  • 不動産投資に関する知識や情報を事前にインプットしているか
  • 最新の経済情勢をチェックしているか
  • 「投資にリスクはつきもの」と理解しているか
  • レスポンスが迅速か
  • 不動産会社に任せきりにしていないか

不動産投資に関する知識や情報を事前にインプットしているか

「買えるお客様」は、不動産会社とコンタクトする前の段階で、不動産投資に関する知識や情報について本を読んだりセミナーに参加したりして自分でインプットしている傾向があります。つまり、不動産投資を始めるモチベーションや購入意欲が高く「どのようにすればパフォーマンスの高い投資ができるか?」という視点を持っているため、自分で能動的に情報収集を行っています。

営業パーソンと話をする際、不動産投資における基本的なスキームや専門用語を理解しているため、話を参考にはするものの鵜呑みにはしません。営業パーソンと対等にディスカッションができるレベルの情報を習得している顧客は、不動産会社から成約度が高いと見込まれ「買えるお客様」と認識されやすくなるでしょう。

逆にいえば情報収集が不十分で営業パーソンの話を受動的に鵜呑みにしている顧客は、「不動産投資への温度感が低い」と認識される可能性が高くなります。

最新の経済情勢をチェックしているか

「買えるお客様」は、不動産投資において重要な経済情勢をオンタイムでチェックしている傾向があります。不動産投資において重要な経済情勢とは、具体的に以下のようなものです。

  • 人口動態
  • 賃貸需要のトレンド
  • 再開発計画
  • 金融機関の融資情勢
  • 不動産価格の推移

上記のようなマーケット環境に関する情勢は、日々変動していくものです。そのため「どのエリアにどのような物件を購入するのが合理的か?」「今が買い時か?」「現時点で最も融資に積極的な金融機関はどこか?」といったことを考えるのは重要な判断材料になるのです。「買えるお客様」は、最新の経済情勢をリサーチし自分が投資をするにあたって最も合理的な選択肢を考えています。

「投資にリスクはつきもの」と理解しているか

不動産投資も他の投資(株式投資や投資信託等)と同様にリスクがつきものです。数ある投資の中でも、不動産投資は金融機関からの融資を受けて始められるため、大きなレバレッジが効かせられる点で他の投資よりもリスクが高い一面があります。初心者の中には、以下のような理由から不動産投資を始められない人もいます。

  • 数千万円以上の借金をして投資をするのは怖い
  • 不動産投資に興味はあるが、リスクが気になる

一方で「買えるお客様」は、リスクを正しく理解し万全なシミュレーションと対策を講じることで適切な方法・範囲でリスクを受け入れます。リスクをとらないか、リスクを受け入れるかが判断基準の一つといえるでしょう。

レスポンスが迅速か

購入意欲が高い顧客は、メールや電話へのレスポンスが早い傾向にあります。不動産は、1点もののため「不動産投資は情報戦」という一面があります。そのため、いかに早く良い物件の情報をキャッチして購入希望の意思表示を売主に伝えることができるかが非常に重要です。

物件探しから購入までには、売主や金融機関、工事業者(リフォームをする場合)などの関係者とコミュニケーションをとる必要性があります。そのためレスポンスの迅速さが良い物件を購入できるか否かを分けるといっても過言ではありません。

不動産会社に任せきりにしていないか

購入意欲が高い顧客は、物件探しや売主および金融機関への交渉といった物件購入までの各プロセスを不動産会社に任せきりにせず、自ら能動的に行う傾向があります。定期的に「直近で良い物件の情報はないか?」といった確認連絡をしたり自ら投資用不動産専門のポータルサイトを見て物件探しをしたりするなど、行動力が顕著な点が「買えるお客様」の特徴の一つです。

受動的に物件提案を待っているだけだと、数多くいる顧客の中に埋もれかねません。良い物件の情報が出てきても他の人に先に回ってしまうこともあるため、自ら能動的に動いて不動産会社との関係性を深めておくことが重要です。

良い物件の情報はまず「買えるお客様」に提案されやすい

不動産会社は、確実かつ迅速に売買が成立しそうな顧客に対して積極的に物件を紹介する傾向があります。なぜなら、購買意欲と購買力が高い顧客は、成果につながりやすいからです。「買えるお客様」と認識されるには、自ら積極的に情報収集を行い迅速に行動する姿勢を行動で示すことが求められます。

良い物件は、まず「買える顧客に提案されやすい」という実情を把握したうえで、不動産会社との関係構築をしていくことも投資家としての大きな仕事の一つといえるでしょう。

(提供:YANUSY

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