富裕層が今こぞって投資する「CoCo債」の魅力
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2022年に入ってから、富裕層がこぞって投資している金融商品がある。債券の一種である「CoCo債」(Contingent Convertible Bonds)だ。CoCo債はどのような金融商品なのか。なぜ今、富裕層がこぞって投資しているのか。富裕層向けに資産運用コンサルティングを行なっている株式会社ウェルス・パートナー代表の世古口氏にその理由を解説してもらう。

世古口俊介
世古口 俊介(せこぐち しゅんすけ)
2005年4月に日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)に新卒で入社し、プライベート・バンキング本部にて富裕層向けの証券営業に従事。その後、三菱UFJメリルリンチPB証券(現・三菱UFJモルガンスタンレーPB証券)を経て2009年8月、クレディ・スイス銀行(クレディ・スイス証券)のプライベートバンキング本部の立ち上げに参画し、同社の成長に貢献。同社同部門のプライベートバンカーとして、最年少でヴァイス・プレジデントに昇格、2016年5月に退職。2016年10月に株式会社ウェルス・パートナーを設立し、代表に就任。2017年8月に内藤忍氏と共同で資産デザインソリューションズを設立し、代表に就任。

CoCo債の特徴

CoCo債は主にヨーロッパ系の大手金融機関が発行する社債で、ハイブリッド証券(株式と債券の中間にあたる資産)の一種だ。ハイブリッド証券にはCoCo債の他に劣後債、永久劣後債などがある。債券の種類ごとのリターン(利回り)とリスクは、

CoCo債>永久劣後債>劣後債>社債>国債

というイメージだ。つまりCoCo債は、債券というカテゴリーの中ではハイリスク・ハイリターンな資産に分類されている。米ドル建て債券の種類ごとのリスク・リターンをイラストにすると以下のようになる。

富裕層が今こぞって投資する「CoCo債」の魅力
米ドル建て債券の種類別リスク・リターン(出典:株式会社ウェルス・パートナー)

国債から右側にいくごとにリスクが増して、リターン(利回り)が上乗せされていくイメージだ。一番左の国債は、アメリカ国債と捉えればよいだろう。社債は、アメリカ国債に企業の信用リスクと利回りが上乗せされる。

劣後債にはさらに、会社が倒産した時に残った資産が返ってくる順番が普通の社債よりも遅くなるリスクが乗る。そして永久劣後債は満期がないので、投資した資金が償還されないリスクが上乗せされ、その分利回りが高くなる。

CoCo債は永久劣後債までのリスクをすべて含んでおり、加えて特有のリスクもあるので、さらに利回りが高くなる。CoCo債にしかないリスクの「CET1トリガー」は後ほど詳しく説明する。