
2022年に入ってから、富裕層がこぞって投資している金融商品がある。債券の一種である「CoCo債」(Contingent Convertible Bonds)だ。CoCo債はどのような金融商品なのか。なぜ今、富裕層がこぞって投資しているのか。富裕層向けに資産運用コンサルティングを行なっている株式会社ウェルス・パートナー代表の世古口氏にその理由を解説してもらう。

CoCo債の特徴
CoCo債は主にヨーロッパ系の大手金融機関が発行する社債で、ハイブリッド証券(株式と債券の中間にあたる資産)の一種だ。ハイブリッド証券にはCoCo債の他に劣後債、永久劣後債などがある。債券の種類ごとのリターン(利回り)とリスクは、
CoCo債>永久劣後債>劣後債>社債>国債
というイメージだ。つまりCoCo債は、債券というカテゴリーの中ではハイリスク・ハイリターンな資産に分類されている。米ドル建て債券の種類ごとのリスク・リターンをイラストにすると以下のようになる。

国債から右側にいくごとにリスクが増して、リターン(利回り)が上乗せされていくイメージだ。一番左の国債は、アメリカ国債と捉えればよいだろう。社債は、アメリカ国債に企業の信用リスクと利回りが上乗せされる。
劣後債にはさらに、会社が倒産した時に残った資産が返ってくる順番が普通の社債よりも遅くなるリスクが乗る。そして永久劣後債は満期がないので、投資した資金が償還されないリスクが上乗せされ、その分利回りが高くなる。
CoCo債は永久劣後債までのリスクをすべて含んでおり、加えて特有のリスクもあるので、さらに利回りが高くなる。CoCo債にしかないリスクの「CET1トリガー」は後ほど詳しく説明する。