この記事は2022年9月14日に「月刊暗号資産」で公開された「市場予測上回る米CPIの結果を受けビットコインなど暗号資産価格急落」を一部編集し、転載したものです。


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(画像=tendo23/stock.adobe.com)

世界中から注目を集めていた8月の米CPI(米消費者物価指数)は、前年比同月比8.3%の上昇と発表され、市場予測の8.1%を上回った。また、変動が大きいエネルギーおよび食品を除くコア指数も市場予測を上回り前年同月比6.3%の上昇を記録するなど、インフレ抑制には程遠い結果であったと言える。

この結果を受け、FRB(米連邦準備制度理事会)が利上げを加速させる見込みが一層強まった格好だ。

これまでにFRBは6、7月に0.75%の大幅利上げを連続して実施してきた。パウエルFRB議長は利上げについて、一貫して「データ次第」との姿勢を崩してこなかったことから、今回の米CPIの結果は大幅利上げを後押しするものとなり得る。

インフレがピークアウトしたとの見方から、市場では楽観論も見られていた。そのため、今月20、21日に行われるFOMC(米連邦公開市場委員会)では0.5%の利上げにとどまるとの見方が出ていたものの、今回の結果を受け0.75%の利上げ予想が優勢となっている。

パウエルFRB議長はインフレ抑制に向け、金融引き締めを「痛みを伴っても遂行する」と強く打ち出していることから、状況に大きな変化がなければ年内にも1%の利上げが視野に入ってくる。

さらなる利上げと、それに伴う景気後退への懸念から、米株式市場では大幅な下落が見られた。NYダウ平均は一時1,300ドルを超える下落を見せ、終値は前日比1,276.37ドル(3.94%)安の31,104.97ドルとなった。また、ナスダックは前日比632.84ポイント(5.16%)安の11,633.57ポイント、S&P500は前日比177.72ポイント(4.32%)安の3,932.69ポイントで終えるなど、いずれもリスク回避の動きが強まった。

これを受け、日経平均も一時800円を超える下落を見せ、前日比796円01銭(2.78%)安の2万7,818円62銭で取引を終えている。

米CPIによる影響は暗号資産(仮想通貨)市場にも見られた。

日本時間13日21時30分に米CPIの結果が明らかになると、ビットコイン(BTC)をはじめとした多くの暗号資産価格が急落。14日のアジア時間になっても軟調な状況は変わらず、記事執筆時点でビットコインは前日比9%超のマイナスとなる2万200ドル(約288万円)を推移している。

また、大型アップデートを控えているイーサリアム(ETH)も大きく価格を落としており、記事執筆時点では前日比約7%のマイナスとなる1,600ドル(約22万8,500円)近辺で取引が行われている。ビットコインおよびイーサリアムはどちらも節目となる価格帯を堅持することができるか注目される。

なお、イーサリアムの大型アップデート「マージ(The Merge)」は、現時点で日本時間15日12時30分頃〜15時にかけて実行されるものと想定されている。アップデートの実施時刻は前後するため、注意が必要だ。

アップデート後には価格が乱高下する可能性もあるため、価格動向についても注視する必要がある。(提供:月刊暗号資産