投資家の間でグリーンボンドが人気を集めている。背景にあるのはSDGsに対する注目度の高まりだ。グリーンボンドとはどのような金融商品なのだろうか。また、グリーンボンド以外のSDGsに関する金融商品にはどのようなものがあるのだろうか。実際の発行事例を紹介しながら解説していく。
グリーンボンドの発行事例
グリーンボンドは資金調達の手段として活用が拡大しており、国や企業、国際機関からの発行が相次いでいる。
例えばNTTは2021年10月、金融子会社のNTTファイナンスを通じ、3年・5年・10年債の3本建てでグリーンボンドを計3,000億円分発行した。これまでの国内ESG (環境、社会、企業統治) 債の起債額を大幅に更新し、事業会社が一度に発行するグリーンボンドとしては世界でも最大級だ。
EUも同月、使途を環境問題対策に限定した15年物のグリーンボンドを初めて発行し、120億ユーロ (約1兆5,700億円) を調達した。9月に英国が発行したグリーンボンドの記録を上回り、過去最大級の調達となった。
投資家による需要も旺盛だ。NTTのグリーンボンドは海外投資家を含む235社 (うち表明投資家163社) の投資家が購入。EUのグリーンボンドに至っては発行額の11倍以上となる1,350億ユーロの応札があったほどだ。
グリーンボンドに投資するメリットは ?
そもそもグリーンボンドとは、企業や国際機関などが環境問題の解決に資する事業 (グリーンプロジェクト) に必要な資金を調達するために発行する債券のことだ。
前述のNTTの場合は、5G関連投資、FTTH関連投資、IOWN構想 (高速大容量通信・低消費電力・低遅延の情報処理基盤) の実現に向けた研究開発や、再生可能エネルギープロジェクト (風力・太陽光) といったグリーンプロジェクトに資金が使われることになっている。
環境問題の解決を直接的に支援できることが特徴のグリーンボンド。では投資家が投資するメリットは果たしてあるのだろうか。
大きなメリットに、ESG投資ができることが挙げられる。グリーンボンドはESG投資のひとつであり、ESG投資を行いたい (もしくは行わなければならない) 投資家にとって、その需要を満たす金融商品ということになる。
また、グリーンボンドは株式や債券といった伝統的資産との価格連動性 (相関性) が低いといわれている。そのため、グリーンボンドへの投資はオルタナティブ投資 (伝統的資産以外の投資対象や投資手法) の特徴を持ち、リスク低減を目的とした分散投資における投資先候補になることもメリットといえるだろう。
SDGsが大きな投資テーマになっている
SDGsが時代のメガトレンドになっていることは言うまでもないだろう。SDGsは持続可能な開発目標 (SDGs:Sustainable Development Goals) の略で、2030年を達成期限として「持続可能でより良い世界」を目指すための国際目標だ。
こうした背景があるため、SDGsに関する金融商品 (ESG投資) への注目が高まっている。グリーンボンドに対する需要はその典型例とも言える。
SDGsに関する金融商品はグリーンボンドだけではない。通常の個人投資家がアクセスしやすい「SDGsに関する金融商品」には、「応援定期預金」や「SDGs関連ファンド (投資信託) 」などもある。
前者は、対象の定期預金への預入残高に一定割合を乗じた金額を、取り扱っている銀行が応援団体に寄附するものだ。定期預金をすることによって、こどもの自立支援や医療支援、障がい者スポーツ支援など、さまざまな活動を応援することができる。
後者は、脱炭素や社会課題の解決を目指す企業に投資する投資信託だ。自分でそういった企業を選んで個別銘柄を購入することもできるが、ある程度の知識と経験が求められる。投資信託であればプロに運用を任せられ、少額でも分散効果を得ることができる。
投資家にとって資産運用の選択肢のひとつに
ここまで、グリーンボンドとはどのような金融商品なのか、どのようなメリットがあるのか、グリーンボンド以外のSDGsに関する金融商品にはどのようなものがあるのかについて解説してきた。
前述したようにSDGsが時代のメガトレンドであり、グリーンボンドは2023年に1兆円規模になると見込まれている。長期的に更なる加速が予想される要注目の市場だ。
(提供:大和ネクスト銀行)
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