カーボンニュートラルの始め方や相談先

カーボンニュートラルにはさまざまな方向性があるため、具体的な施策をなかなか打ち出せない企業も多いだろう。ここからはカーボンニュートラルの始め方として、企業が押さえておきたい5つのポイントを紹介する。

まずは温室効果ガスの排出量を把握する

カーボンニュートラルのプラン策定では、まず自社の排出量を把握しなければならない。温室効果ガスが排出されるタイミングについては、国際基準である「GHGプロトコル」を用いると分かりやすいだろう。

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企業の経済活動は、「Scope3→Scope1→Scope2→Scope3」の流れで行われる。商品・サービスの製造過程はもちろん、サプライチェーンも温室効果ガスの排出源となる点に注意しておきたい。

サプライチェーンの排出量測定については、環境省の公式サイトで手順がまとめられている。

リスクを徹底的に洗い出し、明確な目標を設定する

温室効果ガスの排出量や排出機会を特定したら、次は将来的に直面するリスクを洗い出し、明確な目標を設定しよう。目標については自社が取り組むべき分野を絞り、Scope1~Scope3に分けて削減目標値を設定する方法が分かりやすい。

このときに立てた目標は、具体的な施策を考える際のベースとなる。地域や社会への貢献はもちろん、企業努力によって現実的に達成できる目標であることが重要だ。

関連する政策やプロジェクトを調べておく

実際のプラン策定にあたっては、政府による支援策やプロジェクトもチェックしておきたい。前述のグリーン成長戦略のように、投資面や税制面などでメリットを受けられる政策も存在するためだ。

現時点で利用できるものがなくても、今後新たな支援策が誕生する可能性は十分に考えられる。環境省や経済産業省、自治体などの公式サイトをこまめに確認し、利用できる支援策を見つけたら積極的に申請しておこう。

情報開示を前提に計画する

カーボンニュートラルに関する取り組みは、情報開示をしないと外部から評価されない。本来の目的は地球環境の改善だが、企業経営の中で取り組むにはメリット(利益)が必要になるため、情報開示を前提としたプランを策定しよう。

例えば、東芝グループは定期的にレポートを公開しており、Scope1~3における目標値や結果、対象範囲などがまとめられている。ESG投資の面でも大きな意味合いをもつため、「どこで公表するか?」や「どのような情報を公開するか?」は慎重に検討しておきたい。

専門家への相談も検討する

カーボンニュートラルのプラン策定時には、温室効果ガスに関する高度な専門知識が求められる。また、中小企業でできることには限りがあるため、ケースによってはサプライチェーンに関わる企業と協力する必要も出てくるだろう。

そこで検討したい方法が、政府や自治体、専門家などへの相談だ。実際にどのような相談先があるのか、以下で簡単に紹介しておこう。

○カーボンニュートラルの相談先(例)
・中小機構のオンライン相談窓口
・各自治体のカーボンニュートラル相談窓口
・専門のコンサルティング会社

中小機構などの公的な窓口は、無料で対応してもらえることが多い。ただし、基本的には事前予約制となるため、スケジュールに余裕ができたら早めの相談を意識しよう。