2015年にSDGsが採択された影響で、世界では社会持続性への関心が高まっている。そんな中、SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)が注目されていることをご存じだろうか。ここではSXの必要性や課題、DXとの違いについて解説する。

目次

  1. SXとは?
    1. DX(デジタルトランスフォーメーション)との違い
  2. SXが注目される背景
    1. 持続可能性の概念は1980年代に誕生
    2. 日本では経済産業省のレポートをきっかけに注目
  3. SX実現に向けた課題
    1. 投資家との相互理解
    2. 人的または時間的なコスト
  4. SXの事例
    1. 【事例1】環境再生型食料システムの推進/ネスレ日本
    2. 【事例2】社会問題に取り組むためのブランドを新設/富士通
    3. 【事例3】6つのマテリアリティを設定/住友商事
  5. SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)に関する質問集
    1. Q1.トランスフォーメーションとは?
    2. Q2.SXは何をする?
    3. Q3.DXとは?どういう意味?
    4. Q4.サステナビリティ経営はなぜ必要?
    5. Q5.ダイナミック・ケイパビリティとは?
  6. SXは企業が生き残るためのキーワードに
SXとは? DXとの違いや必要性、取り組み課題を事例つきで紹介
(画像=ArTo/stock.adobe.com)

SXとは?

SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)とは、企業が中長期的な価値創造を目指す上で、「稼ぐ力」と「持続可能性」を両立させることである。世界中でSDGs(※)の重要性が叫ばれる中、SXは企業が実現すべき目標・テーマといった意味合いがある。

(※)2015年の国連サミットで採択された、持続可能な開発目標のこと。

持続可能性については、投資家などから注目される「ESG」をイメージすると分かりやすい。世界中でさまざまな環境問題・社会問題が懸念される現代では、企業にも非財務情報にあたる「環境・社会・ガバナンス」の観点が求められつつある。

DX(デジタルトランスフォーメーション)との違い

SXという用語を見たときに、デジタル・トランスフォーメーションを指す「DX」をイメージした人も多いだろう。これはIT技術の進歩や変革を通して、便利に生活できる世界や競争優位性を作り出すことである。

DX(デジタルトランスフォーメーション)との違い

いずれも現代企業にとっては重要な用語であり、経済産業省もSXとDXの両方を推進している。将来的には両立が求められる可能性もあるため、これを機にDXについても情報収集を進めたい。

SXが注目される背景

そもそも、現代の企業にとってSXはなぜ必要なのだろうか。ここからは国内と海外に分けて、注目される背景や現状を紹介する。

持続可能性の概念は1980年代に誕生

世界でSXが注目され始めたきっかけは、1980年代の「世界自然資源保全戦略」と言われている。国際的な3機関(WWF・IUCN・UNEP)が策定したこのレポートの中で、SDGsのルーツとなる「持続可能な開発」の考え方が初めて登場した。

その後、1997年の京都議定書や2000年のMDGs、そして2015年に採択されたSDGsを経て、持続可能性の概念が世界中に浸透していく。すでに海外にはSXの事例が多く存在しており、最新テクノロジーやイノベーションを活用しながら環境負荷を抑える動きが顕著になっていった。

日本では経済産業省のレポートをきっかけに注目

日本では2019年11月から、経済産業省による「サステナブルな企業価値創造に向けた対話の実質化検討会」が実施された。同検討会はこれまでに8回開催されており(※2022年9月現在)、国内企業の抱える課題や目指すべき姿などがレポートとしてまとめられている。

また、国内でSXが注目された要因としては、社会情勢の急激な変化も大きいとされている。例えば、2019年からは新型コロナウイルスの影響で、多くの企業や店舗が苦境に立たされた。

現代は消費者ニーズの変化も早いため、企業が生き残る上でSXは重要なキーワードになりつつある。

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