デリバティブとは
デリバティブ(derivative)は、英語のderive(派生する)の名詞形です。デリバティブはある原資産があって、そこから派生した商品の総称です。
デリバティブの原資産には伝統的な株式や債券、通貨、コモディティ(商品)などのほか、天候やクレジットリスク、デリバティブそのものも含まれます。
デリバティブは原資産価格が変動すると、その影響を受けて価格が変動します。ただ、原資産の価格変動の影響を受けて価格が変動するといっても、必ずしも同じ方向に同じ率だけ変動するのではなく、逆の方向に変動したり、原資産の価格変動がある水準に達した時だけ変動したりするなど、さまざまなパターンがあります。ですから、取引を行うユーザーのさまざまなニーズを汲み取った商品設計ができます。それがデリバティブの大きな魅力です。
デリバティブの利用方法
デリバティブの主な取引について解説します。
ヘッジング(ヘッジ取引)
デリバティブ取引の主な目的はヘッジ効果、すなわち「リスク回避」です。株価や為替、金利などが将来どのように変動するかを事前に予測することは非常に困難です。しかし、デリバティブ取引を上手に利用すれば、相場が予想以上に変動しても、ある程度損失を抑えることが可能です。
とくに近年は、各国の投資家や企業が国境を越えて様々な投資活動を行っており、巨大な投資資金が世界中を飛び回っています。その国の経済や社会、政治情勢の変化は、その資金の流れに影響を与え、株価や為替レートに予想外の変動をもたらすことがあります。そのため、投資家がデリバティブを利用してリスクに対処することの重要性はますます高まっているのです。
主なマーケットのリスク(市場リスク)は、以下の4つです。
価格変動リスク
価格変動リスクとは、株式や債券の価格が変動する可能性のあることを指します。株価は、最終的には市場の需給関係によって決定されますが、一般的には国内外の政治・経済情勢や企業業績などの影響を受けて変動します。
デフォルトリスク
債券などを発行している国や企業が、財政難や経営不振などの理由により、あらかじめ決められた条件下で利払いや償還ができなくなる可能性のことです。
金利変動リスク
金利が変動する可能性です。一般的に、金利が上昇すると債券価格は下落し、金利が下落すると債券価格は上昇します。また、債券の満期までの期間が長いほど、金利変動の影響は大きくなります。
為替変動リスク
為替レートが変動する可能性です。外貨建ての資産に投資する場合、一般的に円高になると価格にマイナスの影響を与え、円安になるとプラスの影響を与えます。
海外の株式や債券に投資する場合は、基本的に為替変動のリスクにさらされるので注意が必要です。
デリバティブは、現在および将来の金利や原資産である金融商品の価格と強い相関関係があります。資産運用とデリバティブを合わせて利用することで、市場リスクを一定水準に抑え、リスクをヘッジできるのです。
たとえば、ある企業の株式を保有しているとします。その株式を保有していると、株価が下落し、価値が下がるリスクが伴います。早めに売却することでそのような損失を防ぐことができるかもしれませんが、なんらかの理由で株式を手放したくないというケースもあるかもしれません。
しかし、株式で運用を行っている時に株式市場全体が下落しそうだという見通しが強くなった場合には、それに対する防衛手段を講じる必要があります。保有している現物株を売却するという方法もありますが、ヘッジを効率的に行うために株価指数先物を売り建てる方法もあります。
先物を利用する理由としては、流動性とコストの安さが挙げられます。株価指数先物をヘッジとして利用すれば、現物株の売買に伴う取引手数料やマーケットインパクトを軽減できるのです。
スペキュレーション
スペキュレーションはレバレッジを利用し、少額の資金で大きな売買を行い、高いリターンを狙う投機的取引です。
レバレッジとは「てこ」のことで、レバレッジ効果とは「てこ」の原理により、少ない自己資金で大きな取引を行うことです。
裁定取引(アービトラージ)
裁定取引はマーケットで取引されている商品の価格の間に歪みがある場合、安い方を買って高い方を売り、価格の歪みが是正されたところで反対売買を行い、利益を収める投資手法です。先物を利用した裁定取引には、現物と先物との間の裁定取引である「ベーシス取引」と、先物と先物の間の裁定取引である「スプレッド取引」があります。
デリバティブのメリット
デリバティブのメリットについて解説します。
レバレッジ効果
デリバティブ取引に必要な資金は、比較的少額です。これは、取引時に必要な資金が取引開始時に必要な証拠金のみであるなど、一般的に原資産と比較して少額であるためです。
通常、株式や債券を売買するためには、数百万~数千万といったまとまった資金を用意しなければいけませんが、デリバティブ取引では多額の資金は必要ありません。そして、実際に株や債券などの本物の金融商品を売買したのと同じ効果が得られるのです。
流動性の向上
現物取引にデリバティブ取引を加えることで、市場間で裁定取引を行うことができます。裁定取引とは、異なる市場が互いに影響し合うことで、相場や価格がほぼ同じ水準で均衡することを意味します。
したがって、現物市場が流動性不足などの問題を抱えた場合、デリバティブ市場が現物市場の代替となり、両市場間で補完的な効果が生まれることになるのです。このように、デリバティブ取引の発展は、現物市場を含む金融市場全体の規模や流動性の拡大に寄与しています。
デリバティブの種類
デリバティブ取引は、主に「先物取引」「オプション取引」「スワップ取引」の3つに分類できます。
取引名 | 種類 |
---|---|
先物取引 | 株価指数先物、商品先物など |
オプション取引 | 株価オプション、通貨オプション、金利オプション |
スワップ取引 | 通貨スワップ、金利スワップ |
先物取引
先物取引は、現時点で将来の売買を約束する取引です。現時点では、取引の価格と数量のみを約束し、将来約束した日が来たら取引を実行します。
取引価格をあらかじめ決めることができるので、価格変動する商品の売買にありがちな価格変動リスクを回避できるというメリットがりす。
オプション取引
オプション取引とは、ある金融商品をあらかじめ決められた日にあらかじめ決められた価格で売買できる権利のことです。オプション取引では、プレミアムを支払ってその権利を購入できます。商品を買う権利を「コール・オプション」、商品を売る権利を「プット・オプション」といいます。
スワップ取引
スワップとは本来、等価な価値の「交換」を意味します。そして、デリバティブのスワップ取引では、交換されるのは将来発生する利息です。スワップには大きく分けて2つの種類があります。異なる種類の利息を同じ通貨で交換する「金利スワップ」と、異なる通貨の利息などを交換する「通貨スワップ」「クーポンスワップ」です。
デリバティブを駆使する「ヘッジファンド」
……以上のようなデリバティブを積極的に活用している金融商品が「ヘッジファンド」と呼ばれるものです。一般的な投資信託(ファンド)とは異なり、ヘッジファンドは私募で機関投資家や個人の富裕層から資金を集めます。
金融派生商品(デリバティブ)を活用して高いリターンを狙うファンドや、ロング・ショート投資のように売りと買いの両建てで「絶対収益」を狙うファンドなど、様々な投資手法を持つヘッジファンドがあります。
ヘッジファンドは、先物取引やオプション取引などのデリバティブを積極的に活用することで、比較的自由に運用でき、市場の上下動に関係なく利益を得ることができます。そして、リスクヘッジを行いながら積極的に運用することを基本としているのです。
2022年は株式市場などのマーケットの不安心理が高まっているので、今後、デリバティブを駆使するヘッジファンドの存在感はさらに高まるでしょう。
融資型クラウドファンディング「COOL」を活用すれば、最低1万円から円建てで値動きのない 手堅い利回り投資をすることができます。
・平均利回りは4.5%(税引前)*23年10月時点
・3ヶ月〜12ヶ月程度の短期運用ができるファンドが多数
・円建てで株のような値動きなし
・最低1万円から投資が可能
過去には、高級焼肉店やすっぽん・フカヒレ店の優待券がもらえる特典付きファンドや、 より安心感のある保証付きのファンド等、申し込みが多く募集開始直後に満額となったファンドもございます。
気になるファンドの投資機会を見逃さないためにも、まずは口座開設をしておきましょう。
詳細&無料口座開設はこちらから!