世界的にインフレが進行し、世界各国の金融当局はインフレを抑制するために相次いで利上げをしています。日本でもじわじわとインフレの足音が聞こえるようになり、物価が上昇しているニュースを連日のように目にします。
インフレになると貨幣の価値が相対的に低くなるため、逆に現物資産は有利になります。そこで現物資産の代表格である金(ゴールド)や不動産などが注目を集めているわけですが、そんな現物資産投資のひとつとしてウイスキー投資も注目を集めていることをご存じでしょうか。
ウイスキーは長い時間をかけて熟成されるため、需要が拡大したからといってすぐに供給できるものではなく、この希少性がウイスキー投資熱を加速させています。
ウイスキー通の間では日本産ウイスキーの評価がとても高く、ウイスキー投資の世界でも日本のウイスキーには熱い視線が注がれています。1本が驚くような価格で取引されている銘柄もあるので、ウイスキーが好きな人だけでなく、そうでない人にも向けてウイスキー投資の世界をご案内しましょう。
ウイスキー投資とは?
ウイスキー投資とは、お酒のウイスキーを所有して値上がりに期待する投資のことです。ウイスキー愛好家が世界の希少なウイスキーを自分が飲むために求めたり収集したりしていることもありますが、現在「ウイスキー投資」と呼ばれているのは、投資家などが値上がりに期待してウイスキーを所有することを指しています。
2018年1月に香港で開催されたサザビーズオークションでは、日本産ウイスキーの「山崎50年」が、何と29万8,879ドルで落札されました。当時のレートでも約3,270万円ですが、2022年は円安なので1ドルが145円として換算すると約4,333万円です。
「山崎50年」は、もとからプレミアムウイスキーでした。販売価格が105万円だったため定価であってもなかなか手が出ない価格ではありますが、それがオークションで40倍以上の価格になったのですから、ウイスキー投資熱を象徴する出来事といえるでしょう。
この「山崎50年」を売却した人は、7年間このウイスキーを所有して売りに出しただけで数千万円の利益を手にしています。
ウイスキーの価格が高騰している3つの理由
なぜここまでウイスキーの価格が高騰しているのでしょうか。その背景にある3つの理由について解説します。
原酒不足
原酒を混ぜ合わせたものがウイスキーの製品になりますが、海外勢による需要も相まって日本ではウイスキーの原酒不足が続いています。熟成に少なくとも10年以上を要するため、需要の急増に供給が追い付いていない状況です。
原酒不足を理由に販売休止になった銘柄もあるため、こうした供給不足が希少性につながり、投資家の購買意欲を高めています。
インフレ進行による現物資産への資金シフト
冒頭で述べたように、インフレが進行すると現物資産への関心が高まります。ウイスキーも現物資産の一種と見なす投資家が増えたことにより、ウイスキーの価格が高騰しました。同じ理由で他の現物資産にも資金シフトが起きており、代表的なものにアンティークコインなどがあります。
今後さらにインフレが進行すれば現物資産への資金流入が続き、投資対象となり得るウイスキーの価格に上昇圧力がかかるでしょう。
日本産ウイスキーの評価が高まっている
ウイスキーといえばスコッチウイスキーが有名なので、その故郷であるイギリスをはじめ、アメリカやカナダなど欧米諸国の文化とされてきました。しかし、日本にも古くからのウイスキー文化が根づいており、良質な水資源や技術向上などによって評価が高まり、今や原酒不足に追い込まれるほどの人気を博すようになりました。
私たち日本人だけでなく海外からの購買意欲がとても強く、日本産ウイスキーもウイスキー投資の重要な銘柄に含まれています。先ほど紹介した「山崎50年」以外にも投資価値の高い銘柄は多数あるので、それらについては次項で紹介します。
どんなウイスキーが高値取引されているのか
実際に、どんなウイスキーが高値取引されているのでしょうか。ウイスキー投資を検討するにあたって、人気銘柄を押さえておきましょう。
世界的に人気が高い3つのブランドとしては、「マッカラン」「ハイランドパーク」「ボウモア」があります。いずれもウイスキー通にとってはおなじみの世界的な高級ウイスキーブランドです。
このうち「マッカラン」については、イギリスのクリスティーズオークションで「マッカラン60年」が世界最高額となる120万ポンドで落札されたことが大きな話題になりました。1ポンドが160円とすると、2億円に迫る金額です。この「マッカラン60年」についても先ほどの「山崎50年」と同様に、熟成期間の長さが高額落札のポイントです。
日本産ウイスキーとしては、以下の銘柄が高額取引されています。
・山崎
・響
・余市
・竹鶴
・白州
・知多
ウイスキー通でなくても、聞いたことがある銘柄があるのではないでしょうか。これらの銘柄で熟成期間が長いものは特に高値で取引されています。
ウイスキー投資を始める方法
ウイスキー投資を始める方法は、主に2つあります。1つめについては誰もが容易にイメージできると思いますが、2つめのカスク投資はより本格的な投資になるので、ウイスキー投資を検討している人はぜひ押さえておきましょう。
ボトルの個人売買
最も手軽な方法が、ウイスキーのボトルを個人売買する方法です。原酒不足になる以前に酒屋さんで購入した山崎や白州といったウイスキーが思わぬ高額になり、「棚から牡丹餅」のようにお金を手にした人もいます。
すでに投資対象になるようなウイスキーは販売休止のものが多いため、街の酒屋さんで簡単に手に入れるというわけにはいきませんが、専門の販売店や販売サイトなどで購入して所有しておくと、今後の値上がりによって利益を手にすることができるかもしれません。
カスク投資
ウイスキーが熟成されている様子を見たことがある人であれば、横向けに並べられた樽をイメージできると思います。この樽はカスクと呼ばれ、ウイスキーはこのカスクの中で数十年の年月を過ごして熟成されます。
カスク投資は、これから熟成期間に入るウイスキーをカスクごと購入し、将来の値上がりに期待する投資です。カスク投資を取り扱っている株式会社クレア・ライフ・パートナーズは、現在の価格上昇が続くとカスク投資は年利10%を超えるとしており、他の投資商品と比べてみてもこの利回りは魅力的といえます。
ウイスキー投資の注意点
多くの魅力があるウイスキー投資ですが、もちろんリスクや注意点もあります。以下の3点を十分理解した上で投資判断をするようにしましょう。
・海外との取引では為替差損のリスクがある
・酒類なので売買量が多くなると酒類販売免許が必要になる可能性があり、個人売買であっても事業として取り組むと無免許販売に問われる恐れがある
・ウイスキー価格の高騰にはバブル的な側面があるため、高値掴みをしてしまうリスクがある
1つめの為替差損については、2022年の円相場が超円安であるため特に注意が必要です。海外から外貨建てでウイスキーを購入した後で円相場が円高になると、ウイスキーの価格上昇による利益が発生しても売却すると為替差損が発生し、差し引きすると損になってしまう可能性があります。
ウイスキー投資を検討する際は、このようなリスクも考慮した上で戦略を練るようにしましょう。
(提供:Incomepress )
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