この記事は2022年11月15日に「月刊暗号資産」で公開された「鈴木金融相、FTX破綻も「金融市場への影響は限定的」と説明 動向注視する姿勢強調」を一部編集し、転載したものです。


金融庁
(画像=soraneko/stock.adobe.com)

鈴木俊一財務・金融担当相は15日に行われた閣議後の会見で、米連邦破産法11条(Chapter11)の適用を申請した暗号資産(仮想通貨)取引所FTXについて、「暗号資産市場以外の金融市場に与える影響は限定的になっているが、予断を持たず緊張感を持って注視していきたい」と述べた。

さらに、「FTX Japanは資産超過になっており、利用者の財産を同社において管理・保全されていることが公表されている。日本における利用者の保護は十分に図られている」と語った。

関東財務局は10日、出金サービスを停止したFTXの日本法人FTX Japanに対して、業務停止命令や金融商品取引法に基づく資産の国内保有命令などの行政処分を発出した。行政処分の理由として関東財務局は「利用者への理由説明がなかったこと」や、「親会社FTXの方針を理由に再開日程を示していないこと」「暗号資産の入庫や売買等の取引サービスを提供し続けたこと」を挙げていた。

11日の閣議後、鈴木金融相は「資産が国外の関連会社などに流出し、利用者の利益が害される事態が生じないように万全を期す必要がある」と強調し、「利用者に関する措置が適切に講じられるように今後ともしっかりと推移をモニタリングしていく」としていた。

FTX Japanは14日、顧客から預かっている暗号資産については日本の法令に則り、暗号資産はコールドウォレットにおいて、法定通貨は日本の信託口座において分別管理を行っていると発表した。

ビットコイン(BTC)は預かり残高が2,802.6054BTCに対し、コールドウォレット残高が3,194.7553BTCで余剰が392.1499BTCあるなど、暗号資産には余剰があると説明。また、法定通貨についても円とドル合わせて60億4,171万7,025円の預かりに対し、信託残高は63億1,994万8,099円あり、余剰金は2億7,823万1,074円あると公表している。

しかし、現時点でFTX Japanにはアクセスすることができない状況が続いている。FTX Japanは公式Twitterを通じて、不具合が生じWebサイトへアクセスできないと説明している。

親会社のFTXにおいては、破産申請後に4億7,700万ドル(約663億円)相当の暗号資産が不正流出の被害に遭ったとの報道が相次いでいる。

また、現時点で日本の資金決済法と米連邦破産法11条のどちらが優先されるか不明瞭な点もあり、国内ユーザーの出金再開時期については見通しは立っていない。(提供:月刊暗号資産,)