本記事は、横山光昭氏の著書『18歳からの投資信託の教科書』(総合法令出版)の中から一部を抜粋・編集しています。
投資信託を買うときはネット証券を選ぼう
実際に投資信託を売買するために必要な準備について、わかりやすく紹介していきましょう。
まず、投資信託はどこで買えるのでしょうか。答えは金融機関です。
金融機関とは、銀行や証券会社、保険会社といった、金融商品や金融サービスを手掛ける会社のことです。銀行(*1)は預金を取り扱っているのが特徴です。証券会社は預金を取り扱っていない代わりに株(株取引)を、保険会社は保険を専門的に取り扱っています。
*1:信用金庫や信用組合でも預金を取り扱っています
このように、各金融機関にはそれぞれメインで取り扱う金融商品があるわけですが、それは別に、多くの金融機関が投資信託も販売しています。
ただし、商品ラインアップは販売会社によってバラバラ。日本で一般的に買える投資信託は6,000種類ほどもありますが、そのすべてを取り扱う販売会社は存在しません。
最近は投資信託に興味を持つ人が増えていることもあり、大手銀行などでも取り扱う種類を増やしていますが、おもな金融機関でもっとも多くの投資信託を取り扱っているのは証券会社です。すべての証券会社が同じ投資信託を販売しているわけではなく、会社ごとに異なります。
基本的にはどこで買ってもいいのですが、投資信託の取扱量が多く、選択肢が充実しているため、証券会社で買うことをおすすめします。
投資信託を始めて徐々に投資というものに慣れてきたら、いずれ株式投資などにも興味が出てくるかもしれません。証券会社以外の金融機関で株を買うことはできないので、あらかじめ先を見据えて、証券会社を選んでおくのがいいでしょう。
ネット証券は個人投資家向き
銀行に比べると、証券会社は何となくハードルが高く感じられる人も多いかもしれません。
世の中にはたくさんの証券会社があります。それらは会社の規模や形態によって、大手証券、中堅証券、地場証券(地域密着型の小規模証券)、外資系証券、ネット証券などと区分けされています。
日本を代表する大手証券は、野村證券、大和証券、SMBC日興証券の3社です。この3社は、証券会社の中では宣伝にも力を入れているので、テレビCMなどで名前を知っている人もいるでしょう。街中にたくさん店舗があるので、看板を見かけたことがある人も多いのではないでしょうか。
これらの大手や中堅の証券会社は、個人投資家に向けたサービスも手掛けていますが、どちらかというと法人や団体向けのサービスに力を入れているのが特徴です。外資系証券の中には、ほとんど個人向けサービスを手掛けず、法人・団体を主要な顧客としているところもあります。
それでは、個人投資家に向けたサービスが充実しているのはどんな証券会社か、といえば、今はダントツでネット証券です。ネット証券とは、ほぼ店舗を持たずに、ネット専業で営業している証券会社のこと。ネット上で口座開設の手続きができ、入出金や金融商品の取引も、すべてネット上で行うことができます。
店舗がないため、当然ながら利用するにあたって店舗に足を運ぶ必要が一切なく、家など、好きな場所で取引することが可能。ネットにつながるスマホかパソコンさえあれば、いつでも始められます。実店舗がないので、証券会社のスタッフを相手に何か手続きをするということもありません。
「わからないことがあっても、全部自分で解決しなきゃいけないの?」と、不安になるかもしれませんが、ネット証券にはコールセンターが用意されているので、いざというときには電話で質問ができます。チャットでの質問も受け付けている会社が多いので、それほど心配することはないでしょう。
今、すでに投資信託や株を買っている人の大半は、ネットで取引をしています。ネット証券はもちろんですが、実店舗がある従来型の証券会社でも、ネットで取引ができるようになっています。家にいながらネットで取引できれば圧倒的にラクですし、さらには手数料が安いという大きなメリットもあります。
たとえば、株は買うときも売るときも、証券会社に手数料(売買手数料)を支払う必要があります。店舗に足を運んで株の注文をする場合と、ネット注文する場合とでは、同じ内容の取引であっても手数料が異なり、前者のほうが高額です。銀行の窓口から振込をする場合と、ATMを利用する場合とでは、窓口のほうが手数料が高くなるのと同じで、人を通すとその分だけコストが割高になるのです。
ネット証券は店舗がない分、店舗がある証券会社に比べると、人件費や店舗の維持費といったコストを大幅に縮小できるため、さまざまな手数料がより安く設定されています。当然、手数料は安ければ安いほどいいわけですから、これから投資信託や株を始めるなら、選択肢はネット証券一択となります。