海外の取組事例

次に海外での代表的なDXの取組事例を4社紹介する。

Google

Googleは2007年にカーボンニュートラルを達成している。また2030年までに24時間365日炭素排出ゼロにすると宣言。Googleは、早くから再生可能エネルギー源を確保し風力や太陽光発電だけでなく地熱発電も取り入れ、2022年からは米国のネバダ州にあるデータセンターで地熱発電を利用している。

また天候や時間帯などにより発電量が大きく異なる再生可能エネルギーの安定供給に、コンピューター処理を利用する予定だ。

Amazon

2021年、Amazonは2040年までにネットゼロカーボン達成を宣言した。2025年までに自社の事業を100%再生エネルギーで行うのが目標だ。

Apple

2020年、Appleは2030年までにサプライチェーンの100%のカーボンニュートラル達成を宣言している。カーボンニュートラル達成のためにAppleが実践しているアクションは「低炭素の再生材料使用した製品デザイン」「再生可能エネルギーへの移行継続」などだ。またApple向けに製品や部品を供給している日本企業も100%再生可能エネルギーで生産を開始する準備を求められている。

Microsoft

2020年1月、Microsoftは2030年までに二酸化炭素の排出量よりに吸収量が上回る「カーボンネガティブ」を達成すると宣言。さらに2050年までには、創業(1975年)以来排出してきた二酸化炭素をすべて吸収する「カーボンマイナス」を目指すとも宣言している。

GXとESG投資の広がり

近年、投資の世界で「ESG投資」という言葉が頻出している。ESGという言葉は、企業の取り組みが「環境(Environment)」「社会(Social)」「企業統治(Governance)」の3つの面で持続可能かどうかを示す指標だ。

では、なぜこのESG投資が注目されているのだろうか。これは、単に利益を追求するだけでなく企業が社会や地球環境に負担をかけず、持続的に成長できるかどうかが投資家たちにとって非常に大切になってきたからだ。

実際、世界のグリーンボンド発行総額は2021年まで右肩上がりに上昇し6,244億米ドルに達した。前年比で2倍以上の増加だ。しかし世界では、2022年・2023年において発行実績が減少。ただ日本では、2023年も2兆円以上ものグリーンボンドが発行されており、ESG投資が重要視されていることがうかがえる。

GXは、ESGの考え方と非常に密接な関係がある。なぜなら環境や社会に対する取り組みの弱い企業は、その事業の持続性や株価に悪影響を及ぼすリスクが高まるからだ。逆にいえばGXに焦点を当てた企業は、ESGの観点からも高い評価を受けることが期待できる。

世界中では、企業のESGの取り組みを評価するさまざまな基準や指標が設けられている。投資家たちは、これらの基準を参考に環境(E)や社会(S)、企業統治(G)に配慮した経営を行っている企業に投資することを選択している状況だ。

まとめるとESG投資の広がりは、企業が持続可能な成長を目指すうえでの重要な方向性を示しており、その中でGXの重要性が高まっているといえよう。今後も企業の持続可能な成長と投資の方向性は、このESGとGXを中心に動いていくだろう。